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第三百四十八話 脱出方法

「侵入者だ!捕えろ!」


この城の中に残っていた奴らがこの部屋へと向かってきた


キ「やばっ!」

「...」


キクチは相手が入ってきて焦りながらも剣を強く握った

それに対し、仔蜘蛛姉は辺りを見渡している


キ「戦うよ!」

「それはいい」

キ「今なんて?」


理解できなかったのかもう一度聞き返している


「…キクチさん。頭を自分で守って」

キ「え?」


仔蜘蛛姉がもう一度握る動作を行うと

壁や天井が全て壊れた


キ「ええっ!?」


天井の一部がキクチの上に落ちてきたので、剣で石でできた天井を粉へと変えた

 

「もう夜ね。早く帰らないと弟を心配させてしまう」

キ(あの学校にいためんどくさい子供か…)


天井と壁が壊れて、外から丸見えの状態になっている


「おい!あそこに敵がいるぞ!」


それのせいで外に居た敵にバレてしまった


「…上。上に行こう」

キ「…?わかった!」


なぜだかわからなかったが

とりあえず一番上へと向かった


キ「長っ…この階段」

「でも走らないとね!」


長い螺旋階段を登って

吐き気を感じながら、てっぺんについた

そこは、街を一望できるくらいの高い塔だった


キ「ここで何をするんだ?」


かなり狭いし、数の暴力に押しつぶされる可能性がある


「こうするの」


大量の糸を取り出して、紡いでいる


「ちょっと時間かかるから、敵をあしらっておいて」

キ「了解!」


剣を持って、下にいる敵たちと戦っている


キ「くっ…多い…」


敵の数が多いせいで、キクチも苦労している

とはいえ、螺旋階段は2人くらいしか通れる幅がないので一度に相手する敵は少ない


キ「流石にあいつと違って不眠不休は無理だ…」


しかも時刻的には夜に近いので途中から睡眠不足で機嫌が悪くなる


「出来た!」


イライラし始めていた時にキクチに言葉が降ってきた


キ「行って大丈夫?」

「大丈夫よ」


最後に敵を蹴っ飛ばして、ドミノみたいに敵を転がしていった


「これを持って」


と言って何か縄を渡された


キ「これは…」

「縄を両手で持って、こっから飛んで!」


言われてから実際にキクチは両手で縄を懸垂するときのようなポーズで持ってから飛んだ

そして、かなりの速さで進んでいる


キ「これは?」


戸惑っていると後ろから声が聞こえてきた


「糸を街の外側にある家とあそこの塔に繋いだ。これで降りれるよ」

キ「よくこの縄が摩擦で止まらないね」

「滑りやすい素材を使ってるからね」


そこらへんは心配ないみたいだ


「...」

キ「...」


仔蜘蛛姉が後ろを確認している

キクチは焦って飛んだせいで振り向けなくなっている

そして、二人揃って無言だ


キ「...あーああーああーあーあー」

「何してるの?」

キ「気にしないでくれ…」


二人の間で沈黙が続いたせいで、発したことだったけど

やった本人が恥ずかしそうにしている


キ「これは…ターザンロープだな...」


上にある糸に引っ掛けて、二人は町の外へと移動している

ちなみに掴んでいる縄を離したら地面に真っ逆さまである


キ「…離さないようにしよう」


ちょっと高さにビビったキクチだった


キ「っ!?」


急に縄を引っ掛けているはずなのに何もかかってないような感覚になった


「切られたっ!」

キ「やばい!落ちる!」


糸が切られてしまったせいで、二人は落下してしまった


キ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「...」


キクチは落下していて叫ぶしかできていないが

仔蜘蛛姉は必死に何かを縫っている


キ「うわっ!」


ポスッ


地面に落ちたときの鈍い音や体の中の何かが砕けるような音は聞こえてこなかった


「間に合ったぁ...」


流石に仔蜘蛛姉も命の危険を感じたようだ


キ「まゆ?」

まゆを作ってクッションがわりにしたわ」


二人の下には等身大の何倍のサイズがある繭が落ちていた


「すぐに降りよう!敵はすぐに回ってくる」

キ「痛っ...」


繭から降りようとしたらキクチが足を痛そうにしている


キ「降りた時に衝撃を吸収しきれなかったか...」

「ただの糸だからね。衝撃を吸収するものじゃないから」


キクチはすぐに短剣の鞘を取り出した


キ「糸で作った包帯をくれ」

「はい」


即刻縫って、キクチに渡した


キ「とりあえず、これで応急処置だ。骨折かもだから念の為な」

「早く行きましょう」

キ「おう!」

「道はわかるからついてきて!」


言われた通り、キクチは仔蜘蛛姉の走る方向の通りについていっている

かなり入り組んだ構図のようで結構曲がっている


キ「ん?」

「何かしら?」


走りながらキクチは違和感を感じたようだ


キ「普通にまっすぐいった方が早いのになんでこんなに曲がるんだ?」

「それは、まっすぐに行くと遭遇する確率が上がるからです」

キ「何でだ?」


普通に考えたらそれはないはずだ


「この街は、秘密の通路というものがあって、敵が逃げても逃げられないようにするために、いろんなところを先回りできるようになってるの。だから、すぐにそのまま外に行くとバレる」

キ「なるほど。その通路は俺たちは使えない?」

「今頃その通路にはたくさんのあの一味がいるだろうから無理だと...」

キ「そうか...なら今はどこに向かっているんだ?」


かなり殺したとはいえ

あの人数なら町中を監視の目で囲うことだってできそうだ

なのにどこに向かうというのだろうか


「一番秘密の通路が少なく、人が来にくいところです」

キ「そんなところがあるのか」

「ですが、もちろんここにいるということはその場所を把握していることでしょう。なので早く行きますよ!」


それを話してからキクチの足が少し早くなった気がした


キ「あっ、やばい!もう敵が追いついてきてる」


後ろから足音がすると思ったら、もう敵が追いついてきていたのだった


キ「くらえっ!」


走りながらで時間も押してるから

短剣を相手の首へと命中させた


キ「そこも!」


屋根の上にいた敵もすぐに仕留めた


「手際がいい...暗殺者の才能あるんじゃない?」

キ「嬉しくない」


そして、二人が走り続けていると

街の端っこを見つけた


キ「よしっ!これで!」

「させっかよ!」



上からガタイのいい人が剣を地面にぶっ刺しながら降ってきた

思わず横によけて立ち止まってしまった


「ボスを倒してくれて感謝するぜ!これで俺がトップだ」

キ「...」(頭がいたい...)


少し頭を抑えながら聞いてる


「すぐに死んでもらうがな!」

キ(急に止まったせいで疲れが全部...)


眠さと疲労により、もうふらふらのようだ


「しねぇぇぇぇぇ!」


さっき地面をブッ刺した大剣をキクチへと目掛けて振り下ろした


キ「うるせぇ...」


そういうと、キクチの目の前にいた大男と大剣はどちらも真っ二つにわられていた


「はっ...?」


何も言い残すことができずにそのままその男は死んでいった


キ「疲れてんだ。寝かせろ」


本当に容赦がなくなってきている


「と、とにかく早く行こう!」

キ「やばぃ...眠気が...」


キクチは走り出そうとしたが、そこで視界がフェードアウトしてしまった


「...きて」


何かが聞こえてくる


「...起きて!」

キ「っ!」


意識が戻ったと思ったら、キクチは仔蜘蛛姉におんぶされていた


「王都についたわよ。起きて」


キ「...恥ずいから下ろしてくれ」


一番最初に感じたのは恥だったようだ


キ「あの後どうなった?」

「大体の奴らを拘束したり殺したりしてから、頑張っておんぶして持ち運んできたわ」

キ「ご、ごめん」

「謝らなくていいわ。あなたがいなかったら死んでたもの」


その言葉を聞くとキクチは少し明るくなった


「それより、一人で帰れる?」

キ「ああ、依頼はこれで終わりなら帰るよ。そっちは?」

「私はこの書類を依頼主に渡してくるね」

キ「じゃあ、俺は帰るね」

「はい。お疲れさまでした」


王都の街をボロボロの状態で歩いていった


キ(こんなボロボロでも意外とみんな普通だな)


魔物と戦って怪我するのが日常の世界だから見慣れているのだろう


キ(空中で落とされた時に何もできなかったのは情けない...)


今日の反省をまず行なっているようだ


キ「痛っ!」


ずっと考えていたけど、痛みを感じた


キ「そういえば怪我してたな。寝てたから少し神経が麻痺してたわ」


服とかにはダメージは無いが

踏ん張った時に使った足の筋肉などが切れていたり

あの落下のせいで骨折している可能性がある


キ「金はあるし。宿にでも泊まるろうか...」


この傷ついた足では家に帰ることができなさそうだ


キ「ユートだったら、『筋トレだな』とか言ってそうだな。筋肉バカが…」

ユ「誰が筋肉バカだこの野郎」


後ろから聞き覚えのある声がした


キ「!?。ユート!」

ユ「お前一人で帰ってこようとすると、時間かかるから迎えに来たのに何だよ筋肉バカって、筋肉バカって」


大事なことだから二回言った


ユ「またお前のアイテムバックの中を百均で買えるおもちゃの剣に変えてやろうか?」

キ「それらをかいくぐって本物を当てるよ」

ユ「…」


何億本いれようと、本当に当てるかもしれないからなぁ…

運勢的に


ユ「うーん…そういや、さっき見た感じだとキクチとは脈なしだろうな…」

キ「何考えているんだ」

ユ「いやーね。キクチの幸せを願ってるんだよ」


そう、皆が将来好きな人と結ばれる瞬間

もしくは、好きな人ができてそれを追いかける姿を見るのが好きなのだ


キ「ユート…お前…」

ユ「…」


なんかキクチが感動してる感じだ


キ「体よく言ってるけど、お前自分の欲を埋めようとしてるだけなのは気づいてるからな?」

ユ「ちっ…」


やっぱりバレてるか…

思わず舌打ちをした


ユ「いいじゃん。学校でもお前結構モテてるんだから!少しくらい良い話を持ってきてくれよ!」

キ「何言ってるんだよ!てか逆ギレすんな!鼻血小僧!」

ユ「女タレ小僧!」

キ「鼻垂れ小僧!」


子供みたいに喧嘩してから家に帰ってきた


ユ「ただいま」

キ「ただいま」


家に転移で帰るとヒラノがソファに座って本を読んでいた


ヒ「おかえ…り」


キクチの方の頭に少したんこぶみたいなのがあった

それを見て、ヒラノは持っていた本を落とした


ヒ「一方的な暴力?」

ユ「違う、俺がもう治っただけ」

キ「一方的だった」


どっちかが嘘をついている


テ『治っただけです』


テキストさんがばらした


ヒ「キクチ、ダウト」

キ「テキストさんなんで言うの!」


この裏切り者!というような感じで叫んでいる


テ『今回はキクチさんが悪いです』

ユ「だってよ!」

テ『嘘をついた点がですけどね。全部キクチさんが悪いわけでもないですよ』


つまりたんこぶを作ったのはお互い様とのこと


ユ「だってぞ、女タレ小僧」

キ「鼻血小僧」

テ『これ二回目ですね』

ヒ『そうだったの…』


同じことを繰り返す学ばない二人だった


キ「傷はシューゴに直してもらうわ」

ユ「俺は?」

キ「ユートに借りを作りたくない」

ユ「はぁ!?それどういうことだよ!?」


第三回戦開始した


数分後...


ユ「あっ、明日ヒラノちょっと来てくれない?」

ヒ「いいよ?何で?」

ユ「いや…この…宝物の本について」

ヒ「了解」

ユ「まぁ、気になったからなんだけどね」


色々と質問があった


カ「俺もそれ行って良い〜?」

ユ「いいけど…」


別にだめってわけでは無いから否定はしてない


ユ「明日は移動だ」

カ「おっけ〜」

ヒ「ユート」

ユ「ん?」


ヒラノに声をかけられた

なんだろうか


ヒ「そろそろキクチを殴るのやめたら?」

ユ「あー...わかったよ」

ヒ「言わなかったら殴るつもりだったのか」

キ「悪化したんだが...」


家に帰ってきてからの方が怪我をしたキクチだった

もし誤字、変なとこ、質問などがあったら言ってください


この話へ一言 ユートから


ユ「俺が殴ったところだけ治してやる。借しは作りたくないんだろ」

キ「これ傷つけたのユートだろ。優しいんだか、ひどいんだか」

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