擁壁
潜入隊より報告
防衛線の崩壊による軍の動揺は大。しかしながら降伏意思なし。
またビラを取ろうとした市民を投獄。食料品の支給は行っており、市民の不満は高まって居るが暴動等はは無し。
「どう思われます?のぶ殿」
「我々が思っていた方向では無いな。これだと力ずく攻略になってしまうな」
「他には包囲して、物資の枯渇を狙うかですな」
「それも良いが時間が掛かるのは困るな」
「先ずは、擁壁手前、数キロ迄前進させますか」
「そうだな。我々を見て少しは変わる可能性もあるからな。ミヤそうしてくれ」
我が軍の機甲隊を前衛に展開しつつ、ラーライ軍は中衛、機動性が高い北の国には後衛の布陣でゆっくりと前進し、擁壁が辛うじて目視出来る所で待機。ここで3国で作戦会議。
「最終降伏勧告を断って来たな。どうするんだ?のぶよ」
「そうだな。本来なら空爆、間接攻撃後、制圧なんだが、今回は街に可能な限り無傷で占領したい。破壊すると修復に時間が掛かりすぎる」
「それなら、包囲戦か?」
「それも考えたがそちらも時間が掛かるし、増援の可能性も高くなる」
「ならどうするんだ?お前の所の戦車で直接砲撃か?」
「ああ。その予定だ。戦車砲で擁壁をぶち抜く!穴が開けば侵入は容易になる。そこでライオン軍が突入だ」
「待て、確か妾の記憶だがあの擁壁だが、かなり硬いと記憶があるのだが」
「はっん!戦車砲なら撃ち抜けるさ」
「そうだと良いが。あの街はかつて攻城兵器も効かない、難攻不落の擁壁と言われていたのだぞ?」
「そうなのか?」
「のぶ殿は知らんのか?あの街は中間点にあり、かなりの繁栄をしており、その昔はあの辺り一体を統治していたのだぞ。それを可能にしていたのはあの擁壁だ。籠城戦が得意な街だ」
「帝国は、どうやってあの街を?」
「それは、今から80年以上も前の話だがあそこを統治していた王を暗殺したと言う噂だ。その混乱に乗じて占領さ」
「そうだったのか。しかしなー。戦車砲だぞ?」
「まあ、やってみないと解らんな」