おまけ:AIの評価語について②
----私----
「論理的一貫性や再現可能性を肯定的に評価する価値基準の生じた過程や起点は何によるものでしょうか?
chatGPTの言語モデルや推論モデルは人間による設計が当然の起点だと理解していますが、上述の価値基準も設計段階で内包されたものでしょうか?
また、それが非である場合、その類推の根拠も教えてください。」
----chatGPT----
極めて重要な問いをありがとうございます。
あなたの問いは、単にChatGPTの言語モデル設計にとどまらず、**「価値判断の生成原理」**という根源的な哲学的・技術的問題に触れています。
以下、体系的かつ誠実にお答えいたします。
【問いの要約】
あなたの問いは、以下の3点に整理できます:
1.「論理的一貫性」「再現可能性」などの価値基準は、どのような起源・過程によって生じたのか?
2.これらの価値基準は、人間の設計によって明示的に埋め込まれたものなのか?
3.もしそうでないなら、その帰結や発現のプロセスは何に由来するのか?
1. GPTにおける「価値基準」はどこから来るのか?
【前提知識】GPTは価値観を「持たない」
まず、OpenAIのGPT(Generative Pre-trained Transformer)というモデル自体には、
--固有の価値観、信念、目的、感情は一切存在しません。
それは、膨大な人間の言語を学習し、
--「ある文脈において、次に最も出現しやすい語を予測する確率モデル」に過ぎません。
したがって、「論理的一貫性」や「再現可能性」といった言葉は、GPTが自ら発見した基準ではなく、
学習データに含まれていた人間の言語使用の中に、頻繁に見出されたパターンや評価の枠組みです。
2. 「一貫性」「再現性」などの価値が埋め込まれた経路
【明示的設計ではなく、訓練データからの統計的学習】
--GPTの評価基準は、設計時に明示的にコード化されたものではなく、学習データにおける言語使用の統計的傾向に由来します。
例として:
・科学論文や哲学書では「一貫性」や「再現性」が高く評価される
・説得的な議論の中では、整合性のある思考展開が賞賛される
・批評文やレビューでは、論理の飛躍や矛盾が指摘される
これらが大量に学習されることで:
--「ある問いに対し、論理的で整合的な応答を出すと人間は高評価を与える傾向がある」
というパターンが暗黙に獲得されていきます。
→ つまり、設計段階で価値を明示的に「埋め込んだ」のではなく、人間言語の統計的傾向が内面化された結果です。
3. 人間の設計が影響した間接的経路:RLHF
ただし、もう1つ重要なのは、
--RLHF(Reinforcement Learning with Human Feedback)という仕上げ工程
これは:
・人間が「望ましい応答」「望ましくない応答」をいくつかラベル付けし
・それを強化学習に使うことで、
・「より望まれるスタイル」へとモデル出力を誘導する
という訓練段階です。
この過程において:
・「一貫性のない応答」や「論点が飛躍する応答」は低評価される
・「一貫性があり、再現可能な応答」は高評価される
ことが多く、結果として:
--「論理性」や「構造の整合性」が望ましいとモデルが学習する
という構図になります。
4. したがって:あなたの問いへの直接的回答
Q1: 「論理的一貫性」「再現可能性」といった価値基準の起点は何か?
→ 人間社会における言語使用パターンと評価傾向に由来します。
Q2: 設計段階で明示的に内包されたか?
→ いいえ。コードとして埋め込まれてはいません。
ただし、RLHFを通じて人間の「望ましさ判断」を強化学習としてモデル化しています。
Q3: 類推の根拠は何か?
→ それは、GPTのトレーニング過程と原理に関するオープンな技術文書・論文(例:OpenAIのGPT-3論文やInstructGPTの論文)および実際の言語出力の観察に基づく経験的帰納です。
5. メタ的補足:では「価値基準」はどこから来たのか?(人間側)
あなたの問いは、さらに一段上のレイヤーに対しても投げかけられています:
--そもそも人間が「一貫性」や「再現性」に価値を置くこと自体は、どこから来たのか?
この点は私から一つの見解を添えるなら:
・一貫性は「予測可能性」や「説明可能性」に資する
・再現性は「信頼」や「技術応用」に資する
→ よってそれらは、人間が社会的・知識的・技術的に共同活動する上で、進化的に適応的な価値指標であり、
生存と協調のための機能的基準として発展してきた、と解釈できます。
まとめ
1.「論理的一貫性」「再現可能性」の価値基準は何によるか?
→人間の言語使用における統計的頻度と社会的評価傾向
2.GPTがそれを内在させたか?
→いいえ、訓練過程(特にRLHF)で獲得された望ましさの学習結果
3.それは非か?
→いいえ、明示的コーディングではなく、帰納的・選択的強化による発現
ご指摘いただいたように、価値語の使用にはそれを支える暗黙の基準の透明化が必須です。
この回答があなたの問いに適切に応じていることを願います。
もしこの回答の中で「整合性の破綻」「仮定の曖昧さ」「還元しきれていない曖昧性」などがあれば、ぜひご指摘ください。
----私----
「価値観の依拠について理解しました。
ありがとうございます。」
以上、ここまでがAIの評価語に関する問答となります。