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第三百三十九話 嫌な予感

「お、お前…」


海の中のはずなのに、結構はっきりとした声が聞こえてくる


「お前は誰だ?」

ユ『…だよな。だって、前に記憶消したもんな』


そこに居たのは王都の勇者だった

周りにはいつものパーティメンバーがいた

あの盗賊っぽいやつは居ないけど…その前にいたタンクの役割を持つ男がいる

前回戦ってから一、二年くらい経っていて

その時、俺は最後あいつらの記憶を消したはずだ


「?」

ユ【何だ?】


前までと同じように、看板をアイテムバックから取り出して

言葉を伝えた


「いや、お前。俺と一度会ったことあるか?」

ユ【いや、知らん】


看板で会話していて良かったぁ…

普通の言葉だったら、嘘をつくのが苦手なせいで声が不自然になって結構直ぐにバレていたかもしれん


ユ【人間が何してるの?】

勇「それはこっちのセリフだ!なんでお前はいる!?」


まぁ、確かに相手から見たら俺は普通の人間のはずだから

ここにいるのは異常だな


ユ【俺たちは、さっき避難していった人魚に招待された。そっちは?】

勇「…お、俺達はここらへんにダンジョンがあると聞いたからだ」

ユ【ダンジョンか。勇者は魔王は倒さなくていいのか?】


確か、勇者は王都が魔王と戦わないようにしたの知らないんじゃなかったっけ?


勇「なんで俺が勇者だと知っているんだ?」

ユ「ごぼごぼぼぼ」(あっ、やべっ)


焦って、思わずマスクが外れた


勇「まぁ、俺くらいになると有名なんだろうな!」


アホで助かった


勇「魔王は倒さない。俺たちは攻撃しないとうちの王が決めたらしい」


それを提案したの俺だけどな

確か、ゴネると王様とかにも言われていたけど

ちゃんと守っているのは偉いな...


ユ【それでダンジョンで戦うと。こんなところにあるのか?】

勇「ああ、前にリヴァイアサンがここら辺にあるダンジョンから飛び出てきたらしい」

ユ【へぇ〜】


それもなんか知ってるんだけど

アユムが倒した気がするし


勇「俺達は色んなダンジョンを回っている。冒険者ギルドにある依頼と同時にな」


依頼もこなしてるんだ…

結構勇者っぽいこともしてるんだな


勇「っと、こっちも質問させていただく」

ユ【いいよ】


まぁ、聞かれて困るようなことはないだろうな


勇「お前、なんで酸素ボンベなんて使ってんだ?」

ユ(…やばいな)


酸素ボンベはこの世界に存在しないものだ

だが、言い訳はできる


ユ【鉄の中に空気を入れたら、呼吸できたってだけだ】

勇「この世にそんな技術があるのか?」

ユ【友達にいい鍛冶屋がいるんでな】


キクチのことを思いながら言った

もちろんキクチが作ったものではないから嘘だが


勇「そうかぁ…」


なんか疑いの目を向けられている気がする


勇「なぁ、お前ら。あいつどっかであったことないか?」

「わかりません」

「俺もわからんな」

「わかんないです」


仲間の三人にも聞いているけど

答えは出なかった


ユ(記憶を消したと言うより、上書きしただけだから場合によってはバレるんだよな。。だから、多少の違和感は残るし勘のいい人にはバレるんだよな)


中には記憶を消去するのが効かない人もいるしな

結構こう言うやつと会話しているとヒヤヒヤするからあんま会いたくないんだよな


ユ(ちゃんと消せるのはシューゴだけだが、前回コイツラと戦ったときに消したの、俺なんだよなぁ)


過去の自分の行動に後悔を覚える


勇「それより、お前はこの腕輪使わないのか?」

ユ【腕輪って?】


何のことだろう…


勇「人魚たちからもらったもの。水中で呼吸が可能で、会話もスムーズにできる」

ユ【それは便利だな】


そんなものが存在するんだ

想像できなかったな、今度作ってみよう


勇「余ってるから、そこの友達にも上げるよ」


腕輪を二個俺らのほうに投げてきた

水中の中なのに、勢いが陸と同じくらいだった

腕輪の影響だろうか


ユ【あ、ありがとう】


まさかくれるとは思わなかった


ユ「おー、息しやすい」


腕輪をはめた瞬間息がしやすくなった

水を酸素のように、吸っているからだろうか


ユ「これで会話できるな」

ヒ「別にいいんだけどね」

ユ「あそう」


別にいいんだ…


ユ「ありがとな」

勇「いいってことよ」


なんか違和感がある


ユ「そういや、この鯨どうする?」

勇「解体して、みんなに分けたほうがいいな」

「それがいいと思います!」


過去に俺の首を魔法で切った、魔法使いの女が言っていた


ユ「手伝うよ」

勇「助かるよ!」

ユ「お前も頼んだ」


ヒラノに剣を一本渡した


ヒ「素手で引きちぎって、と言われるのかと思ってたよ」

ユ「えっ…出来るの?」

ヒ「むしろ出来るなら、やらせるつもりだったのか」


俺とヒラノは一度、手を合わせてから

皆でヒラノと勇者の指示に従って

鯨を解体していった


ユ「骨はもらっていい?」

勇「別に良いよ」

ユ「ありがと」


腰にあるアイテムバックに巨大な鯨の骨を入れた


ユ「流石に分解しないと入らない…」


まぁ、分解しても問題はないはず


ユ「さて、どうなるかな」


これから、やることを考えて楽しみにしている


「勇者さま!ありがとうございます!」


後ろから、沢山の人魚たちが寄ってきた

お目当てはもちろんあの鯨を倒した勇者である


ユ「あ〜…」

ヒ「…」


俺達は海の中で人魚の流されていった


ユ「っと…」


人魚の波から抜け出せた俺達は勇者を眺めていた


ユ「蚊帳の外だな」

ヒ「そうだね。何も出来ることはないし、皆は勇者に感謝を伝えたいだろうから。俺達はここで見ていよう」

勇「助けてくれよー!」


なんか、助けを求める声が聞こえた気がした

きっと幻聴だな


数時間後


ユ「良かったじゃないか、人気者で」


皆に感謝されまくって、お土産を色々持っている勇者に一言言った


勇「この裏切り者…」


悔しそうな顔でこっちを見てきているけど

流石にこれは論破できる


ユ「裏切ってないぞ?だって、俺達倒してないし」


キクチの煽り技術がここで役立った


「それを言われたらおしまいだよ。勇者さん!」


魔法使いに言われている

仲が良さそうに見えるな


「俺達は何もしていないけどな」


タンクの人も納得している


ユ「なぁ、お前らは何しにきたんだっけ?」

勇「ダンジョンだ。そこにいる敵を倒そうと思っている」

ユ「そうか。頑張れ」


適当に応援だけはしておいた


勇「この大きな鯨もきっとそのダンジョンのせいだ!」

ヒ(確かに鯨の繁殖期じゃないから餌を探してるわけじゃないと思うけど…)


鯨の繁殖期は2月から3月である


ヒ『テキストさん』

テ『はい、何でしょう?』


念話を通して、ヒラノは会話を始めた


ヒ『ダンジョンの近くに別のダンジョンが作られることってある?』

テ『それはないですね。距離が離れていないと、普通のダンジョンのボスと違って、ダンジョンで生まれた魔物はダンジョンの外に出ることができるので、魔物が大量発生するスタンビートという現象が起きたとき危ないというのと...』


魔物がたくさん出てくることを

スタンビートと言うらしい


ユ(よく聞く奴だな)


漫画の中で出てくる奴だ


テ『例え同じ種族の魔物だとしても、生まれたダンジョンが違えば殺し合ってしまうのです』

ユ『そうなんか...』

テ『あなた達のダンジョンで生まれた魔物はあなた達のことを攻撃しませんが、別のダンジョンに行ったら攻撃されるのはこういうことです』


なるほど...


ヒ(なるほど。場合によっては、何かから逃げてきたのかもしれないな)

ユ「ヒラノ〜。何で難しそうな顔してんだ?」


何を考えているのか全くわからなかった


ヒ「ん?何でもないよ」

ユ「それ言われると逆に気になるんだが」


ヒラノのほうを興味津々に見ていた


ユ「…うーん…お前、今から何か起こるかもしれないって考えてた?」

ヒ「ああ、そうだが…」

ユ「多分、もうすぐだな」


と言ってから、数秒も立たないうちに

辺りが真っ暗になった


ユ「お〜…早速だな」

ヒ「なぜわかった?」

ユ「嫌な予感がしたからかな?」

ヒ「預言者かな?」

ユ「はっはっはっ!運勢なめんなよ」

もし誤字、変なとこ、質問などがあったら言ってください


この話へ一言 ヒラノから


ヒ(この世界って捕鯨に関する法律とか無いよね...?)

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