火縄
「ミリオタ、それでは始めるか」
「なにを?」
「おめーさっきの話、聞いてただろ?」
「聞いてたよ。玉薬は今もゴーレム使ってやって貰ってるわよ」
「先ずは、カリムの所へ行け」
「あの商人の所へ?武器でも注文するの?」
「違うぜ。話を聞くだけだ。こう聞け。去年の年末に中央領地で国境封鎖があったかどうかだ」
「国境封鎖?ありましたよ。2週間程。突然の封鎖で、物流は足止めされてましたよ。何でも盗賊が出たとか何とかで」
「ありがとう」
「これで良かったの?」
「ああバッチリの想定内」
「と言うと?」
「支払いってのは武官相手なら誰でもいいんだ。うちの領地の近くには、中央領かライオンの所だ。中立領にはおらん。こっちがボラれてるのを気づいてもライオンの所へは、支払いをさせない気さ。なので、国境封鎖を行うのさ」
「でもさっきの鳥とか籠は?」
「他家の領主からの荷物の中身を開けるのは御法度よ。開けられた形跡は無かったし、まあ開けられたとしても、普通は高価なもんは、鳥で運ばないのさ」
「そうなの?」
「鳥だぞ!居なくなったり、狩られたりしたら大損さ」
「なるほどね。そりゃそうか〜」
「それに中央領の長男は、何処か抜けておる」
「と言いますと?」
「雑だ。中央領から帝都まで早馬で3〜4週間。支払いの確認にそれ位掛かる。かと言って、ボッコとやらの手下が帝都に居ても、帝都からの知らせが国境封鎖で入れん」
「自分達で情報を遮断してしまってる!」
「それだよ!雑すぎる!案外、戦いは直ぐに終わるかも知れん。まあボッコとやらを話をせんと解らんが」
「流石、のぶだね!」
「任せろーー」
「これから何処行くの?」
「兵隊集めさ。爺、ガイ、シスター、ルカは確定よ。爺は、剣は嗜むって言っていたが適性は槍だ。この前試しに、槍を持たせたら、何かを掴んで、恐ろしい槍捌きだった。この村には他には戦いの適正がおらんからな」
「昔、パーティー組んでたからか。そう言えば、ミカちゃんいるでしょ?」
「あー。ルカの所の?」
「この前、6歳になって、教会で加護を受けたら、狙を持っていたのよ。これってもしかして、狙撃の狙じゃない?」
「可能性はあるが、あの子猫がか?いや待て、お前の記憶だと、クロスボウをか」
「そうそう。もしかしたらだけど」
「それなら店に行こう」
「こんにちはー。あっルカさんにミカちゃん」
「おう。どーした? けっ。のぶかよ」
「けっじゃねーよ。ミカを借りるぞー」
「おめーと、おめーの所の長男にだけは貸さねー」
「いいから2人ともついて来い」
「何なんだ?こんな原っぱに連れてきて。的?クロスボウの練習か?」
「まあ、話を聞け。ミリオタ説明を」
「これは、火縄銃って飛び道具の武器よ。まあ見てて。あの的は、30m、50m、100m、200mまずは、30mね。手順を見てて」
「縄に火を?」
「大きな音が出るからびっくりしないでね」
(バァヮーン)
「的に穴が空いたぞ」
「ええ。玉薬って粉に火をつけて、この玉を打ち出すのよ」
「音と煙が凄いな」




