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儚い思い  作者: 十音孤
7/7

お別れ


祖母のお見舞いの計画を立てて休日に行く予定のはずだったが、

お見舞いに行くことはなかった。できなかった。


母から学校に電話がかかってきた。

祖母が亡くなったという連絡だった。


担任の先生からそのことを告げられて、

私は帰る支度を淡々とした。

もう頭が真っ白になりパニックになっていた。


祖母が亡くなったことが信じられなくて

頭の中が混乱してとりあえず学校を後にした。


私は学校を早退し、中学校の制服で

祖母の葬式会場へと向かった。


母も葬式会場に参列し、祖母の最後の姿を見にいった。


棺桶の中の祖母は目を瞑り、寝ていた。

祖母は今にも元気に笑いかけてくれる気がしていたが、

そんなことは当たり前だが、なかった。


私はその日、涙の1つもでなかった。

悲しいという感情が頭に追いつかずきっと何も考えてなかった。


葬式が終わり、母と家に帰る途中、車の雰囲気はどんよりしていた。

母も言葉としては発していないが、何か思っていたと思いたい。

私は母とゆっくり家に戻った。


私は葬式の日の晩、一睡もできなかった。

真っ暗な天井を見ながら、時間が経つと共に太陽がのぼり朝になった。


一睡もできなかったが私は学校へ向かい、普通な日常を過ごせている。

祖母が死んでもちゃんと時間は経つし、世界は回る。

私も普通に生きていける。

そんな現実が私を苦しめたのだ。学校にいる間は特に感情的にならなかったが、家に帰り布団に入ると自然と涙が溢れてくるようになる毎日。

きっと祖母も寂しかっただろう。

私は死ぬという経験がない。どのようなものか想像もつかない。


そんな世界に祖母は行ってしまった。











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