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儚い思い  作者: 十音孤
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2択の選択肢

また父から祖母のお見舞いの連絡があった。


日曜日を提案された。


その日は午前中部活で、

午後からは友達と遊ぶ約束をしていた日であった。


父に午後からお見舞いに行かないかと

提案されて、私は考えた。


そして私は答えた。


「ごめん。日曜日用事がある…」


と私は友達を優先した。

中学生で年頃の私は友達と遊ぶことを選んだ。

2択の選択肢を自分の楽しい方を選んだ。その時はそうしたかった。遊びたかった。


お見舞いはまた行けばいい、そう言い聞かせて私はその日友達と楽しく遊んだ。


この選択が間違ったことに気づくのは数日経った日のことだった。


父から電話が来た。

父は頻繁にお見舞いに行っていた。


「ばあちゃんが危ないかもしれない」


「待って、どういうこと…!?」


「もう長くないかもしれない」


そう父はいった。


私は友達と遊んだ選択をしたことを後悔した。

お見舞いに行かなかった自分が情けなくて祖母にも申し訳なかった。


次の日、土曜日で部活を休んで祖母の元へとお見舞いに向かった。

今日は母も一緒にお見舞いにきた。



病室に入った瞬間、私の知っている祖母の姿ではなかった。

私は驚愕した。

この前お見舞いにきた時からそんなに月日は経っていなかったのにも関わらず

祖母は、かなり痩せ細っていて毛糸の帽子をかぶっていた。


私は事の深刻さに気づいた。

祖母は食べることもできなくなっており、ベットに横になっている状態が続いているとそう聞いた。


父が、祖母に話しかけた。


「ばあさん、〇〇がきたよ」


そう話しかけると祖母の目が開いて、体を起こそうと必死にもがいていた。

もがいても体を起こせない祖母を私は支えて体を起こした。


「きてくれたの?ありがとう…」


祖母は話すことさえも苦しそうだった。


「うん…」


としか私は答えることができなかった。


「こんな姿で会いたくはなかったけど…ありがとうね」


「ううん、無理せんで」


「お母さんも来てくれてありがとう」


と母にも話しかけていた。


「死ぬ前に見れてよかった…」


と私の手を握っていった。祖母は泣く体力もないのか涙もでていなかった。

私はこの言葉が頭にこびりついてずっと頭から離れなかった。


「そんなこと言わんと。まだ生きて、また来るから…」


と私も涙ぐみながら祖母に伝えた。


そこからすぐのことだった。




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