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ナニワイーター

また来たよ。

イキった若いのが二人。

髪型と声のデカさと、肌の色で勝負してるようなタイプ。


どうせ京橋あたりで普段、騒いでる奴らやろ。

ああいうのは見りゃわかる。

飲み屋をハシゴしながら、

「隠れ家っぽい店」とか「通っぽい酒場」を求めてさまよってる。


で、ここに来た。

このくすんだ街の酒場に。

看板は薄れてるし、照明も蛍光灯一本。

メニューなんか半分、字がかすれて読まれへん。


だけど、こっちは毎晩、地元の声が沈殿してる。

愚痴、笑い、別れ話。

全部、酒と一緒に流し込まれて染みついてる。

この店の壁も床も空気も、

そんなもんでできてんねん。


「ここ、ヤバない?レトロ感えぐい」

「俺ら、知る人ぞ知る系やろ〜」

そんなノリで喋ってても、

たぶん1時間はもたんやろうな。


この街の湿度は、ちゃうねん。

空気が重い。

人の目が静かで、言葉が足りない。


若いのにはな、

その“沈黙”が効いてくる。

気がついたら、何しゃべっていいかわからんくなる。

テンションの逃げ道が、ない。


そうして、じわじわ“食われて”いくんや。

この街にな。


わしはそれを見てる。

ああ、またひとり、この街に沈んでいくなって。

そしたらようやく、ええ顔してくる。

その時の、乾杯がうまいんや。


ようこそ東福寺へ。

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