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儚い思い  作者: 十音孤
4/7

疎遠

父からの急な連絡。


親が離婚してからでも、

父とはアイコンタクトをとっていた。

母は、父との交流を嫌がってたが、

わたしは、父も祖母も大好きだった為、

少しの交流は許してくれていた。


そんなある日、父から1本の電話がきた。

部活終わりでゆっくりしていた夜のこと。


着信音が鳴る。父からだ。


「もしもし、いま大丈夫?」


「うん、大丈夫だけど…」


「ちょっと、言わんといけんことがある」


「どうした?」


「ばあちゃんが入院した」


とだけ、そう告げた。


父は私と祖母が仲良かったことも知っていたから、

私にすぐ知らせてきた。


中学2年生だったわたしは

入院のいうことにあまりピンときていなかったが、

なにかどこか悪いことだけはわかった。


「え、ばあちゃん何か悪いん?」


「うん…ちょっと悪いみたい今日から入院してる」


「○○病院だから、また一緒にお見舞い行こう」


そう、父は告げた。

わたしは、あんなに元気だった祖母とも交流があまりなくなって3年ほど経っていたことに気づく。

この3年は早かった。

祖母の3年間も、

長かったのか短かったのか気になる。

とても。


祖母と私は交流がなかったものの、

誕生日には毎年電話をくれていた。

毎年、電話で、誕生日の日には、

長電話をするのが毎年恒例になっていた。


いつも電話をして最初に言うのは、


「元気?」


「元気だよ、ばあちゃんは?」


と質問返しを毎回していた。

久しぶりの電話はいつも体調のことを聞いてきていた。



そして、


「誕生日おめでとう」


と。


交流は、年一回のこれだけだった。

3年間唯一話したのは、誕生日のみ。



祖母と私は心も距離も離れていったみたい。


祖母はいつも明るかった。

電話の声もいつも明るかった。

けど、どこか電話で私に話しかける声が寂しそうな声にも聞こえるときもあった。

何か言葉にできない思いがあったのだろう。


私も母に気を遣って、交流をしないようにしていた気がする。


私が祖母に会わなくても別に

平気になっているという状態、気持ちが

祖母にとっては悲しかったのかなって思う。


昔は毎日会話を交わしていた関係でも

人間は、こんなふうになってしまう。たとえ血が繋がっていたとしても。


わたしは、中学2年生。

大きくなったのか、上下関係というものを中学生で学んだのか

祖母の電話では敬語に変わっていた。








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