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 立ち上がって周囲を見回すと、荒らされた畑や薬草畑が見えた。きっと、バートンさんが腹いせにやったんだと思う。貴重な薬草もあったのに、もったいない。

「リアは、ここで暮らしていたんですか?」

 ジェイクが話しかけて来た。

「そうですよ。先祖代々、ここで暮らして来ました」

「話はあとだ。家を出す。そこを退いてくれ」

「わかった。みんな、危ないので端に寄ってください。はい、そのくらいでいいです」

 ハック騎士隊長達を誘導し、自分も危険のない位置まで離れた。

 それを確認したディルが、空間収納から小屋が元あった場所に小屋を出現させた。


「「「なんじゃこりゃああああ!!」」」


 突如、現れた小屋に驚くハック騎士隊長達。

 それもそのはず。2階建ての小屋は年月と共に増設されて、それなりの大きさになっている。それを空間収納から出すというのは、驚き以外のなにものでもないはず。

「ディル、家に入れる?」

「いま、試してみる」

 ディルが扉を開け、一度立ち止まった。いつもお母さんの結界で阻まれて、これ以上先へ進めなかったんだよね。そして、一歩踏み出した。ディルの体は結果に阻まれることなく、中に入れた。

「どうしてだろう?」

「一度、この地から引き離したからな。そのせいだろう。さあ、中に入って飯を作るぞ」

「うん。ハック騎士隊長達も来てください。ご飯にしましょう」


 朝出発してから、休憩も挟まずにやって来た。お腹が空いているのは全員同じようで、反対はされなかった。

 居間は広くなっていて、マグナが4体いても余裕がある。エナが居間に入って来ると、他の3体もついて来た。

「こらっ。おまえ達は外に………」

「外は危ないですよ。エナもいつも家の中で過ごしていたので、自由にさせてあげてください」

「そうか。すまない」

「いえいえ。それより、ご飯の用意ができるまで好きに過ごしてください。ただ、奥の書斎には入らないでくださいね。貴重な本がいっぱいあるので」

「わかった」 


 まず、部屋のあちこちに置かれたランプに火を灯した。ランプは魔石を燃料として明かりを灯すようになっていて、普通の魔道具のように見えるけれど、普通の魔道具よりずっと明るい。お母さんが「妖精さんの力よ」と言っていたっけ。

 台所へ行くと、ディルが大きな肉の塊を切り分けていた。

 わたしはスープを作ることにして、大きな鍋を用意する。

 お店で色々と調味料を仕入れてあるので、いまから料理をするのが楽しみだ。


 やがて、肉料理を中心に料理ができあがった。居間のテーブルにところ狭しと並んでいるけど、台所の鍋にはまだたっぷりと残っている。

 すべての料理を平らげて、寝る時間にはなったけれど、この小屋には寝室がひとつしかない。お客さんを迎え入れるようにはできていないの。

 そこで、空間収納から毛布を取り出し、居間でみんな一緒に寝ることになった。


「リアはベッドで眠ればいいのに」

「そうですね。でも、みんな一緒に寝るのも楽しいですから」


「では、寝るまで少し話してもいいですか?」

「いいですよ。どうしてこんな場所に住んでいたか、それが聞きたいんですよね」

「まあ、そうですね。先祖代々、トリムの森に住んでいるとおっしゃっていましたよね。それは、ナーラ村ができる前より先ですか?」

「よくわかりません。お母さんは、一族のことはあまり教えてくれなかったので。わたしが知っているのは、代々魔女の女系一族で、なぜか女の子しか生まれないということですね」

「男子が生まれにくい、ということですか」

「違います。まるで、呪いみたいに女の子しか生まれないんです」

「呪い、ですか」

「そう。それで、お母さんは子供を持つことを諦めていたそうです。でも、お父さんが現れた。ふたりは恋に落ちて、わたしが生まれたんです」


 お母さんは「約束」のせいで、トリムの森を離れることはできない。だから、お父さんに出会えたのは奇跡だと言っていた。


「魔女ということは、魔法薬を作っていたんですか?たとえば、どんな?」

「えーと。一般的なもので言うと、傷薬とか、風邪薬とか、胃薬ですね。あとは………髪の色を変えたり、動物と話ができるようになる薬ですかね」

「髪の色を変えるんですか。女性に喜ばれそうですね。あとは、変装にも役立ちそうです」

「はい。でも、効きすぎて1年は元の髪色に戻れないので、使い方には気をつけないといけないんです」

「それはすごいな。で、動物と話ができる薬というのは?」

「動物の声が聞こえるんです。お母さんはエナとおしゃべりしたかったみたいなんですけど、間違ってオークに投げちゃって。それが口に命中しちゃって。おかげで、すごい悪態つきながら襲って来るオークの相手をしなきゃいけなくて。結局オークは殺したんですけど、その断末魔も酷くて、とても食べる気になれなかったんですよ。だから、それ以来、薬は作っていないはずです」

「「「………」」」


「ピヨ?」

 エナが横になり、翼をバタバタさせた。

「一緒に寝ようって言ってるの?」

「ピヨ!」

「うん。一緒に寝よう」

 エナに抱きつくと、もふもふの羽毛に埋もれた。



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