騒がしい奴ら
わざわざ私に、死の山を見せると言うのか?
あの山の硬さは異常だ、ありえぬ。それなのに森を切り開くだと?一体何を考えておる?
「お主、足が速そうだな」
「ええ。その為に王女直々に指示を受け、こちらに参りました」
「であるなら、行くぞ!」
くっ。かなり速いな。だが。
「ほれ、着いたぞ」
これは!?山をくり抜いてるでは無いか!?
(バッカーン!)
何の音だ!?見た事も無い物で、砕けた石が運ばれてる!?
「驚いておる所、申し訳ないが既に、人族の子供なら通れるトンネルは、完成しておった。だがそれだと使い勝手が悪いのでな。今拡張工事を始めた所よ」
(バッカーン!)
!?既にだと!?いや待て、隣のラーライは既にトンネルを知っておる。そして更に、あの森を切り開けば、中央領を通らなくても!?いや中央領がまともでも、このルートが完成すれば、大幅な時間短縮が出来るはず!
「どうだ?森を切り開きたくならないか?」
確かに!その通りだ。流通に変化が起こるぞ!
「まあ、落ち着け我が領の自慢の料理をご馳走するぞ。また着いてまいれ」
「ここだ。まだ全て完成してないが」
(ハァハァハァ)
「おーい。ルカ!2人前!酒も頼む!」
「へーい!しばらくお待ちを!」
「どうした?驚いたか?」
「はい。まさかあの山を、あんなに簡単に砕くとは・・何が何やら」
「まあ、落ち着け」
「へーい!お待ちー!」
「これは?」
「スパゲッティーって、言うんだぞ!今この村で大人気!ほら酒もなー」
「美味い!トマトのソースか!!」
「ああ、そうだ。酒も飲め」
「強い酒だが、独特の風味が合って美味い」
「それ、さつまいもから出来てるんだぞ!」
「!?あのさつまいもか?」
「おう!この前王女様に、作り方のレシピを送ったから、その内お主の領地で育てた、さつまいもから酒も作れる様になるぞ」
「ははぁ。なるほどな!王女がやけにオータ領をよく言うのが解ってきたぞ!こう言う事か!あのさつまいもは、我が国を変える!そして葛もな!」
「中々の植物だろ?」
「あーあ!!こうしちゃおれん!食い終わったら戻るぞ!何人だ?何人欲しい?」
「そうだな。20人だ。しかしいいのか?王女様に確認しないで?」
「あの方も、是非にと言うはずさ!40人連れてくるさ笑」
「本当にもう帰るのか?もっとゆっくりしてけばいいのに?」
「バカを申すな!こんな興奮する事のんびりしてられるか!のぶ殿!!また会おう!」
「ふふふ。面白い奴だな。本当に帰ってしまった」
「お会計でーす!」
「ん?金貨50枚?てめー!ルカ!ふざけんな!!」
「親父殿ー!ただいま!」
「お帰りなさい。あれ?先程の騎士は?」
「興奮しながらもう帰ってしまったぞ」
「え!?もう!?」
「あー。意図が読めたし、自国の発展が解ったからなー。40人連れて来ると息巻いてたわ」
「そんなに!?」
「あー。もし連れて来られたなら、こちらと合わせて、50人か。かなりのペースで出来そうだ。再度確認して来たが、あそこが最短ルートで、高さ4mの高さで橋を作れば、地面の凹凸に関係無く平らな道が完成する」
「そうであるか。先ずはトンネルだな。完成後の運用方法は、進んでおるのか?」
「今の所の予定では、トンネル専用の荷物用台車がそろそろ完成。人用はまあ従来ので。お互いのトンネル前付近で専用の台車へ載せ替えって所ですかね」
「そうだな。トンネル内で台車が壊れたら目も当てられん。台車1台分+1名込み分で料金か?」
「そうですね。今妻とカリムが計算してますよ。後は人のみのもですね」
「まあ、それが無難だろ。森の方は早くても8日以降に何かあるだろー」
そういやークソババーまだ来ないな。あの立て看板も燃えちまったかな!?
一応、鏡でも見に行ってみるか、
どりゃどりゃ?壊れてねーだろう・・うおー!?
「怒りのキックーーー!」
「何なんだよこのクソババー!」
「フン!何よ。鏡の前に、3日も待たせて!」
「待ってんなら!こっち来いよ!」
「まあ、腹いせよ!教えてくれれば私も何か出来たのに!」
「秘密にしてた方が、面白いだろ?」
「ありがとうね。解放してくれて」
「何だ。随分と素直だな」
「まあね。今の帝国を見てるとね」
「ダメか?」
「若い奴から色々してるけど、権力が無いからね。私も中枢から外され気味だし」
「そうか。ならば。誰でも通れる鏡を1セット作れるか?」
「まーたー!何する気?」
「いや。まだ本気で解らんが、1セットを欲しい」
「解ったわ。出来たらこの鏡使って、置いとくわよ」
「すまねーなー!宜しく頼むぞ」
「じゃあ、私は帰るわ。村の発展頑張って!」




