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私、怪盗やってます。2  作者: 水上イリス / ICCHAMA
第2章 国際犯罪組織フリーゲル
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第3話 フリーゲル再来

 先日の宝石店窃盗事件以来、私たちは平和な日常を送っていた。美沙も私の正体には勘づいていないようで一安心。話題のスイーツを食べに行ったり、有名チェーンのフラペチーノを飲みながら談笑したり、それはもう楽しい日々を送っていた。

「このフラペチーノ、めちゃ美味しいね~。」

「今月の新作、ココナッツは美味だわぁ。」

こんな風に何気ない会話を繰り広げながらまったり過ごしていたのだが…。


 ある日の朝、テレビを観ていると何やら緊迫した画面に切り替わった。

「緊急ニュースをお伝えします。今入った情報によりますと、市内各地の学校に爆弾を仕掛けたとの犯行声明を受け取ったと市の教育委員会が公表しました。爆弾は殺傷能力が極めて高いもので、声明文では国際犯罪組織の1つであるフリーゲルを名乗っているとのことです。現在市内の小中高等学校及び大学など数百校に警察消防が出動し調査を行っています。」

「フリーゲル…。」

私は漏れ出るような息で呟いた。国際犯罪組織フリーゲル。世界中で起こる犯罪の3割に関わっているとされる、巨大犯罪グループだ。犯罪組織の中でも特に大きく、世界最大規模だと見立てられている。そんな組織がなぜ学校に爆弾なんか仕掛けたのだろう。

「奏、どうする?」

私は奏に聞いた。私たちはフリーゲルと関わりがある。もちろんつながりではなく因縁のほうだ。かつて警察に雇われて特殊部門として働いていた私たちの親は、フリーゲルについて捜査協力をしていた。私たちも何か手伝いたくて奏の技術力を駆使してフリーゲルの拠点の1つに潜入したこともあった。そこで得た情報は捜査協力をしていた私たちの親を無力化する計画だった。私たちは警察と協力し、全面的に迎え撃ったのだが…。私たちの親は未だ生死不明、行方もつかめていない。それ以来、私たちは正義の怪盗として犯罪を未然に防いだり、盗まれた宝石を取り戻したりしながらフリーゲルについて探ってきた。しかし情報はあまり得られていない。今回のこの件はフリーゲルに接触する良い機会なのかもしれない。これが私の考え。

「そうだな。近場の小中学校の様子でも探ってみるとするか。フリーゲルの使う爆弾は非常に強力で爆発したときの被害が心配だ。もし見つけたら解除すべきだ。ただし無理だと思ったら手を出すなよ。」

「りょーかい。じゃあ行ってくるわ。」

私は小型トランシーバーと変装をして学校へと向かったのだった。


 近くの建物の屋上からそっと様子をうかがう。学校の周囲を警察車両と消防車が取り囲むようにして止まっており、赤色灯で学校が浮かび上がっているように見える。

「物々しいなぁ。こんなことして何がしたいのか…。」

今回のフリーゲルの目的、それが分からない。これまでのフリーゲルの犯行は著名人を狙ったり、政治介入のための武力行使だったり、何かしらの目的を公表している。だが、今回は爆弾を仕掛けたとしか言ってきていない。この騒動に隠された目的は一体…。そもそも何百校とある学校全てに爆弾を仕掛けたのか?本命があるのではないのか…。いろいろ考えを巡らせているとふと背後に気配を感じた。そっと振り向いた瞬間、

「やぁやぁ、どうもどうも。ご機嫌いかがかな?」

全身を黒服で覆い、怪しげな仮面をつけた人物が私の顔とぶつかる距離まで一気に近づいてきてこう言った。

「だ、誰!?いきなり人が驚くようなことをするのは嫌われるわよ。」

冷静を装って言葉を返す。

「ふふふ。威勢が良いねぇ。私について質問はないのかい?」

あるに決まってるだろうが。だが、焦らず奏にそっと連絡する。

「奏、黒ずくめの人物が接触してきたわ。逃げるのは難しいかも…。」

「そうか。とりあえず話を聞こう。万が一の時は建物の中に隠れて脱出だ。」

とりあえず話を聞きながら脱出経路を模索することにした。

「どうもどうも、お初にお目にかかります。私、フリーゲルのギュー派幹部ワギュと申します。以後お見知りおきを。」

「フリーゲルの…幹部!?」

「まぁまぁ、そう恐れずに。肩書は幹部ですが派閥の中の幹部なので私は全然下っ端ですわ。安心なさいな。」

大物ではないようだがフリーゲルにいきなり遭遇するとは。

「爆弾騒動の目的は何?」

「随分直球な質問ですね。まぁ教えて差し上げましょう。今回フリーゲルは日本を標的にしています。これはその始まりですわ。」

自信満々にすごいことを言っているが、本当ならばフリーゲルの規模からして対抗するのは難しい。それこそ各国のスパイ組織が協力でもしない限り…。

「そうそう、今回の爆弾は仕掛けてあるのは数か所ですわ。我々もそんなに暇ではないのでね。校舎の屋上に仕掛けてあるので負傷者はある程度出ますが死者は出ないと思いますわ。」

 ワギュが言い終わると同時に後ろから爆発音が轟いた。校舎から黒煙が上がっている。あらかじめ避難は行われていたようでここの学校では死傷者は出なかったようだ。ホッと胸をなでおろして振り返ったときには既にワギュはいなかった。

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