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私、怪盗やってます。2  作者: 水上イリス / ICCHAMA
第3章 国際会議テロ事件
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第6話 国際会議開幕

 ついに始まる、国際会議が。日本中のメディアが会場の国際会議場へと集まり、報道体制を敷いている。大手テレビ局はライブ中継を実施し、放送車がずらっと停まっている。各国要人も多数会場入りするため、当然警備も数年まれにみる大規模なものとなっている。

 そんな湧き上がっている会場の隅で動く人影がちらちらと伺える。奴らだ。今日この日は国際犯罪組織フリーゲルが爆破テロを予告した日なのだ。前日までに爆弾の設置場所は警察が確認済みではあるものの、気づいていないフリをしている。会場内を埋め尽くす制服警官が物々しい雰囲気を醸し出している中、彼らはひっそりと身を隠しながら計画を進めているようだ。

 えっ?そんな私はどこから様子をうかがっているのかって?会場の警備を司るセキュリティタワーの指令室に警察のお偉いさんたちと警備に当たっているよ。ふふっ。潜入したのかって?いや、堂々と捜査協力をしているのさ。前にも話したが私たちは警察に顔がきくからね。あくまでも表の顔だけど。もちろん怪盗フィアットは悪人を懲らしめる怪盗だけど警察が総力を挙げて追っている人物だからね。正体を知られるわけにはいかないんだ。

 そんなことを言っていると組織が動き出したようだ。彼らの動きが慌ただしくなっている。それを確認すると同時に、爆発物処理班を一気に動員する。事前に確認済みの爆弾を早急に解除するためだ。そのとき…、

「ザザ……あー、…聞こえているか……会場はたった今、我々フリーゲルがジャックした。会場のいたるところにプラスチック爆弾を仕掛けてある。我々の目的はただ1つ。各国の要人が集まるこの国際会議で爆破テロを起こし、この国の信用を失墜させ我らの活動拠点にふさわしい環境を整えることだ。楽しみにしていろ……ザザー」

「動き出したか、フリーゲル…。いいか!これより爆弾を解除、作戦を開始する。爆弾は見つけ次第処理班に連絡!!組織の者は捕らえろ。逃がすなよ。」

鬼川警視が気張った声で迅速に指示する。即座に会場を警備していた警察官が動き出した。

「奏、私たちはどうする?」

「落ち着け、爆弾は警察に任せよう。僕たちは組織の幹部を狙う。複数会場内にいるようだ。油断するなよ。」

「了解。」

そっとインカムで奏と連絡をとり、私も行動にでる。

「警視、私も情報収集に行ってきますね。」

「花蓮ちゃん、敵はやばいやつらだ。十分に気をつけるんだぞ。」

「分かってます。では。」

怪盗フィアットとしてフリーゲルの計画は絶対阻止する。この国をフリーゲルの拠点になんかさせるものか!

 セキュリティタワーから飛び降り、奏が開発したフィアットスーツの飛行モードで空を舞いながら組織の動きを追う。どうやら現在、会議が行われているメインホールに集まっていっているようだ。要人を人質に取るつもりか…。体勢を調整し会場中心にあるメインホールへと向かう。


 その頃会場内では、外の騒ぎは知らず、予定通り会議が進められていた。そしてその様子はメディアの大群によって世界へと放送されている。

「……というわけであります。そこで我が国としてはエネルギー開発に対し数百ドルの投資をする予算案を考えております。……」

国際社会に新エネルギー開発についての計画をアピールしているようだ。飛行を経て会場のホール内に潜入した私はその様子を目撃した。

「外はあんなに騒ぎになっているのに全く気付いていないなんて…。」

ふと反対側の客席に目を向けると、ホールの3階席で妙な人影が動いている。スコープで眺めてみると黒スーツの怪しげな男たちが立っていた。警備員…ではないようだ。とすると、

「…フリーゲルの幹部があそこにいる。」

ハッと後ろを振り向き構える。そこには怪しげな青年…?いや少女が立っていた。

「あなたは誰!?」

「急に声をかけてしまってごめんね♡。驚かせちゃったかなテヘ。」

「あなたが怪盗フィアット?」

いきなり聞いてくるとは。

「質問する前に名乗るべきよね?」

「ああ、ごめんごめん。名乗ってなかったね。私の名前は水上アクア。怪盗フィアットのファンさ。それで、君は…」

「ええ、怪盗フィアットよ。ファンなのはうれしいけど、目的は何?どうやって会場に?」

「質問が絶えないですね。フフ、いいでしょう。私が何者かはひとまず保留として、手を組みませんか?私の目的はフリーゲルを止めること。メリットはあるのでは?」

「……」

そんなこといきなり提案されても困る。奏も黙っているし、それにこいつは一体。

「考えている時間はあまりありませんよ。彼らはそろそろ動き出します。」

彼、いや彼女?…どっちでもいい、アクアが言うと同時に黒スーツの男たちが動きだした。

「あなた、彼らの計画を知ってるの?」

「言ったはずですよ。私の目的は彼らを止めることだと。」

天然なのかわざとなのか質問の答えになっていないのだが…。

「まぁ、考えている時間はなさそうね。何者かわからない以上信用はできないけど手を組んでもいいかもね。フリーゲルを止めるところまでは裏切りはなしよ?」

「承知いたしましたわ、怪盗フィアット。」


 こうして謎の男なのか女なのかもわからないやつと手を組むことになった。

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