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第三百六十五話 ギルド内の変人たち

「はぁ…はぁ…仕事だぁ!」

ユ「…」


久しぶりに冒険者ギルドに来て、なんかいい依頼がないかと吟味していたら

ギルドの中にある長椅子で寝っ転がりながら紙を見つめている明らかにヤベェ奴がいた


ユ「何あれ」

シ「俺に聞くな」


シューゴに質問したが、わからないと即答され

二人であの人の様子を眺めていた


受「お久しぶりです」

ユ「あ、うん…あれは…」


挨拶されたけど

流石にあの人が気になりすぎて、質問した


受「ああ、あの人ですね。先程、ギルド内で病気なのにも関わらずここに訪れて、倒れた人です」

シ「それで、仕事を渡して生き返ったと…」

受「はい」


察しのいいシューゴがすぐに説明してくれたけど


ユ「…えっ?…えっ?」


理解できなかった

そりゃあそうだ


シ「ユートもメンタル死にかけになったら二次元に逃げるだろ。それと同じだ」

ユ「あ〜!なるほど!」


そう説明されるとすぐに理解できた


エ『人間というのはすごいですね』

メ『だな!』

テ『ただこの人達がおかしいだけですよ』


なんか感心しているけど

あまりこういう人種はいないと思う


「俺に、俺に、仕事を恵んでくれ!」

ユ「休みを与えたほうが体に良さそうなんだけど」

シ「思った」


休んだほうがいい感じの目をしているし

病気だからさっき倒れたんだよな?


ユ「風邪かどうかはわからないが、違う部屋に運んだほうがいい」

「ですよね。ですが、あのお方強いのです」


どうすることも出来ないらしい


ユ「マスターは?」

「出張中です」


あいつが何か言えば変わりそうだけど

こんなめんどくさそうな時にいないのか…


「この依頼を受けさせてくれ!」


あの男が男の受付に向かっていっている


「やだね」

受「…」


なんか隣りにいる受付嬢が嫌そうな顔をしている


受「一番、会わせたくない人たちが会ってしまいました」

ユ「えっ?なんか問題でもあるの?」

受「はい。相反する者たちなのです」

シ「仕事したい人対仕事したくない人ってことか」

ユ「ファイ!」


ゴングを手に持って鳴らした


シ「すんなし」


ゴングとそれを叩くための小さい木のハンマーをどちらも取り上げられた


受「あの受付の人…仕事がしたくなさすぎて受付の仕事をしてくれません」

シ「どうしてクビにしないんだ?」

受「それは…」


喧嘩がもうすでに始まっていて

殴り合いになりそうである


「俺にこの依頼を受けさせろ!」

「だから、断るってんだ。資料整理とか、依頼受注とかめんどくさいんだよ。他の受付嬢に頼んでくれや」


耳の中を小指でまさぐりながら目の前の相手を適当にあしらっている


「人が混んでいるじゃないか!」

「まちゃあいいだろ」


正論だけど、この男が働けばいいだけである


「待ってる暇などない!」

「とにかくうるさい。それにお前、病人なんだから、静かにしろい。お前みたいなのが吐いたりしたらこっちも困るんだからさ...」


耳から何かが取れたようでなんかスッキリしたような顔をしていた

そして、小指にそっと息を吹きかけてから半開きの目をちゃんと相手に向けて話し始めた


「んだと!」

「病人は余裕が無いから気性が荒いのか?」


仕事中毒が受付を殴ろうとしたが

その瞬間、受付が仕事中毒をはたき、地面に叩き落とした


「ふぁぁ〜」


そして、余裕そうにあくびをしている


受「ご覧のとおりです。荒れた人たちの多いこの冒険者ギルドにはあういう強い受付が必要なのです…少し問題ありですが」

ユ「力が強い人はクセも強いんだなぁ」


目の前に例が2つあってため息が出そうだ


テ『人の振り見て我が振り直せですね』

メ『人のこと言えねぇな』

エ『ですね』

シ「一番の異端児が何言ってるんだ」


おー集中攻撃


ユ「えーっと…依頼、依頼」


関わらないように、俺達は依頼を受けようとした


受「あの…お願いなのですが、運んでいってくれませんか?」

ユ「ああ、わかった」


地面にはたき落とされた仕事中毒のやつが気絶していた


シ「どこに持っていけばいいんだ?」

受「冒険者ギルドの、ある部屋で休ませましょう」

ユ「持っていくか」


おんぶしていった


「頼んだぜ〜」

ユ「なんか、カンタみてぇだな」


めんどくさがり屋的な部分が似ている感じがする


シ「俺たち、依頼を受けに来たんだが…なんでこんなことに」

ユ「俺が運悪いせいかな」

シ「だな」

ユ「否定してくれよ」


その人を運んでいって、寝かせた瞬間起き上がってきた


ユ「ぶっ!」


そして、俺の顔にぶつかった


「悪い!だが、俺は仕事をしたいんだ!」

ユ「理由になってなくない?」


理屈が通っていない


シ「依頼というのは何だ?」

「村を襲っている魔物の退治だが?」

シ「ユート付いていこう」

ユ「えっ…なんで?」


流石に困惑した

個人的にはこいつとはあまり関わりたくない、と思っている

シューゴもそれは同じだと思っていたのだが


シ「お前はあの混んでる中待てるか?」

ユ「無理。行くか」


即納得した


シ「俺たちも同行していいか?」

「仕事仲間か!良いだろう!同じ仕事を愛する仲間として歓迎する。」


手を出してきた


ユ「お、おう、よろしく」


「仕事を愛する仲間」という言葉は否定したかったが

流石に手を出しているのに答えないのは失礼だなと感じたので、握手を交わした


ユ(こいつ、アンリウム先生に似たところを感じる)


暑苦しいところとか


「じゃあ、愛しの楽園(仕事場)へ向かおうではないか!」

ユ「おー!」

シ「おー...」


冷静なシューゴだけこの暑苦しい雰囲気についていけてなかった


ユ「よし、行くか」

「場所はこっちだ!」


と言って走り出してしまった

しかも、かなり速い


シ(そういえば、こいつ病気だった気がするんだが…馬鹿なのか?)


ユートと一緒にいるせいで

馬鹿は風邪を引かないというのが現実じみてきてシューゴも信じかけている


ユ「お前意外と速いな」

「お前らもだろ!」


風を切るようにして走っている

もうすぐ目的の村に着くみたいだ


「ついたぞ!」

ユ「速いな」

シ「爆速だ」


三十分も経っていないはずだ


「さぁて、仕事仕事」

ユ「あれ病気だろ」

シ「だから今病気だって」

ユ「…そうじゃん…体の中に薬の成分でも作っておくか…」


風邪薬かな

まだ症状を見てないからわからんけど


ユ「物によっては吸収率が高くなっちゃうから、少しだけ噛み砕かれたご飯も入れておくか」


いまお腹が減っているかはわからんけど

もうすぐ昼だから有り得そうだった


「村人から話を聞いたぞ!」

ユ「詳細をお願い」

「ゴブリンの巣が近くにあるらしい」

ユ「了解」


ということでそこに向かうことにした


ユ「ここがか…」

シ「洞窟みたいだな」

ユ「火でも放って、入り口を塞いだら、一酸化炭素中毒で殺せるぞ」

シ「それか入り口だけ塞いで一週間後に来て、餓死させるか?」


結構陰湿な倒し方の案が出てきた


「進むぞ!」


歩いて進んでいった


シ「魔法を使ってみたい」

ユ「頑張れ〜。俺は前衛やるから」


今回は、銃も、円筒形の蛍光灯の武器も使わない

変に疑いをかけられるのを防ぐためにだ


ユ(そろそろ、名前つけるか。あの円筒形)


名称があったほうが何かと便利な気がする


「そういえば、お前の武器は何だ?」


予想していた質問が返ってきた

いつものやつが使えないから今回は別の武器を用意してきた


ユ「ん?俺の武器は、これだよ」


アイテムバックから手でがっしり握ることが可能な1メートルほどある細い円柱形の木の棒を取り出した


「そんな木の棒でも戦えるのか?」

ユ「これは、じょうって言うんだよ」


合気道で使用していた武器だ

あまりこっちでは馴染みが無いんだろうな


ユ「まぁ、早速。敵が来たな」


というと仕事厨が構え始めた


「とっとと終わらせるぞ」

ユ「なんか急いでる理由でもあるのか?」


ちょっと少し焦っているようにも見える


「俺にはな。まだやらなきゃいけない仕事が残っている」

ユ「かっこいいけどダサい気がする」

シ「わかる」


仕事にそこまで、力を入れなくていいのに…


ユ「ん?」


遠くから大量の石が飛んできた


ユ「“片手・八の字返し”」


じょうを片手で持ち、八の字の形に振り回して石を跳ね返した


ユ(多分、本来の使い方と違うと思うが。知っている中でこれが一番いいと思った)


そもそも、人に対してやる技だから

使う相手すら違う


ユ「俺が守ってるから、魔法の練習頑張って」

シ「わかった」


シューゴが後ろで魔法を唱えている

そして、俺はあることに気がついた


ユ「…今回は普通の木で作っちゃったから、石を弾いてボロボロになってしまったな…」


変に疑われないように普通のを作ったらもう壊れそうだ

ということでその棒はしまって、違うのを使うことにした


ユ(他の武器で、この世界にもあるもの…)


ふと魔法軍の死神のことを思い浮かべた


ユ(鎌かな…)


違う武器を思い出して鎌を出した

右手に鎖鎌、左手にただの鎌を持った


ユ「遠距離処理だけさせてもらうか。なんかあいつどんどん出てくる奴らを倒してるし」


俺は飛んでくる石をどんどん落としていった


シ「“火球”」


火球を放ち

あるゴブリンの隣を通して、奥のゴブリンに当てようとした


シ「…」


と思ったら、方向転換をし

奥にいたやつの隣りにいたゴブリンに火球をぶつけた


シ「…なるほど。ということは…“氷柱ひょうちゅう”」


氷柱を撃ち、色んな方向へと飛ばして

ゴブリンを三体ほど貫いた


シ「これは便利だな」


他のももちろん試していた


シ「”這い寄る魔の手”」


指で円を描きデコピンをした

空間が割れ、中から大量の手が溢れるようにでてきて相手を全員拘束した


シ「洗脳系は...使うとあまりいい印象を与えないから、使うことはあまりなさそうだな」


と言いながらゴブリンを一体洗脳して、奥に送った

縛られているゴブリンを全員倒し終わったあと血まみれになってさっきの洗脳ゴブリンが帰ってきた


シ「...通りで法律で禁止されてるわけだ」


洗脳ゴブリンを倒した


ユ「満足か?」

シ「ああ」


あの後、まだ残っていたゴブリンをすべて倒して

巣を出た


------------------


「俺は次の仕事に行く」

ユ「そうか…」


仕事のやる気が無限にあるやつだ


「さらば、どうしよ…」


仕事厨去ろうとした瞬間、全身から力が抜けたように

ふにゃふにゃになって倒れた


シ「こいつ!病人なのに、無理しやがった…」

ユ「よし、冒険者ギルドに運ぶぞ〜」


魔法で抱えて運んでいった


受「ありがとうございます。この人は家に運ばさせていただきます」

ユ「直さないとしごとをやらせないって言って鎖とかで縛れば?」

シ「暴走して逃げるんじゃないか?」

受「はい...過去に大怪我をした時にあまりにも長い期間仕事ができなかったため首につけられた鎖を首の筋肉だけで破壊しました」

シ「ほらな...えっ?」


冗談のつもりだったんだろうけど驚きを隠せていない


受「とりあえず、家に運んでいきます。ここまで連れてきてくださりありがとうございました」


お辞儀してる顔見知りの受付を背にして俺たちはギルドを出た


ユ「よかったな、実験できて」

シ「おう」


二人して帰路について歩いていたが、俺だけその帰路から外れた


シ「どうした?」

ユ「俺はちょっと残るわ。今日予定があるんだわ」

シ「わかった。俺は先に帰ってる」


そして、夜

王都が静かになった頃


「こんにちは」

ユ「よぉ」


ある人に会いに来た

読んでくださりありがとうございます

もし誤字、質問、変なとこなどがありましたら教えてください


この話へ一言 シューゴから

シ「ユートの杖の技...あれ名前を言ってるだけで、普通にフィジカルで石を弾いてるだけに見えたけど...」

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