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もう一度、魔王を討つまで  作者: 空崎恵
英雄の背を追って
8/14

タレスティア

「3日間、お世話になりました」


深々と頭を下げ、村の住民達に感謝を伝える。

3日間だが、家を貸してくれ、親切に接してくれたんだ。


「わしらも、あなた達に助けてもらった。感謝してもしきれん」


村長をはじめとした住人が、次々に感謝を口にする。


「やっぱり、気持ちがいいわね。感謝されるって」


アレーティアがぼそっと呟く。全くその通りだ。


「次は、タレスティアへ向かうそうですね。どうかお気をつけて」


「ああ、ありがとう」


そうして、村の住民達に見送られながら俺達は村を後にした。




「早ければ今日の夜にはタレスティアに着けそうよ」


「それなら、着いた時に宿を探すとしよう」


「いい宿が......ありますように........」


野宿も楽しかったが、やはりふかふかのベッドに包まれて安眠する方が幸せである。


「そういえばアレアト、前に話してくれたこと以外にタレスティアについて知っていることはないか?」


俺の前を歩いていたアレアトが一瞬、俺の方を振り返る。


「そうだな......」


「そういえば、女帝様について話したかしら?」


うん、少なくとも俺は聞いてない。


「そういえば話していなかったね......」


こほん。と咳払いをし、アレアトが話し出す


「タレスティアの統治者であるバレシッサは、人々から女帝と呼ばれている。たった1人で街の頂点に立ち、街の統治を行っているからそう呼ばれているそうだ 」


つまりは独裁者に近いということだ。あとはその統治が街の人々にどんか影響を及ぼすか気になるところだが.....そこは行けばわかるだろうから楽しみにしておこう。


「みんな、タレスティアが見えてきたわよ」


今いる場所は平原の中では高い位置にあったため、未だ遠くに位置するタレスティアも見ることができた。

確かに前アレアトがが言っていた通り、城壁がカイアスよりも高い気がする。


「この感じだと、暗くなる前には着けそうかな?」


ちなみになぜこうも毎回予定より早く着くのかは、全員歩く速度が何故か早いからである。せっかちか。


「それじゃあ、着いたら宿探しをしよう!」




やはり近くまで来ると、城壁の高さが身に染みる。圧倒的なその光景に息を呑むことしかできない。


「本で何度も読んで、絵でも見たこともあったけれど......やっぱり初めて自分の目で見ると、飲み込まれるような感覚になるね......」


隣のアレアトも感激のあまり釘付けである。


「ほら、早く宿を探すんでしょ?」


催促するアレーティア。まだこの景色を噛み締めていたいところだったが、他にも楽しみはある事だし宿を探すのも大事だったので一旦離れることにした。


街の様子は意外にも明るかった。少しか沈んでいる雰囲気だと思っていたが、そうでもなかったようだ。

カイアスよりも多くの種類、多くの店が立ち並び、人々の喧騒が渦巻く。


「宿屋......見つけたよ.........!」


少し遠くから、ネモの声が届く。


「じゃあ、今回のタレスティアでの滞在はこの宿に泊まることにしよう。手続きはしておくから、3人は一足先に自由に街を見てきて構わないよ。夜にここに集まろう」


「りょーかーい。じゃあお先に」


最初に出発したのはアレーティア。


「それじゃあ僕も......行ってきます」


続いてネモも出発したところで、


「じゃあ俺も、お言葉に甘えて。ありがとな」


俺も出発することにした。

初めて来た街で一番最初に行きたいところといえば、やはり勇者の像が建てられている広場である。

そこを探してふらふら歩いてみる。五分くらい歩いたところで、ようやく広場に着くことができた。

カイアスと同じく、広場の中央に勇者の像が建てられていたが、ちがうところがあった。


「タレスティアの勇者の像は、こんな姿をしているのか.......」


暗黒の魔物の身体に剣を突き刺している勇者。躍動感があるなと感心しながら眺めていると、台座に彫られた文字に目がつく。


『勇者イリアスの勇姿と強き意志に真なる敬意を』


もう一度、像を見上げる。その彫られた目には、確かに強い意志があった。


『僕は、この世界を守ると誓った。この誓いを果たすために、僕は歩み続ける』


不意に、後ろを振り返る。


「ちょっと、何?」


アレーティアが......いた。




「勇者について?そうね......」


広場のベンチが一つ空いていたこともあり、そこで聞いてみることにした。


「私はそこまで興味はないのだけれど。街に行くたびにああやって像が建てられているのを見ると、誰でも凄い人だったってわかると思うわ」


話が聞きたいなら、なにか奢りなさい、と言われ、真面目に奢ったスープを飲みながらそう語るアレーティア。本人はまさか本当に奢られるとは思っていなかったようで、それならなんでも聞いていいわよ。と言ってくれた。


「冒険を初めて、訪れた街は10を超えるけれど、全ての街で勇者の像を見たわ。像の姿はそれぞれ違って、その街が勇者のどの姿を特に尊敬しているかがわかる」


そう言い、アレーティアは像に向かって手を伸ばす。


「この街は、特に戦い・生と死に最も隣り合った街。だから、勇者の像は魔物と戦っている姿なのでしょうね。死に勇敢に立ち向かう姿に敬意を抱いて」


憂いを帯びた表情で像を見つめながらも、手にしていたスープを飲み干す。


「さ、宿屋へ行きましょう。そろそほ集合の2時間前になってしまうわ」


「早い気がするけどなぁ.......」


「いいじゃない、早い方が」


アレーティアに引きずられ、俺は広場を後にした。




「まさか、もうみんな集まるとは」


俺とアレーティアが宿屋に着いた時、アレアトとネモもいた。どうやら荷物を置きにきたようだ。

ネモは途中でアレアトと合流したところで、アレアトの書物収集に付き合ったらしく、2人揃って両手に大量の書物を抱えていた。

ちょうど全員そろったことだしと、店員さんに大所帯用の部屋に案内してもらった。これがまた本当に部屋が大きく、荷物の置き場所に困ることはなさそうだった。


「お、重かった.......」


部屋に一番乗りに入ったネモは、机に書物を置きベッドに腰掛けた。


「お疲れ様、ネモ。本当にありがとうね」


書物の山の隣に、書物の山ができあがった。

その中から適当に本を1冊手に取る。


「一生雨が降る都の秘密......なにこれ」


ぺらり、と本のページをめくると、そこには何百年間も雨が降っている街についてのあれやこれや考察している内容が載っていた。


「本当に色んな書物を集めるんだな.....」


「だらかこそ、図書館を持っていないと保管しようにもしきれないんだ」


そりゃ確かにそうだな......。


「そういえば....街の人が、もうすぐ遠征が始まるつわて........」


「遠征ってあの、魔物と激戦するっていう.....?」


そもそも、タレスティアで聞く遠征は十中八九あの遠征である。


「うん....今年は冒険者にも遠征へ行かないかって声がかかりそうだって...話していた......」


「最近、暗黒の魔物の勢いがまた激しくなったって聞くし、無理もない事ね」


「でも、声がかかるとしても有名な冒険者くらいだと思うけど......」


それでも声がかかった時は、本当にそうなった時に考えるのが一番だろう。


「ちなみにアレーティアとカタルシスはさっきまで、何をしていたんだい?」


「俺は勇者の像を見に行って、その後に広場でアレーティアと合流して世間話」


「私はただ街を歩いていて、そしたら広場にカタルシスがいたから後ろで眺めてて、その後は隣に同じよ」


「なるほど。2人とものんぴりしていたんだね」


「ええ、ついでにカタルシスにスープを奢ってもらったわ」


そこもちゃっかり話すアレーティア。俺は半分忘れかけていた。

その後も今日あったことを話しながら過ごした。外の明るさは随分暗くなり、もうそろそろ寝る時間かとベッドにスタンバイしていた時、ドアの方向からなにかが落ちる音がした。


「?なにか届け物か?」


ドアの方へ行ってみると、地面に筒状に巻かれた手紙らしきものが落ちていた。


「なんて書いてあるの?」


全員が見つめる中、俺は手紙を縛っていた紐を解き、書かれていることを読み上げる。


「これは、タレスティアに滞在しているすべての冒険者に届けられているものである。()()()()()()()()()()()()()()()()は、明日の朝に宮殿へ集まるように......だって」


まさかのきっとないであろうと思っていた、遠征への招待状だった。

タレスティアへ、着いたぞー!!!

そして、大変なことになったぞー!!!!


ということで、ようやくタレスティアに着くことができました。嬉しいです。そしてついて初日にやっべぇもんが届けられました、つまりついた日の夜に、「君、死にに行く気はある?生きることもできるけど」っていわへたもんです。さて、カタルシスはこの招待時をどうするのか、次回をご期待!!

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