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第三十九話 喧嘩

 廃墟になった建物に行き、そこで互いに向かい合う。


「じゃあ行くね!」


 先に動いたのは私だ。


「はあ!」


 と叫び、風の刃を複数操り、リリシアに向けて一気に発射する。


「効きません!」


 と、彼女もまた風の刃を発射し、相殺された。


「私の真似? 面白いね!」


 そう言ってリリシアに急接近し、拳に力を込めてパンチをする。

 しかし、彼女はそれを足で止め、そのまま火の魔法を上から私の顔目掛けて発射した。


(受けられないね。なら!)


 と、甘んじてそれを受け入れる。痛いけど、でも彼女が油断しきっている今がチャンスだ。

 足を掴み、地面に叩きつける。


「うぅ」

「貴方は不死身じゃないもんね!」


 不死身じゃなかったら体が癒えることはない。私の場合、精神的負荷はあるけど、それだけだ。それ以降に傷が悪さをすることはない。

 だって、言えてるのだから。

 だが、彼女は違う。傷を追ったらダメージは継続的に負荷になる。


「そっちこそ流石は不死身の体ですね!」

「うるさい褒めるな」


 その後、リリシアは足から風を放ち、私から距離を取ろうとする。私の元から逃れるために、


「離さないよ!」


 と、手でその足を掴み、力を入れる。逃さないように。しかし、あまりものリリシアの力によって地面から引き剥がされた。


「悔しー!」


 もっと掴んでいたかったのに。

 悔しい悔しい悔しい!!!


「悔しがってる暇なんてありませんから!」


 と、リリシアが言う。その言葉にふと空を見る。すると空にいくつもの弾を浮かんでいた。それに気づいたのもつかの間その闇の弾が私の方に飛んで来る。


「効かないよ!」


 と、風のバリアを張る。それで弾の進行を抑え、その隙に当たらない場所に移動してからバリアを解除する。


 弾は虚しく地面に落ちていった。


「流石魔王!」


 と、彼女は飛ぶ。ムカつく。


「だからさあ? なんで私が飛べなくてあなたが飛べるの?」


 と、太古の魔王が使ってたみたいな重力魔法を使い地に落とそうとしながら、弾をいくつも発射した。


「私はこんな重力に支配されない!」


 と、彼女もなんとか低空飛行をしながら攻撃を避け、避け、避けまくる。

 当たりなさいよ! ムカつく。


「やるなあ、ムカつくけど!」


 闇の幕を張り、そこから闇の弾をいくつか発射する。いわばそこから弾を発射できるという代物だ。


「当たりませんよ」


 またリリシアは飛び回る。私にできないことをこんな軽々とやってむかつくむかつくむかつくむかつく。


「じゃあ直接!」


 そう言って、ジャンプし彼女を殴りに行く。私にかかる重力は弱くし、リリシアにかかる重力は重くしている。これならだいぶ私がだいぶ有利になるだろう。

 だが、リリシアは即座に闇の剣を作り出す。これで、私を斬ろうってこと!? 

 でも甘い!


「うおおおおお!」


 風の剣を生み出し剣で叩き斬る。その周りに風の刃がくるくると回っている。このままいけばリリシアの肌を上手く切り刻むことが出来る。


 だが、リリシアはそれを察知してか、距離を取ってくる。


 うざいなあ、本当に。



 彼女が放つ弾も私が斬り、私が放つ弾も防がれる。さらに私が近づいても距離を取られる。

 これは均衡状態と表するのが一番正しい。


 だが、このままなのもだるい。勝負を仕掛けたい。そして重力のおかげで私のほうが速い。


 私はリリシアの方に向かって、一気に地面を蹴って、向かって行く。


「これが私の全速力だ!!」


 そしてすぐに追いつき剣で切ろうとする。


 しかし、その前に彼女は魔法で炎の盾を作り、それで私の剣を受けた後、すぐに炎で私の剣を包み込む。

 その炎が剣を伝い、私の手に炎が移ってきた。

 なので私は剣を手から解除し、距離を取ると同時に重力をいったん解除する。


「もう十分でしょう。闇の王を追いませんか?」

「あなたは満足しても私はだめなの」


 早く私が上って証明しないと。うん、たしかに覚醒の儀式を指せたのは私もだけど、

 でも違うのよ! 空を飛べるなんて!


「空を飛べる方法を私に教えられるのならね」

「それはできません」

「私はやっぱり、自分以外の人が飛べるのが我慢ならないのよ」

「だったら私を殺しますか?」

「え?」

「私じゃああなたは殺せません、不死身ですしね。だからもしあなたを殺そうと思ったらさっき闇の王が使ったみたいな絡め手を使わなきゃなりません。ですが、私はそう言うのは使えません。

 それにあなたが本気を出したら私には余裕で勝てると思います。何しろあなたには道徳というものがありませんから、その点であなたは有利ですしね」

「まさか、それで勝った気?」

「は?」

「だって、そういうことはさ、私は負けを認めてるから私のほうが大人って言ってるってことじゃない。それが癪なのよ」

「効かん坊さん。私は! あなたと二人で闇の王を倒したい。そしたらあなたがやってきた残虐行為をなかったことにするから、お願い。それにあなたは、あなたも闇の王に対して怒りの感情を持っているんでしょ。お願い。私の言うことを聞いて」

「うるさい!」


 そう言って炎の球を打つが、彼女は受けの手を取らないでただ被弾するだけだった。


「わかった私の負けよ。今の場は引き分けってことでいいわ。それじゃあ闇の王を倒しに行きましょうか!」


 私は闇の王の行先のほうにドラゴンに乗り、走らす。だって、このまま無抵抗の相手をいたぶり殺しても何も面白くないし。


「魔王。私が提案したことなのに、なんであなたが最初に決めたみたいにしてるんですか?」

「はあ? 別にそんなんじゃないし」

「ふふ。冗談ですよ。行きましょ」

「はーい」


 そして闇の王のもとに着いた。



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