表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/23

19


今更だがアーウィナも、ヴァーノンに自分の本当の気持ちを伝えていない事に気付く。

困惑するアーウィナの髪をヴァーノンは優しく梳いた。



「何から話せばいいか分からないが‥‥アーウィナと婚約破棄するつもりはない」


「‥‥‥え?」


「俺は、アーウィナを愛している」


「!?」


「だからそんな事は考えなくていい‥安心しろ」



ヴァーノンの言葉に涙が引っ込んだアーウィナは、鼻水を啜りながらヴァーノンを見つめていた。



「それと、アーウィナの妹であるローレライに好意を持ったことはない」


「え‥?」


「何故そんな不思議そうな顔をする?」


「だ、だって殿方はみんなローレライのような女性が‥」


「俺は特に魅力を感じた事はないが‥‥そうなのだろうか?」



その言葉に力が抜けたアーウィナはその場にペタリと座り込んだ。

そしてドキドキする胸を押さえた。

直様、ヴァーノンはアーウィナを抱え上げてくれた。



「どうしてそんな勘違いを‥‥?」


「噂を、聞いたのです」


「事実無根だ」


「それは私もそう思っていました‥‥‥けれど私が出掛けていた日、ヴァーノン様と大切な話をしたと聞きました」


「‥‥大切な話?当たり障りない会話だけだったが‥‥それにユリサルート家の侍女や執事も同席してもらっていた。聞いてみるといい」


「でも!ローレライは‥‥きっとヴァーノン様の事が好きで‥ッ!」



それを聞いたヴァーノンは困惑気味に頭を掻く。



「それは絶対にない」


「そんな事ありません‥!でなければ毎回、ヴァーノン様がいらっしゃる度に会いに来たりしませんわ!」


「‥‥それは、アーウィナに」


「私‥‥?」


「‥‥」


「何か理由があれば教えて下さいっ!私はローレライにヴァーノン様を取られてしまうのではと不安になってしまって‥!」


「いいや‥‥むしろ逆だ」


「え‥‥?」


「‥‥‥俺の口からは言いづらい事なんだ。それに、アーウィナが傷つくかもしれない」


「覚悟は出来てます!!教えてくださいっ」



ヴァーノンは何かを考えているようだった。



「お願いします、ヴァーノン様」


「だが‥」



アーウィナはぐっと唇を噛んだ。


ヴァーノンはアーウィナの必死な様子を見て、小さなため息を吐いてから口を開いた。




「お前の妹はーーー」




(やはりローレライと何かあったのね‥!)


そう思っていたアーウィナは、ヴァーノンから発せられる予想外の言葉に驚くこととなる。






「お前の妹は、アーウィナ‥お前のことが好きなんだ」





アーウィナは耳を疑った。

けれど真面目なヴァーノンが今、アーウィナに冗談や嘘を言うとは思えない。



「好きって、家族ですから‥」


「そういう"好き"ではないんだ」


「‥‥‥」



ヴァーノンは静かに首を振る。

アーウィナは何度かヴァーノンに間違いはないかと確認するが答えは同じだった。



「‥‥だ、だって私達は姉妹ですよ?」


「あぁ‥‥そうだな」


「どうして‥?」



呆然とするアーウィナに、ヴァーノンは真剣な表情で口を開いた。



「ただ、ローレライはそうは思っていない」


「‥‥」


「直ぐには信じられないだろうが、俺は何度もローレライに"お姉様と別れろ"と言われている」



アーウィナは言葉を失った。

自分が思っていたことと、全く違う展開だったからだ。


ヴァーノンは、その場で動けないでいるアーウィナに全てを話してくれた。


今までローレライはヴァーノンとアーウィナの仲を引き裂こうと動いていた。

ヴァーノンは勿論、それに抵抗していた。


妙な噂を流したり、直接弱味を握ろうと後を付け回されたり。

それだけではヴァーノンは折れないと分かったのか、ついには刺客まで差し向けてきたのだという。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ