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もう一度、魔王を討つまで  作者: 空崎恵
英雄の背を追って
6/14

いざ、タレスティアへ!(だがタレスティアへ着くとは言ってない)

翌日の朝、俺達はタレスティアへ向かうためカイアスを後にした。

雲ひとつない青空が、地平線のその先まで伸びる中を、道なりそって歩く。昨日の魔物襲撃が嘘かのような平穏さだ。


「とはいっても、タレスティアに行くまでに最悪5日はかかるだろうから、村があったら立ち寄って、なかったら拠点をつくって夜をこそう」


地図上には大きめの街しか記されていないが、実際はありとあらゆる小さな村が点々と存在する。俺の故郷も地図上にはなく、幼い頃は自分の村が本当は存在しないんじゃないかと思ったこともあった。


「ここから近いところだと......夜には着きそうな距離にある村があったわ」


魔物のドラゴンフライの目を回らせるために指でぐるぐるするときのように、杖の先を回しながら報告するアレーティア。


「それなら、今日はそこの村にお邪魔するとしよう」


「それと....何かお手伝いができることがあったら.......」


「今回は、どんな村なのかしらね?」


「これまで訪れた村はこじんまりした村が多かったから、今回もそうかもな」


そんな他愛もない話をしながら村へ向かう。まぁ何とも平和なものか。

もちろん平和が1番である。なのだがー


「ちなみにカタルシスは、どんなタイプが刺さるの?」


たまにアレーティアがとんでもねぇことを聞いてくるところはどうにかしたいものである。新たに増えた仲間を知るために質問するのは分かるが、もう少し違った質問もあるだろうが....!!


「あ......遠いけれど村が見えてきたよ........」


そんなネモの声を聞いて、彼の視線の先をよく見る。昼間に星を見るような感じで。

そうしたら確かに小さーーーーーーーーーく村の輪郭が見えた。


「確かに夜には間に合いそうだね」


「まだ昼過ぎだが?」


「まぁ、早くついたことはいいことじゃないか!!」


予定より随分早く着いたことで、お手伝いという名の任務をより多くこなすつもりなのだろう。

もう5分ほど歩くと、街の入口に着いた。ちょこんと門が佇んでおり、その奥の家から興味津々で俺達を見つめる少年少女の姿が見てた。


「ようこそお越しくださいました。ゆっくりお過ごしください」


なんとも親切なことか。滞在の許可をとるどころか村に入る前に歓迎されるとは。


「ありがとうございます」


丁寧にお礼を言い、村と踏み入れるー


「おーーーーりゃーーーー!!」


その瞬間、俺の腹にへなちょこパンチが炸裂した。


「冒険者!俺と対決しろーーーー!!!!」


うんうん子供は元気がいいなぁ。

それはそうとして対決を申し込まれた以上、たとえ相手が子供だろうと全力で.......


「カタルシス.....手加減も大事だよ..........」


遠くから一部始終を見ていたネモは、そう静かに呟いた。

安心しろ、その呟きは聞こえていない。



「いってぇの......」


チャレンジャーの頭に拳骨一発。

言っておくがこれは俺からのプレゼントじゃない。いかにも俺がしたような状況だが、断じてしていない。

俺はレイピアの側面で頭をぽんと叩いただけだ。

つまりこの拳骨はこの少年の母親からのプレゼントでる。


「次は俺より強くなってから対決を申し込むんだぞー」


俺の小さな用事が済んだところで、アレアト達のもとへ戻ることにした。


「依頼...ですか?そうですな........」


長老らしき人の声が聞こえ、試しに覗き見をしてみることにした。

もちろんこの行為に意味はない。


「なんでもいいんですよ。些細なことだってかまいませんよ」


そう優しい声で話すアレアト。


「そうですね........」


その言葉(あと優しい声)に感化されたのか、長老の目線がアレアトから離れ、村の端に設置された井戸へとスライドする。


「先週からか、井戸の水が枯れてしまってのう。原因はわからぬのじゃが、このままでもそこまで困ることはないと放置していたのでのぉ」


「それじゃあ、今日まではどうやって水を?」


「この村から出てほんの少し歩けば川があるからのぉ。そこから汲んで使っていたんじゃ」


確かに多少労働は増えるだろうが、困るほどの問題でもないのだろう。


「では、その依頼を引き受けさしていただいてもいいですか?」


「いいのかい......?!」


「もちろん、必ず解決してみせますよ」


アレアトがそう宣言すると、長老は満足したような様子で立ち去っていった。


「どうやって枯れ井戸を復活させるんだ?」


「アレーティアがいいものを持っていてね......アレーティア、いるかーい?」


「はいはい近くに居ましたよ〜。枯れ井戸でしょ?」


家をひとつ跨いだ先にいたらしく、会話が筒抜けで伝わっていたことで説明する暇が省けた。

とりあえず借りた一軒家に集合して、どうやって依頼を解決するか話し合うことにした。

それにもう随分日が沈んでいたこともあって。


「それで.......どうやって枯れ井戸を復活させるんだ.........?」


「ふっふーん。実はいいものを持っていてね.......」


そう言ってアレーティアが取り出したのは、ずっと腰から下げていた分厚い本だった。


「..........なにそれ」


「どんな問題でも解決法が載っている『万能書(ヴァーサタイルマニュアル)』よ」


「なんでもって........」


「実際...病気の薬や解毒剤の作り方...しまいにはそれぞれの魔物の弱点や攻略方法が書かれているから......」


「........まじか」


なんて本なんだアレは....!!なんでもかんでも載ってる万能書もおかしいがそれをもってるアレーティアもなんなんだ!!!!どこでそんなもん手に入れたんだ.....???


「枯れ井戸の直し方は......あったあった」


そしてそんなことまで載ってんのか.......


「どれどれ〜。スライムの粘液に聖水を混ぜ、マングローブの根と葉入れ、鮮やかなシャルトリューズグリーンになるまで混ぜます。最後に爆誕した液体を枯れ井戸に流すと.......」


「「「流すと........???」」」


「一年限定、極小規模の無限水源ができます。一年経てばマングローブのエネルギーを吸い取ったスライムの粘液が、近くの水場にむかって浸透し、水路を作ってくれます...だそうよ」


「どういう原理なんだよそれは?!?!」


まぁ、こんなことが出来てしまうのがこの世界ってもんなんだろう。

というかこんな頭吹っ飛んだ方法を見つけてしまう人もどうかと思うが......。


「解決法も見つかったことだし、明日から材料集めを始めるとしよう」


「そうだなー物珍しすぎる光景がみれるんだろうなー」


「じゃあ、そうと決まればご飯にしましょ!!」


「わかった。今日の夕餉は......」


まぁ、そんなこんなで俺は、一旦明日の俺に全てを託すことにした。

もう頭はクラッシュ寸前だってばよ。

長距離走が始まりました...。

全盛期である小4の自分を連れてきたい......


ほのぼのストーリーが続きますが、その分残酷なことを入れたって許されると思っています。俗に言う始まりの方が平和だったってやつです。


まぁ今はそんなこと気にせずにのんびりとした冒険を楽しもうではありませんか。

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