お互いの思惑
「そうであったか。こちらからも書面を送っておったが届いておらんかったか。反応が無かった訳か」
「こちらこそ、遅れてしまって申し訳無かった」
「いや。こちらも人を派遣すれば良かったが、こっちにも帝国が攻めて来てな、我が国と北の国、隣のラーライで撃退が精一杯でな」
「話はそこのグランから聞きました。まさか、帝国が2面作戦を行なっておるとは、我が国でも把握しておりませんでした。時間的に見ますと、我が国への進行が鈍った時期と御国が帝国を撃退した時期と重なりますな」
「推測になるが、帝国からの見て北方面、旧中央領奪還は、直ぐに終わりオータやラーライも落ちると判断したんだろ。そっちに向かった火を吐くや空からのは手間が掛かるので、近場の御国を狙ったんだろ。北方面が直ぐに終わりその後そちらへ向かわせると」
「それが北方面で大敗北、我が国に送る兵力が1時的に枯渇か」
「恐らくそうだ。しかしながら帝国は人口最大。回復も早いとよんで、こちらは防御を固めている最中だ。言い方が悪いが、2正面作戦なんかやらずに、どっちにも手を出したのが奴等の最大の間違いだ」
「今となれば、何故そんな事を?」
「簡単な話しさ。この世に無い新しい兵器を手に入れた。しかも相手は持っていない。となれば、使ってみたいと」
「クッ」
「酷な言い方をするが、今のままで防御戦闘は可能か?」
「恐らく可能かと」
「当面、そのままの状態にして欲しい」
「何故!?」
「今の我が国の力だけでは、帝都まで攻めきれない。途中で敗北してしまう」
「ここには強力な兵器があると聞いておりますそれを使えば!必ず勝てるのでは!」
「まあ、落ち着け。今の話をしている。誰もその先も無いとは話してない」
「!?」
「まあ待て、帝国がブチ切れて、こっちに目が行く様にする準備はしておる!がまだこちらも準備不足。そちらへの帝国の進撃が止まる程のな!準備が整うまでの我慢さお互いに」
「まあ、不安に思うのも仕方ない。確認するが本国とどうやって連絡を取るつもりだ?」
「残念ながら、伝鳥は全て失いました」
「そうであったか。それなら先の話とまだ変わらんな。お互いに情報交換が出来てないと」
「まさか我々を拘束する気か?」
「落ち着けそんな事はしないさ。どの道陸路からの連絡さ。残念ながら御国から難民は毎日来ておる。こちらで保護し、志願する者には武器の操作訓練をし、武器と共に返すしか無い。連れて来た人材は士官候補生だろ?こちらの兵器の使い方を教える。そして指揮官として難民と共に1人づつでも戻れ。12人居れば必ず本国に連絡は間違いなく行くだろ?」
「!?」
「まだ心配なのは分かる、それならこれを見ろ」
「帝国金貨?」
「この中で、鑑定できる奴はおるか?」
「私が」
「鑑定してみろ」
「偽金貨!?こんなに精巧な?こんな事したら!」
「極刑だろ?だが誰が極刑を実行する?ここはまあ帝国領だったが今は違う。しかも国が偽金貨作ってたらお前ならどうする?」
「そんな事をする国は許されない‥ならば攻め落とす」
「そう!それ!帝国がこっちに来て貰わなければ困る。戦力をすり潰すのに」
「ここで作ったのか?」
「あ、あそうだ。既に北の国、中央国の本物金貨は回収した、個人が持ってるのは解らんが。ラーライからも今は回収中だ。細かくは御国と同盟でもないから話せないが帝国内でもばら撒く予定だ!さて問題です!もし貴方が帝国の立場ならどうする?」
「そもそも、ここで作られた物か帝国は解らないではないか!!」
「何故に?だってこっちから言う予定だものここで作りましたって」
「はぁ?何でそんな事を!」
「だから、攻めてきて欲しいのよ。こっちに」
「!?」