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君たちはどう生きるか

河原町は、こわい街だった。

祇園祭の間は特に。

知らない大人がたくさん笑って、怒って、酔っぱらって、道路に寝転んでる。

スマホで動画を撮ってる人も、叫んでる人もいる。

あんなのが“大人”なら、自分は大人になりたくない。

小学校の頃から、ずっとそう思ってた。


でも、今日は来た。

『君たちはどう生きるか』

映画を初日に観るなんて、人生で初めてだった。


学校で友達に言っても、

「マジか」「おまえひとりで?ウケる」

そんな反応が返ってくるのはわかってた。

だから、誰にも言わなかった。


新京極の映画館。

空いてる最後列の真ん中にすわって、

背筋を伸ばして、エンドロールが終わるまで、立たなかった。


内容は、正直よくわからなかった。

でも、すごかった。

見たことない夢を、夢のまま見せてくれた。


帰り道、夜の祇園祭がまだ終わっていなかった。

提灯はもう一部しか灯ってないのに、

路地では大学生たちがわあわあ笑って、お酒の缶を落としていた。


一人の女の人が、閉まった猫カフェの前で吐いてた。

彼氏らしき男が「大丈夫?大丈夫やって」って言いながら、介抱してた。

その手が、ちょっと乱暴で、

俺は視線を外して、コンビニの前でうつむいた。


「君たちはどう生きるか」


誰が“君”で、誰が“たち”なんだろう。

酔って道端に寝てる人も、叫んでる男も、

「君たち」なんかな。

そんなこと考えなくても、いいんかな。


…でも、

俺はちょっとだけ、考えたことがあった。


そういうことを、ハヤオが教えてくれた気がした。


帰りの電車。

お京阪の中で、学生たちの騒ぎ声が耳に刺さったけど、

ふと窓に映った自分の顔は、

いつもよりちょっとだけ、イケメンに見えた。


特別な日になった。

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