船影見ゆ
「港より入電、船影発見、1隻。」
「来ましたか」
「カルサは、どう動くかのう〜」
「先日、打合せをした所、まず小舟で近づき、交渉すると」
「交渉か〜やるの〜」
「はい。恐らく決裂。攻撃の流れになると思います」
「はははぁ〜。奴ら自分達が負けるとは思ってもおらんだろうな」
「相手が可哀想になりますね」
「さて連絡を待つか」
「カルサさんでは、交渉に行って来ます!」
「宜しく頼む!まあ結果は、解ってるんですけどね〜」
「まあ、そう言うなよ!」
「どうだった?って聞くほどでもないか?」
「ええ。その通りですよ」
「じゃあ、配置に着くか」
「我、攻撃す!各50㎜砲、砲撃開始!」
(ドッーン、ドッーン)
「次弾装填、各個に砲撃!」
(ドッーン、ドッーン)
「ウヒャー。恐ろしですな。この50㎜っての」(ドッーン ドッーン)
「ああ、相手じゃなくて良かったよ」
(ドッーン ドッーン)
「あーあー。ありゃーもう持ちませんぜ」
(ドッーン ドッーン)
「練習の賜物だな、沈む迄撃ち続けるぞ!」
(ドッーン、ドッーン)
「各50㎜砲、撃ち方やめ!手漕ぎ舟で救助開始!」
「敵兵を助けるんですか?」
「そうだ。助けて、奴らの元に返す」
「返す?」
「帰った奴等はなんて報告する?」
「あー!なるほど!!!」
「そうそうそれだ!」
「司令部に報告、我砲撃、敵艦沈没、敵救助中」
「ははは。もう終わったのか!?やりおるな!!」
「流石に早過ぎですな」
「港より、入電。敵艦長を捕える」
「ほうほう。これで色々話が聞けるの〜」
「カルサ、戻りました!」
「お疲れ様!しかし捕虜全員の頭に袋被せて行進か。肝を冷やしてるだろうな」
「帝国と同じやり方ですよ。艦長は、別室にて待たせてますので、後は師匠にお任せ致します!」
「よう〜。お主が艦長か〜?」
「ふん」
「まあ良い。海水は美味かったか?」
「・・」
「お前らの目的は、旧中央領だな?その為に、帝国と手を組んだな?」
「軍人がそんな事、知ってると思うか?命令に従ったまでだ」
「そうであるか。立派なものよの〜」
「ふん」
「そんな強気もこれまでよ。残りの4隻も沈めてやるからのう〜」
「ありえん!!」
「最も簡単に1隻沈められおったくせに、まあ見とれと言ってもお主は見れんがな」
「!?」
まさか・・・
「カルサへ、全艦出撃!残り4隻を攻撃せよ。ライオンへ通達、我敵艦攻撃ス。指揮官クラス捕獲せよ」
カルサめ、解っとるな。50㎜が積んでないからって、パンツァーファーストをしっかりと持ち出しとる。射程は短いが、船に積めて破壊力が大きいのを。20㎜やMGだってかなりの物だぞ。やり過ぎん事の方が心配よ。