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もう一度、魔王を討つまで  作者: 空崎恵
英雄の背を追って
11/15

剣の墓、遠征へ集いし戦士よ

ついにおとずれた遠征前日の夜、俺達は戦場でどう動くかについての話し合いをした。


「できるだけ、散り散りにならないように気をつけつつ、戦闘を行いたい。何かあった時にすぐに駆けつけれないのは、大かな致命になってしまうからね」


「ねぇ、アレアト。モノテクネー(唯一技)は使っていいの?」


「モノテクネー使えんの?!」


説明しよう!モノテクネーとは冒険者の中でも一部の冒険者が使う唯一のスキルであり、どれも強力な攻撃技おなる。その分、習得するのは困難を極める。


「オレとアレーティアは、使うことができるよ」


うそ...だろ......!?本当にモノテクネーは一部の冒険者しか使えない技なのか....?!

※このパーティがおかしいだけで、パーティメンバーに1人使える人がいるだけで結構エグいです※

カタカタと震える体で、ネモを見る。


「えっと....僕は........モノテクネー...みたいなことは.......」


このパーティ、狂ってる.......。

こんなパーティあってたまるかよってところだよ.....そんなパーティの仲間になれたことが奇跡だよ!!!


「モノテクネーは使ってもいいけど、周囲の状況には気をつけてね」


「ええ、もちろんよ」


普段なら理解できる会話すら、耳を特急通過していく。この衝撃をどうすれば......。


「カタルシス......大丈夫........?」


小声でネモが囁く。うん、大丈夫じゃない。大丈夫なわけない。なんてパーティなんだ(n回目)

でも、心強いパーティメンバーであることには変わらない。


「それじゃあ、明日は生還することを第一として。何があっても、1人で飛び出すなんてことはしないようにね」


そう言われれば、誰か1人がそうなるのがお決まりである。




朝、この上ない晴天の下に兵士と冒険者が集った。

隊の先頭には馬に乗った女帝。やはり先陣を切るのは彼女のようだ。

俺達は馬車に乗って戦場まで向かう。比較的前の方の馬車に乗ったこともあり、どれくらいの軍勢で遠征へ向かうのかがわかる。


「結構馬車が並んでるな......」


馬車の荷台が布で見えなくなってることでどれくらい冒険者が集まったのかはわからないが、俺達がいふ以上、冒険者はいる。

俺達を見送る街の住民は、旗を振って生還を願う。


「では、これより遠征を開始する。全体、進め!!」


女帝の声が高らかに響き渡り、馬達が前進を始める。馬車の揺れる感覚が身に染み、緊張に似た興奮が体をかける。


「今回の戦場は、タレスティアより北の大地に位置しているそうだ。何度も戦場になった地とも聞いている」


馬の蹄が地面を蹴る音が早くなっていく。


「今回の遠征は、何が起こるか分からない。それが1番怖いところだ」


車輪の回る音も、早くなっていく。


「絶対、生き残るのよ。そして、もっともっと冒険するんだから!!」


「そうだね......!!」


「あぁ、絶対だ」


約束を心に刻む。

というか、冒険が始まったばかりでこんな状況ってのもなんかおかしいが。




沈黙の続いた数時間が過ぎ去り、ついに戦場へとたどり着く。荷台から降り、戦場を見渡す。


「なんだ....これ........」


地面は黒く変色し、ありとあらゆるところに武器が突き刺さっている。

剣、斧、杖、槍、フライパン......。


「驚いたか?これが剣の墓と呼ばれている大地であり、我々の戦場だ」


いつの間にか隣に来ていた女帝が、戦場を見つめながら話す。納得のいく呼ばれ方だな。


「この黒くなった大地は、人々と魔物の血肉によってなりたっている」


闇のような地面。ここから手が生えてきてもおかしくはない。


「女帝様!暗黒影の姿を捉えました!!」


「ここにいる全ての戦士に、臨戦状態へ移行するよう伝えろ!!」


「はっ」


戦場の彼方、闇すら霞む深淵がこちらに向かって伸びている。そこから暗黒の魔物が這い上がってくる。

暗黒影により生み出されていく魔物と、ここに集った戦士が睨み合う。


「ここに、我々の勝利を捧げん!!」


大剣を掲げ、女帝が叫ぶ。

それに戦士達の雄叫びが続く。

女帝が魔物へと突撃する。それに続き戦士達もまた魔物へと突撃を始める。




「必ず何人かで集まって戦え!」

「こっちだ!負傷者はこっちに運んでくれ!!」

「くらえ、バケモンめ!!!」


武器と血肉が飛び交う戦場。絶望は勇気によって砕かれるが、その勇気はさらなる絶望によって玉砕される。

咆哮と叫び声が入り混じる戦場を、俺は駆けてゆく。

剣に何度も血糊が付き、その度に振り払う。確かにこの地が暗黒に染まるのも納得できる。

濁流のように押し寄せてくる魔物相手に、剣を振るう。まるで出来上がった作品を切り刻んでいるようだなと思う。そしてこれは、消耗戦に近い。

魔物は絶えず湧き出てくる。これどうやったら勝てるんだ?

それに加えて、魔物の強さが増していく。1振りで片ずいたはずの魔物が、2振り、3振りしなければ消滅しなくなる。

アレアト達の方は大丈夫だろうか?さっきからメテオのような音が聞こえるが、あれはアレーティアなのだほうか。魔物か壁となり視界を塞いでいく。音を頼りに仲間の位置を特定しなければならないようだ。



「アレアト!!そっちの方に強め硬めの魔物が行ったわ!!気をつけて!!!」


アレーティアの声が届く。だが、既に周囲は魔物に囲まれていた。


「周りに人は....大丈夫そうだね」


振るっていたロングソードを握り直し、両手に力を込める。


「嵐よ....ここに。その竜巻はこの地を蹂躙する」


詠唱と共に、剣に風が巻き付く。


「舞い上がれ、暴風竜の息吹よ!!!」


嵐が巻きついたかのように重い剣を振り上げる。

戦場に暴風が吹き荒れ、竜巻が現れる。

魔物たちは抗うすべなく、飲み込まれていく。


「これで、少しは視界が晴れたかな?」


「ああああああああぁぁぁ風がぁぁぁぁぁ!!」


アレーティアの悲鳴が消えるが、きっと大丈夫だろう。



「ぬうううう.......」


暴風にふっとばされないよう、杖を杭にして耐える。

一応自分に重量化の魔術をかけたから、きっと大丈夫だと思うけれど。

アレアトはこれを分かってモノテクネーを発動したんでしょうからね!!!


「それにしても.....暴風はもう懲り懲りだわ!!!」



「あれがアレアトのモノテクネーなのかぁ......」


暴風の吹き荒れる戦場を眺めながら、魔物を狩り続ける。あれぞまさに奇跡。だからこそ、1部のものしか使うことができないのである。

すこし羨みながらも、敵を葬った数は俺のそうが多いだろうという感じがする。なぜか。

魔物の勢いにも波があるのか、今は少し緩まっている。そしてまた勢いを増す。これの繰り返しなのだろう。

一旦仲間の元へ行き、状況確認をすることにした。




「あああああ.......ぁ」


「アレーティア.....大丈夫.......?」


すんごい髪型のアレーティアと、相変わらずフードを被ったネモがいた。


「もう....暴風はしばらくいいわ........」


「えっと.....ごめん.........」


多少罪があるかしれないアレアトが謝る。


「いいわよ.....前からあんたのモノテクネーは知ってたし........」


「それで....戦況は?」


「被害の数は、前回の遠征の被害を超えているそうだ。魔物の活動が緩やかな今は、治療班が治癒をしてまわっているみたいだね」


「それじゃあ、一旦臨時の拠点へ戻らないか?」


「そうだね。他にも冒険者がいるだろうし、そこでもう一度状況確認をしたい」


ということで、魔物を退けながら拠点へ向かうことにした。




「やはり、撤退を視野にいれたほうが..」


「いや、それはできぬ。我々が撤退してしまえば、更に被害が広がってしまう」


テントの中から会話が聞こえてくる。やはり状況が以前より悪化しているのだろう。

生憎、以前の遠征を知らないため状況がどれほど悪化しているのかわかりにくいが、それでもやばい状況になってきているってことは分かる。


「ん?お前はカタルシス...か?」


テントから出てきた女帝に見つかる。というか俺の名前覚えてんのか....あのレストランで一回だけ呼ばれたくらいなのに...。


「あってます。やっぱり状況は悪化していってるんですか?」


「ああ。被害があまりに大きい。部下に、撤退を視野に入れてくれと言われた程にはな」


つまり以前まで撤退という選択肢はなかったということか。


「まだ、戦力は残っている。この後の戦い次第でどうなるかが決まるというところだ」


ここが踏ん張りどころってわけだ。俺も体力が有り余っている。それなら、より魔物を狩るだけだ。


「もうすぐで、また魔物の活動が勢いを増すだろう。備えよ」


その言葉を聞いて、おれは仲間の元へ走った。



「それなら、オレ達も戻ろう。もうすぐなんだろう?」


「もう一息....にはならないかもだけど、頑張るしかないわ」


少しの休憩を取っていた3人が、立ち上がる。

それぞれの手には、愛用の武器。多少血糊が付いているが、それは多くの魔物を葬った証。


「それじゃあ、戦闘再開だ」




その後の戦闘は、意外にもはじめより被害が少なく済んだ。

気のせいか、魔物が脆く感じた。この状況の代わり具合に、女帝も首をかしげていた。

だが、それが不吉に感じてならなかった。

背筋が凍りついてならない。鳥肌がずっとたっている。

一切の隙さえ許されないような感じがして、俺はずっと気を張っていた。

数回の緩急を繰り返した後、ついに俺は女帝へ疑問を投げかけることにした。


「こんなこと、以前の遠征にあったんですか?」


「......なかった」


険しい表情をした女帝は、そう答える。


「多少の波はあれど、ここまで穏やかになることはなかった。正直不気味なくらいだ」


「...やっぱりそうですか」


女帝も同じく、不気味だと感じている。

やはり、この状況は異常なのである。


「警戒を怠ってはならない。いつ何が起こるかわからないのだ」


そう言い、女帝はテントの外へと向かう。

俺ももその後ろをついていく。


「皆の者!まだ警戒を怠ってはならない!この戦場では、どんな状況であろうと、死は我々の後ろにいるのだ!!」


女帝の声に、拠点にいた全員が目線を女帝へと向ける。


「我々は必ず、この戦場で勝利を勝ち取り、生還をはたすの一」


その時だった。声高らかに皆を鼓舞する女帝の胸を、一つの光が撃ち抜いた。


「女帝様!!バレシッサ様!!!」


拠点が一気に混乱の渦へと飲まれる。

女帝の胸から、鮮血が滲み出す。


「一体誰だ....!?」

「女帝を打ったのは....!!」


冷静を取り戻した者から、武器を手にする。

胸を押さえたまま、女帝は顔を上げる。


「.......やはり.....こうなる.........か.........」


女帝の目線の先、一人の杖を持った魔術師がいた。

苦悶の表情をし、目からは赤黒い液体が流れている。


「女.....帝..様.........たす..け.....」


その身体には深淵に流れているような液体が巻き付き、少しずつ、だが確かに魔術師の身体を蝕んでいた。


「..........暗黒化だ...........」


静かに告げる女帝の言葉とは裏腹に、拠点は再び混乱へと巻き戻される。

次々と仲間だった者が、暗黒へと堕ちていく。

身体の皮膚はただれ、目は溶け、肌は黒色と化していく。


「今回の遠征では......こうなるだろうと...わかっていた...」


「それならなぜ、遠征をしたんですか......!?」


「..........それでも、退いてはならなかったからだ.........」


その言葉は、罪だとわかっていながら、糾弾することはできなかった。

なぜならー


「これぞ、混沌(カオス)なり!どうですか!この狂宴は!!」


ただならぬ気配を感じたからだ。

混乱の声が飛び交う中、たった一人の拍手が入り混じる。

人の姿を保ったまま、暗黒へと堕ちれば。このような姿になるのだろうか....?


「...まさか......あんな存在が生まれていたなんてな......」


剣を支えとし、女帝が立ち上がる。

鋭い眼光は、眼の前の存在を睨みつける。


「.........暗黒より生まれた......悪魔め」

地獄だぁぁぁグロいぞぉぉぉぉ!!

次の話でも続きます。



そういえば小学生の時に、夜中にエアコンが(物理的に)落ちたことがあったのですが、ぐっすり寝ていたという思い出があります。

振り返ってみれば小学生の頃の思い出の6割くらいは黒歴史....。

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