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第三百五十七話 和風の飯処

ユ『…遅いな』

シ『たまたま今回来るのが遅いだけだろ』


中々現れてこなかった

午前3時くらいになってくるとあくびをし始める人が増えた


カ「ふぁあぁ〜」

シ「うーん…」

「ねむゅそうへすね」(訳:眠そうですね)

ユ「毎回なんか口に入ってるのかって思うような話し方だな」


まぁ、何も入ってないんだろうけど


ユ「それにしても遅いな…」


全く来なかった


シ『そういや、転移はしたのか?』

ユ『試したよ。無理だった』


どうやら、幽霊とかに転移するのは無理なのかもしれない


ユ「あっ、もう日が昇ってきたな」


もうすぐで7時になりそうである


カ「がぁ〜」


途中で寝落ちしたカンタはいびきを掻いて部屋の地面に寝っ転がっている


ア「うーん...来なかったねぇ」


アユムはスキルのおかげで、起き続けられたらしい


ユ「夜勤続けてる感じかな」

ア「そうだよ〜。疲れをため続けられる体質になるよ」

ユ「わぁ、ブラック」


確実にいつかぶっ倒れるタイプの社畜だった


ユ「明日も来れる?」

「しゅひません。あひたは予定があります」(訳:すいません。明日は予定があります)

シ「…なら、明日は自分たちでどうにかするか。除霊に関してはちょっと練習しないといけないと思うが」


シューゴは今日だけでモノにするらしい


ユ「だな!」

ア『しー!静かにー!』


ちゃんと小声で言っているってことは学んだって言うことだろうか


ユ「さて、どうすっか」


なんで今回は来なかったのだろうか

疑問だけが残っていく


シ「…ユート、調べたいことがある」

ユ「ん?図書館にか?」


なにか調べたいものでもあったのか


シ「いや…違う」

ユ「まぁ、いいけど晩ごはんまでには帰ってこいよ〜」

シ「お前は俺の親か」


ご飯とか作っているからあながち間違っては居ないのかもしれない


ユ「いってらっしゃい」

シ「行ってくる」


転移魔法を使ったのか、シューゴの姿と気配を同時に消した


ユ「いや〜、シューゴの転移魔法のほうが便利だよなぁ…」

カ「場所の写真とか記憶があったらどこへでも行けるユートのほうが便利じゃないの〜?」


確かに記憶さえあればどこへでも行ける


ユ「いやいや、俺は細かいところまで覚えてないと出来ないんだよ。思い出すのに時間を使うから基本的に長距離の転移はシューゴと違ってちょっと時間がかかる」

カ「へぇ〜」

ユ「まぁ、なんかあまり脳を酷使してる感じはしないんだけどな」

カ「じゃ〜、同じじゃん!」


それでも思い出すのに時間はかかる


ユ「魔法って便利だよなぁ…」


シューゴの魔法と自分のスキルの差を感じていた


ユ「なんか文献漁るか」


何もヒントがないから、自分なりになんか探すことにした


メ『一緒に本を読もうぜ』

エ『読み聞かせをしましょうか?』

ユ『別に良いって…』


しないでほしい


---------------


キ「雨やべぇ〜」


傘を差して、女性陣とヒラノとキクチが雨で濡れるのを防いでいる


ヒ「ユートに傘作ってもらって良かったね」

キ「…」


皆ユートの作った傘を使っている


ヒ「しかも結構良い品質のをね」


傘に水がこびりついたりしないで、ちゃんと雨を弾く


キ「…」


何も言っていないが普通にありがたく使っている


リ「湿気の匂い〜!」

イ「私の毛が湿ってしまいます…」


帽子をかぶっていて、その中で耳が垂れ下がっているのがわかる


キ「雨は頭痛たまに起こしてだるいから嫌いだ。サッカーはできるのは嬉しいけど」


サッカー少年らしい感想だった


青スラ「私は雨は好きですよ。同族意識あって...」


たまに雨が降っていると目を光らせる青スラさんの珍しい姿を見ることができる


ヒ「主成分が水だからね」

フィ「濡れるから抱っこして」

ヒ「もしかして疲れた?」

フィ「...うん」

ヒ「...了解した」


ヒラノはフィルを抱えて傘も持った


リ「おー、親だね」

キ「親だな」


二人はヒラノのことを褒めるとヒラノがちょっとだけ微笑んだ気がした


ヒ(おおかた、足が濡れたくないとかだろうな)


そう考えながらもみんなで歩きながら、街を堪能した


キ「ご飯でも行く?」


飯処と書いてある木の板がドアの横の壁に置いてある店だった


ヒ「営業中。だって」

リ「お腹へった〜!」

フィ「…うん」


二人共おなかが減ったようなので

中に入った


キ「こんな良さそうなところに来れないなんて、ユート達は乙だなぁ」

ヒ「まぁまぁ、今は頑張って対策を考えてもらっているし。また今度、転移で来よう」

キ「あっ、これがメニューか」


メニューが紙で書いてあった


キ「これは木の板とかじゃないんだな」

ヒ「日本に紙が伝わった時代は五世紀くらいだから、使ってないことは無いと思うよ。例えば、巻物とか」


わかりやすい説明を一度も途切らせることなく、話し続けた


キ「歴史詳しいな」

ヒ「ありがとう」


メニューの中を見てみると


キ「あっ!寿司だ!刺し身だ!」

ヒ「そうだね。静かにしないと迷惑だよ」


今までこの世界ではなかった寿司が存在していた

それに対し、懐かしさを感じるのと同時に喜びが溢れてきた


キ「ユートたちには悪いが、先にいただかせてもらおっ!」


本当に悪いと思っているのか疑問に思うような顔である


イ「これは美味しいのですか?」


やはり珍しいのだろう


キ「ああ、美味しいぞ」

青スラ「魚を生でですか。これはあれですね。前に食べましたね」

リ「えー、食べたことあるの〜?ずるい〜」

フィ「食べたい」


ふくれっ面である

青スラさんに嫉妬しているのがわかる


キ「ユートが作ったやつはあるが、実際の素材のほうは食べたこと無いから」

リ「じゃあ、一緒だね〜」


一瞬で笑顔に戻った


キ「じゃあ、頼むか」


店員を呼んで、それぞれ注文をした


ヒ「そう言えば、箸の使い方を教えないとね」

リ「はし?」


いつも食事をする時、箸を使っているのは

俺たちだけだ

リーファたちにはナイフとフォークを使ってもらっている


ヒ「せっかくだし、こっちの文化に合わせよう。それも楽しみ方の一つだ」

リ「うん!」

フィ「ん」


素直に話を聞いている


キ「ヒラノは箸に詳しいもんね」

ヒ「学校の論文で発表したからね」


普段何気なく使っているchop sticks(箸)というものに関して真面目に語っている姿がなんか面白かった


キ「見てて爆笑してたのが懐かしい」

ヒ「よかったら、いつでも言えるよ?」

キ「あははっ、お腹壊れるからやめてくれ」


笑いながら話していたら

ご飯が来た


キ「いただきます」

皆「いただきます!」


手を合わせて皆は食べ始めた


キ「うまい!」

ヒ「美味しいね」

リ「美味し〜」


たっぷり味わって、三人は感想を述べた

他の二人は夢中にご飯を食べている


フィ「うーん...」


フィルだけは箸の使い方に慣れないせいで、ちょっと不機嫌そうにしている

リーファはかなり扱いに慣れるのが早かった、個人差はちょっとあるみたいだ


ヒ「こうやって持ってみて。すんなり食べ物を運べるはずだよ」


ヒラノがわかりやすく優しい声で説明した

その間周りは黙々とご飯を食べていった


青スラ「ごちそうさまでした」

キ「早っ」


皿を見てみるともう全てなくなっていた


青スラ「吸収速度だけなら、ユートさんより早いですから」

ヒ「ユートはご飯の消化能力が高いからね。吸収はあまり早くない…わけでもないんだよね」


吸収速度は十分早い

そして、胃酸の酸性も強い

かつて戦った厄災にも通じるレベルの胃酸のだからである


ヒ「お腹へってるときは、吸収速度は青スラさんを超える速さだって聞いてるけど」

青スラ「そうですね。食欲ならユートさんが一番あるのじゃないですか?」

キ「確定でそう」

ヒ「そうだね」


比較的食欲少なめで痩せ気味のキクチからすれば皆多いと思う


ヒ「キクチはもう少し食べたほうが良いと思うよ」


キクチは身長がユートより高いのに、体重は軽い

これはユートが太っているわけではない

なぜなら、適正体重だからだ

つまり、キクチが軽すぎる


キ「体重が軽すぎて困る」

ヒ「…」

キ「!?」


キクチが一言愚痴をこぼすと、リーファから殺意を感じ

思わず、剣の柄の部分を掴みすぐに抜くことができる体勢に入った


キ「…びっくりした…」

リ「キクチお兄ちゃん嫌いかも」

キ「えっ…」


構えをやめて、座ったら

突然そんなことを言われた


青スラ「これはキクチさんが悪いですよ」

キ「すまん」

リ「…」


察しのいいキクチはすぐに謝った


リ「次はないぞ」

キ「っ!?」


今、口から出てきたのはリーファのいつもの口調ではなかった


青スラ「怒ったときのユートさんのマネでしょうか」

リ「うん!結構、皆怖そうにしてるから!」

キ「それは怒ったときが怖いからなんだが…」


セリフが怖いわけでもないのだが…

一番は、怒ったときのユートが何をするかがわからないという点である


キ「…ユートって、突然意味わからない仕返しをしてくることがあるからな、しかも内容が地味に腹が立つし嫌悪感も生まれるっていうね」

ヒ「だね。だけど、それはユートを怒らせすぎた時にしかならないと思うけど」


美味しすぎて、速攻で食べ終わった二人は

ゆっくりと水を飲んでいる


キ・ヒ「はぁ…うまい」


そして、それを深く堪能していた


青スラ「国王になる前のお父様みたいですね」

ヒ「それは…どういう点でですか?」

キ(そう言えば、青スラさんって王女だったな…)


普段から一緒に過ごしているせいで、普通に忘れていたキクチだった


キ「ごちそうさまでした」

ヒ「じゃあ、次の場所に行くか」


立ち上がって移動しようとした時


リ「ちょっと待って!」


リーファに止められた


ヒ「何だい?」

リ「お、お花…」


言葉が詰まっているように聞こえる


キ「花?」

ヒ「そういうことね、いってらっしゃい」

キ「花?」


言い回しに関して少し察しの悪いキクチだった


ヒ「よくユートから聞くでしょあの言い回し」

キ「あー、そういうことか」


理解したみたいだ


リ「ただいま〜」

ヒ「じゃあ、お金払っておくね」

キ「先に外で待ってるよ」


ヒラノ以外は皆、店の外で待った


リ「美味しかったね〜」

フィ「うん」

青スラ「ですね〜」


皆は満足しているようだ


イ「私も作れるようにがんばります!」

キ「素材があればね。ユートに頼んでみるといいよ」


ユートのことを話していたら声が聞こえてきた


「おっ、そこで話してるのはリーファ達か?」


ユートの声だった

だけど、姿が見えない

多分、場所的に店の横の狭いところだろう


「ちょっと、足が引っかかってさ助けてくんね?」

リ「いいよ〜」


リーファが走ってユートの声がするところへと向かっていった


キ「ユート〜。急に足が引っかかったりして、それで俺たちの声を聞いたから。助けを求めて転移すれば抜けれるってことに気づかなかったか〜?頭回ってないな〜。変なところを調べるから、そうなるんだよ」


ゆっくり歩いて、煽りちらしている

そこでキクチはあることに気がついた


--------------


ユ「あー、あと。これから俺らは絶対忙しいから昼は話しかけられないから」


ヒラノ曰くユートがそう言っていたという

ユートは普段運が悪いせいで、自分の思い通りに行かないことがものすごい多かった

だから、いつもだったら少し自信なさげに「…かもな」とか「知らんけど」とか最後につけたりする

そのユートが絶対と言っているということは、「絶対に無い」に近い。おそらく会えるような環境にいたとしても話しかけないはずだ…


--------------


キ「ちゃんと律儀に守ろうとするからな...」


嫌な予感がしたと同時にあることに気づいた


キ「ということは…リーファっ!」


腰の剣を抜いて、リーファのことを追いかけた


ガキィィィン!


何かガラスが割れたような耳と骨に響く大きな音が鳴った


もし誤字、変なとこ、質問などがあったら言ってください


この話へ一言 キクチから


キ「箸って使ったことない人からすると難しいんだな」

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