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第三百六十二話 宴の余興

シ「あっぶな。頭ぶつけるところだった」


シューゴが魔法で頭を守っている


ユ「魔法なんだな」

「あまり体術は得意ではないので」


始め、風圧があったのは小手調べとして

魔力をなるべく溜めてから空気弾を撃って、それに対抗すために巫女が風を使ったからである


ユ「なんか弾を撃っても当たんなそうだな。そういや、これはどうやったら終わるんだ?」

「降参したらじゃないですか?」


疑問系ということは、そこまで考えていなかったのかもしれないな


ユ「まぁ、それか首に剣を当てるとかかな…」

「それで、普通の人は死にますが…」

ユ「あっ。これで行こう」


首飾りを作った


ユ「これが壊れたら負けで行こう」

「わかりました。それは…藁人形と同じものでしょうか?」


勘が鋭いのか?

なんでわかったんだろうか


ユ「ああ、そうだ。これが壊れたら一度死ぬことになる」

「そういうことですか」

ユ「渡しておくよ」


投げて渡した

そして、首につけた


ユ「じゃあ、再開しよう」

「はい」


もう一回始めた


ユ「これで、殺す気で行ってもだいじょうぶってことだからな。手加減は少しやめるか」


一度は耐えてくれるからな


「少しなのですか?」

ユ「本気でやると、地球壊れるかもな。てか、試合にならなくなる」


隕石とか作れちゃうし

もしかしたら、その隕石を地球よりも大きくして地球を破壊しかねない


「なるほど、それがすごい自信ですね...」

ユ「あー...」


よくよく考えたらさっきの言葉は相手からしたら煽りのようなものにもなりかねないのか


ユ「えーっと...煽ったつもりはないんだけど...悪い」


いつも煽られてるからこそわかる

だからすぐにお辞儀で謝った


「いいえ大丈夫ですよ。この宴のただの余興なので。手加減よりも面白さが欲しいですね」


優しい言葉をかけてもらった


ユ「なるほど、じゃあ地球が壊れない程度に本気で行くわ」

「わかりました」


それでいいようだ


ユ「“氷柱”」


大量の先が尖った氷柱を作り

まっすぐ当てに行った


ユ「うーん、そうかぁ」


放ったものが撃ち落とされることもなく、そのまま巫女へと直撃して行った

しかし、当たったかと思ったけど、守られていた


「当たりませんよ、こんなの」

ユ「流石に防げるよな。最強」


まぁ、防げなかったら相手にならないからな


ユ「うーん…幽霊に攻撃当たるのだろうか。いや、リーファと同じだから人間なのか」

「私は姿が見えない以外は人間とほぼ一緒って考えていいでしゅお…」

ユ「ぶふっ…」


ちょっと吹きだした


ユ「さっきまで普通に話してたのにな!ははっ」


面白かったから、満足だ


ユ「さて、どうやって殺すか」

「どうやって殺しましょうか」


会話だけ見たら完全なる殺し合いの場である

お互いの戦闘欲をぶつけ合うような戦いが今始まった


ユ「まぁ、これしかないよな」


殺す手段を今思いつくところ一個くらいしか手がない


ユ『メラ』

メ『おうよ!』


手から青い炎を出した

メラの作ったものだが


「…ふふっ」

ユ「俺なんかしたか?」


余裕そうに笑っているから不気味だ


「私…それ効きませんよ」


圧倒的ボスの風格だった


ユ「まぁ、試すだけだ」

「かかってきなさい」


炎を巫女の方へと放った

だが、避けられた


「当たるとも言ってはいないですがね」

ユ「こいつ…」


キクチと似たようなところを感じる

悪いところでな


ユ「まぁ、弾はいくらでもある」

メ『まぁ、弾はいくらでもある』


二人の言葉がかぶった


エ『見栄を張っていますが、流石に限界ありますよ』

ユ『あっ、そうなの』


流石にあるらしい

だが、それを相手に言うと逃げ切ったときの希望を与えてしまうから

言うのはやめておこう


シ「最強って名前だけじゃなかったんだな」

「そうだぜ〜」

「あの巫女さん俺たちと違ってめっちゃ強いんだぜ〜」


おっさん幽霊たちが試合を眺めて独り言をつぶやいているシューゴに話しかけてきた

片手に酒瓶を持っている


「俺たちが束になっても勝てねぇんだからよぉ!」

シ「まぁ、巫女は幽霊を専門的に退治するイメージがあるからな」


幽霊に対しては、普通の人より強いっていうイメージしかなかった


ユ「じゃあ、次は…これだな」(メラ、誘導弾にしてくれ)


青い炎の玉を投げた

これは投げる技量は関係ないので、どんなに下手な俺でも当たりに行く


「こんなの当たりませんね…」


余裕そうに避けた後、後ろに行ったその炎がまた戻ってきたのも避けた

そして、巫女はそれをノールックで打ち消した


「誘導弾ですね。魔法でしたら、私は結構詳しいですよ」

ユ「…うーん、まぁ。そうかぁ」


流石にこんなので当たるとは思っていない


ユ「むしろこんなので当たったら最強って何だって思うが」

「ふふっ、ですよね」


共感しているみたいだ

さすが幽霊最強と名乗るだけはあるな


ユ「よし。そろそろ当てに行くか」

「確信を持てる技があるのですか?」

ユ「うーん、どうだろう」


わからなかった


ユ「まぁ、弾はとりあえず百個くらいにしよう」


自分の後ろに百個の青い炎用意し、全て巫女に向けて放った


ユ「俺が入学式で避けたものの10倍だ。行けるかな?」

「さぁ、行けると思いますよ」


文字通り、一発も当たらない

後ろに目が付いてるのか?こいつ…


ユ「まぁ、見てるだけだとダメだよな」

「っ!?」


俺は転移魔法で巫女の真後ろに移動した

弾で誘導して、自分の攻撃は避けられてないようにした


ユ「よし!」


思いっきり顔にメラの作った青い炎を纏った拳をぶつけて、地面に叩き落とした


ユ「…」

「私に効かないと言いましたよね?」

ユ「まじか!」


手を離そうと思ったが、遅かった


「“霊光線れいこうせん”」

ユ「!。…」


何か太く白い光線が自分に向けて放たれた


ユ「防ぐk...」


その白いものからは得体の知れない何かがあった

今まで生きていて感じたことない不思議なものが襲ってきた

殺意あふれる学校でも、自分に向かって挑みにくるダンジョンでも感じたことがなく

それはゲームで俺にボコされてシューゴから向けられる怒りでも、イリヤから感じた優しさでもない


ユ(そこに何もないのに見えてるからか...?)


頭の中をオーバーヒート寸前までフル回転させて考えていると

もうその光線は自分の目の前に行た


ユ「やばっ!」


大量の思考へて、危ないと感じ咄嗟に避けたが

自分の左腕だけが光を浴びた

だが...何も起こっていない


ユ「?。何も起きてないぞ」

「普通の人体には何も起きませんよ」


余裕そうな表情で、人形の透明な何かを右手に掴んでいる

まだ小さい


ユ「…それは?」

「これは、あなたの魂です。私の攻撃を喰らう度に取られますよ」


さっきの光線はそういうものだったのか

多分腕にあたったはずだが…


ユ「ちなみに、全部取られると?」

「死にますね。今回は返しますけどね」


それは死んだ後にだろうな


ユ「てことは普通は返さないのか…」

「当たり前じゃないですか。まだ、腕一本程度なので勝てるかもしませんよ?」

ユ「…取られると、なんか不利になるのか?」


腕一本程度で何か言うってことは、自分に何か不利なことがあるのかもしれない


「それは、すぐにわかりますよ」


次に別の方法で攻めようと思ったら

体が重い


ユ「!?」

「それです、魂が取られるとステータスが低くなります」

ユ「なるほど…」


ドコッ!


「何をしているのですか!?」


試しに地面をぶん殴ってみた

予想できなかったのかちょっと焦り気味で聞かれた


ユ「ホントだ…少し力を弱めたけど、弱くなってるな」

メ『それでも、辺りを割るのは普通の人でもそんなに居ないけどな』


とは言っても、こっちの世界に来た時よりは見違えるように成長している俺からすれば

今の状態は来たときの二倍くらいは強く感じる


テ『基準がバグって来てますね』

ユ『慣れてきたな』


長い間過ごしていれば、次第とその場所に慣れるものだな


ユ『三年で前の二倍以上に強くなったのか…』

メ『人間の成長速度じゃねぇな。もともとが強いのに』


確かに、もとの数値が大きいからそこからの二倍というのは相当時間がかかるはずだ

本来はな


ユ『意外だな。人間との関わりはあんまりないはずだが』

メ『三年も王都に通っていればわかるわ』

エ『あなた達が異常っていうことにね』


精霊たちにも異常と言われてしまった

そんなにだったのだろうか


ユ「でも、戦えないことはない」

「その意気ですよ」

ユ「なんか師匠キャラだな」


上から目線な感じがする


ユ「でも、スキルが衰えるわけではないからな」


自分の体が衰えようと、スキルが弱くなることはないみたいだ


ユ「流石にスキルが使えなくなると、降参するな。俺」

「流石にスキルは奪えませんね。ですが、取ったところでそんなに変わらない気がしますが」

ユ「そう?結構変わると思うけど」


俺の使うものは大体はスキルを頼ってるから

無くなったら死ぬと思うけど


ユ「まぁ、そんなこと話してる場合じゃない。どうやったら、殺せるんだ?」


さっき幽霊に効くとされている青い炎を浴びせても効かなかった

だから、現状殺す方法が思いつかない


「あの子を殺す方法を考えれば良いんですよ。種族は同じなので」

ユ「リーファを…」


巫女の言ったことを考えると

頭から冷たい汗が溢れてきた


ユ「無理だ。敵を倒すように殺しに行く」


さっきの悪魔の囁きのようなものは無視して

戦いに行くことにした


「基本的なところは普通の人間と同じってことですけどね」

ユ「よし、そう考えるわ」


さっきまでは動揺が顔や動作に出ていた

俺の精神状態を察したのだろうか


ユ「てか、そうか。弱点は人間と一緒なのか」

「効かないものもありますが。首でも切られたら死にますよ」

ユ「ちゃんと弱点教えてくれるのはありがたいな」


感謝すると同時に、風の刃を巫女に向かって放った


ユ「あれ?」


首をはねれば普通の人なら死んでいるはずだ


「何でしょうか?何か変なものでも見ました?」


風の刃で首を狙ったはずなのに、透き通って当たらなかった


ユ「リーファも出来るのか?」

「これはわかりませんねぇ」


これ普通にわかってなさそうである


ユ「攻撃が透けるとか、倒せないんだけど」

「だから、厄災扱いされるので。昔は、たまに実力に自信のある冒険者が挑みに来たりしましたが。今でも私のことを知っている人たちはたまにきますよ」


てことは結構こいつ有名だったりするのだろうか


ユ「なら...結構人と関わりあるじゃん」


全くないわけではなさそうだった


ユ「だったらさ、人に話しかけられるのは慣れてんじゃないのか?」

「冒険者の人たち話通じないので」

ユ「あっ…うん…」


確かに、俺達の話を聞いてくれる人は少ない

だから共感できてしまった


「だから、人とまともに話したのは今回が初めてですね。おそらく」

ユ「おそらく?」

「私が忘れているだけかもしれません」


なるほど


ユ「当たり判定が無いとなぁ。倒せる気がしないんだよな」

「一応、弱点はありますよ」


弱点があると知って、ちょっと無くなっていたやる気が溢れてきた


ユ「あっ、そうなの?てか言ってよかったのか?」

「これで戦意を失われて、この宴が盛り下がるのはやめたいので」

ユ「…観客を気遣うなんてすげぇな」


俺なんて、戦いになって

それに飽きたら速攻で終わらせるときが多い


ユ「よし。じゃあ、倒すまで戦い続けてやる」

「いいですよ。私も負けませんから」


相手を倒すまでずっと戦い続ける覚悟ができた二人だった


----------------


シ「二人とも戦闘狂だろ」

「よな〜。でもあの巫女ちゃんは初めて相手になる人が来て嬉しいんでしょ〜」

「そーそー。だから、今の所攻撃をあまりしてないんだろうね〜」

シ「なるほど。厄災は強者つわもの揃いだな」


今までの厄災達と比べて一段と強い気がしていた


--------------


ユ「全部で攻撃に行ってやる」

「はい」


さっきは魔法で行ったから


ユ「次は体術で行くが、出来るか?」

「行けますね。伊達にここで修行していませんよ。道場もありますし」

ユ「道場あるんだ」


今度行こ


ユ「俺の攻撃に耐えられるか?」


というと同時に、巫女の顔の横に右手の拳を突き出した


「やってみせましょう」


俺の攻撃はただの殴りや蹴りだ

武術は相手の攻撃をいなしたり防いだりする合気道しかやってないから、体術に関する攻撃の技術は全く詳しくない


「かかってきてください」


少し後ろに下がった


ユ「かかってこい、とかじゃないんだな。まぁ、良いや。行くね」


後ろに下がった巫女を追いかけるように、詰めていった

そして、自分の間合いに入った瞬間、拳を出してもいなされた


ユ「…そうやるのか」

「体への負担が少ないので」


攻撃を何十回も繰り返すが、全部いなされてしまう

力を地面が割れるくらい強めても、早くしてもいなされてしまうから

一旦下がった


ユ「てか、そっちからも来ていいからな?」

「では遠慮なく」


気がつくと、自分の下に居て顎にめがけて殴られるところだった

ので少し後ろに下がった


ユ「こっちもな」


そして、その腕を掴んで、背中を向けてから持ち上げそのまま地面に落とした


ユ「“背負投”だ」


柔道の技だけど、簡単なものなら俺でも出来る


「思ったより痛いですね」

ユ「降参する?」

「するわけないじゃないですか」

ユ「なら…」


地面に叩きつけてから、追撃として巫女にめがけて拳をおろしたが、転がって避けられた

それと同時に、腕を掴まれた


ユ「あっ…」


振りほどこうにも、巫女の力が強くて離すことができなかった


ユ「…“腕抜け”」

「あっ、抜けられてしまいました」


一応、掴まれている腕から抜ける方法はあるからな

皮膚が引っ張られたりして、結構痛いからやりたくないけど

てかこの薄いリアクション、この技自体を知っているようだな


ユ「“転移”」


攻防に疲れたから、少し離れた


「まだまだ行きますよ」


というと、すぐに詰めてきた

今度は蹴りだ


ユ「危ないな…」


頭をかすったが、直撃はしていない


「避けきったとは思わないほうが良いですね」

ユ「ぐっ!」


足が上にあったが、すぐに下ろして

反対の足で回し蹴りをしてきた


ユ「いってぇ…」


横から顔に直撃した

直撃させてきた足を攻撃しようと思ったが、もうすでに後退していた


「あら、治ってしまいました。攻撃をたくさん当てているから、少し回復能力は下がっているはずですが」

ユ「回復力だけは、異常なんでな」


もともとが高すぎるから、あまり取られても変化がない


「これも経験の差でしょうか?」

ユ「なんだよ」

「隙がたくさんありますからね」


気が緩んでいるのかもしれない

もしくは、この幽霊が強すぎるからかもしれない


ユ「…また重くなった」


攻撃されるたびに取られていくから、体が余計に重く感じた


「今回は頭一個分もらいました」


そう言って、俺から取った魂を見せてきた


「あと先程掴んだときに、結構吸いましたね」

ユ「なるほど…通りで腕二本分くらいより重く感じるわけだな」


さっきより断然体が重く感じた


「見た感じ、あと残っているのは始めの片足くらいですね」

ユ「…」


ちょっと黙った


ユ「てことは、あと10か15%くらいか」


大体、これで初期よりちょっと弱いくらいか…


「これくらいになると、少し動きが遅めに見えますね」

ユ「くっ…」


近寄ろうと思ったら、自分の想像より遅くなっていて

その間に詰め寄られそうだったのですぐに引き返した


ユ「”転移”!」

「捕まえられそうでしたのですが...」


今の自分では捉えられないような速度で詰められて行った


ユ(目立った傷はないけど...思ったより追い詰められてるな...)


明らかに自分の衰えを感じる


ユ(一旦、逃げるか...)


後ろに向いて踏ん張り、地面を思いっきしけった

だが、地面が割れることはなく

すぐに追いつかれてしまった


「逃しませんよ」

ユ「ヤンデレみたいなセリフだなぁ!」


ヤンデレ台詞を聞いた瞬間巫女からの回し蹴りを喰らってしまった

一応防ぎはできたが、それでも攻撃を当てられたという事実は変わらない


「また取れましたね」


鳥居にぶつけられて意識を保つのが精一杯みたいな状態になって

前を見てみると9割近くの俺の魂を持っていた巫女がそこにいた


ユ(…どうやったら、勝てる…?)

テ『簡単ですよ』


絶望に拉がれて

悩んでいるところにテキストさんが出てきた


ユ『えっ?』

テ『今の自分が強くなれば良いんですよ』

ユ『そんなバカみたいな…』


漫画みたいな展開があるわけ無いだろう、なんて考えていたが

自分の潜在スキルを思い出した


ユ(成長に特化してるじゃん)


そう思うと、顔がにやけてしまった


「…黙ってどうしました?」

ユ「…」


自分がこの場で強くなれば良いんだ


単純な答えが出てきた


「笑っていますけど、大丈夫ですか?」

ユ「ははっ...」

「このままでは不味そうですね...では、死んでもらいます」


至近距離で手を俺の方へと向けて攻撃を放とうとした


「”霊光線れいこうせん”」


音はなかった、衝撃もなかった

あったのは鳥居の端っこが光だけだ

そして、ユートの姿はそこにはなかった


「っ!?どこに!?」

ユ「こっちだ」


声の方向を向いてみるとそこには空に浮遊しているユートの姿があった


ユ「...これから一時間ほどお前と殴り合うぞ」

「その度に取られますけど?」


余裕そうである

というか勝ちを確信した顔だ


ユ「大丈夫じゃない?って思ってさ」

「…なぜですか?」


ちょっと黙ったから

これは当たりだろうか


ユ「なんか、変な気がして。いつも言葉遊びしてるからかもしれんけどな」

「言わないのですか?」


言ってほしいのだろうか


ユ「じゃあ、言うわ。お前のその魂を取る能力さ、だんだん一回に取れる量減るだろ」

「…」


それをいうと急に黙り始めた


ユ「だんだん密度が薄くなってな」


食塩水の質量パーセント濃度の問題みたいに


「…なんでわかりました?」

ユ「なんか『始めの』って言ってたからだな。それ言わなかったら気づいてないな」


普段から言葉で誤解を生まないように注意している

俺だから気づいたかもな


ユ「ちなみに質問だけど、今の状態で強くなった場合。その魂が俺の体に戻ってきたら、前より強くなる?」

「なりますね。ただ、魂の量は増えないですから」

ユ「なるほど」


普通に考えたら、百から増えるわけないよな


ユ「一時間ほど戦って俺はその中で強くなってやる」

「そうですか、やってみてください」


そして、俺は一時間ほどずっと戦い続けた

殴ったり、蹴ったり、時には殴られたり

走ったりとずっと続けた


---------------


(1時間まであと30分...それまでに倒さないと)


ユートを撃退することに集中しているが

なかなかできずに焦っている


(本来なら魂を半分取った時点で、どんなに強い人でも私より弱くなったのですが...)


もうすでにユートの魂を95%も取っているが

さっきの一時間発言から、一向に倒せる気がしない

それどころか...


(より...早く...強く...)


ユートの成長をどんどんと実感していたのだった


---------------


ユ「…はぁ…はぁ…」


流石に疲れた


「た、体術で行くと言ってから、他の攻撃をしませんね」

ユ「…まぁ、なんかズルっぽいからな」

「礼儀や規則に従って戦うその感覚、騎士みたいですね」

ユ「そ、そうか?」


普段は騎士からかけ離れてる感じするけど


「別に他の攻撃もいつでもいいですよ?何を使っても卑怯とはいいません」

ユ「そうか。じゃあ、そうさせてもらうよ」


戦闘に使えそうなものを考えて置いた


「素直ですね。悪い人に騙されそうです」

ユ「うーん…嬉しくないな」

「褒めてはいるのですがね」


実際、よくキクチ辺りに騙されているからな


ユ「行くよ」

「はい、では待っていますよ」


大量に玉を撃った

今度は常人には見えない速度で飛ぶ鉛玉だ

勿論余裕そうに避けられた


「これはさっきもやりましたね」

ユ「どうかな?」


たくさんの弾と同時に近づいて、首を掴んだ


「ぐっ…不思議ですね。さっきまで姿が見えなかったのに」

ユ「目で追えなかったんじゃないか?」


弾をたくさんと自分の目を使って、視線をずらし、自分に視線が向かないようにミスディレクションという技をしたが

成長したのも確かだ


ユ「で?どうする?」

「では、降参します...」

ユ「えっ?」


あまりにもあっけなさ過ぎた


「首を掴まれた時点で私の負けです」

ユ「お、おう…」


そうだったのか

未だに何があったのか全部理解できていない


「それに、ユートさんの魂はもう取ってもあまり変化しない域まで行っているので。これからあまりとっても強さが変わりません。だから、ユートさんが強くなる前に倒せなければ私の負けです。それに、疲れました」


わかりやすく説明してくれて理解することができた

だけど...


ユ「観客の気持ちとかは?」

「さっきの殴り合いで良いじゃないですか」


前言撤回、やっぱこいつ気遣いできないないだろ


シ「あと透き通るようになるのは、遠距離攻撃とかだけで。実際に掴まれたら透き通ることが出来ないっていうこと、であってる?」


シューゴが魔法で降りてきた


「そうですね」

ユ「そうだったの?」

シ「首を掴んだ本人が何を…」


理解できない、という呆れ顔をされた


ユ「勘だな。もしや俺、天さ…」

シ「それはない。キクチみたいなこと言うな」


遮ってまで言うことなのか…


ユ「えーっと、リーファのことについて色々聞きたいんだけど。いい?」

「一番最初は、本人から聞いたほうが良いと思います」


丁重に断られた


ユ「そうなのか?」

シ「こいつがそう言うならそうなんだろ。帰るぞ」


試合が長くて、イライラしていたのかシューゴに引っ張られていった


ユ「俺たち帰るね」

「はい。この首飾りはもらっておきますね」

ユ「まぁ、いいよ」


こいつが、俺たち以外に殺されるイメージが湧かないがな


ユ「今度また来ることがあったら、色々と教えてくれ。あと暇だったら模擬戦くらいはやる」

「ありがとうございます。あと、これは返しておきますね」


俺の魂を返してもらった

体が少し…いや、すごい軽くなった気がする


「では、またのお越しをお待ちしております」


商売をする巫女さんみたいになった

そして、俺達は家に帰った

宿ではなくて、ダンジョンに戻った


ユ「じゃあ、リーファ。色々、聞きたいんだけど良いか?」

リ「…うん」


宿屋の部屋で沈黙が自分たちの間で交互に歩き続けた

読んでくださりありがとうございます

もし誤字、質問、変なとこなどがありましたら教えてください


この話へ一言 シューゴから

シ「ポップコーン欲しかったな」

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