第百八十二話 杖修復
今日は授業が終わって
学校の王子と恋の話をした誰も居ない部屋にいる
ユ「杖…杖…」
今手持ちにある杖をどんどん見ている
この前アイテムボックスをちょっと改良して、袋の中にも手を入れなくても良い仕様にした
袋自体は存在しているけど(というか腰につけてる)中身はそのまま考えれば取り出せるものにした
ユ「ちょっと疑われるかもしれんが。説明すればいいっしょ。使わせてって言われたら、使えないが」
重さが千トンくらいになるからな
あと俺のにはいろんな状態異常もつけている
ユ「皆のと違って、やばいものが多いからな。特に俺が作ったやつとか」
テ『中身の九割はりんごですけどね』
ユ『一応中に入ってるものは腐らない仕様だし』
ユート印のアイテムバックだから
ユ「もしかして、これをスーヤさんに売れば…」
シ「経済壊す気か?」
ユ「そんなわけ無いだろ」
シューゴが天井に足をくっつけながら話しかけてきた
そして、降りてきた
ユ「何しに?」
シ「ちょっと杖なんか良いのないかなって、思って。前の壊れそうだし」
ユ「えっ、なんで?」
シ「古龍が間違って踏んだ」
ユ「…あっ、そう」
そう言って、魔法で頑張ってまとめた粉々の杖を見せてきた
というかちょっと踏むようなところに置いてるのが悪い気もする
ユ「それで、新しい杖を作れと?」
シ「そう。できる?」
疑問形だろうけど
答えは知っているはずだ
ユ「余裕だけど。何作ればいい?」
シ「威力アップ極振り型」
ユ「わかった…調整できるようにしておくよ」
流石に調整できなかったらヤバそう
シューゴの魔法ってもともと威力が高いから
最大の威力で“フレア”とか使われたら
マジの太陽作りそう
ユ「地球は壊さないでくれよ」
シ「大丈夫だ。お前じゃないから」
ユ「どういうことだよ!」
なんか言われて文句を言いつつも俺は
杖を作ることにした
ユ「見た目はどんな感じにしよう」
シ「何でも良いよ」
ここも想像力を頼るしかないな
ユ「うーん、シューゴ。剣とかにも変わる仕様にしていい?」
シ「そんな杖いつ使うんだ」
ユ「そ、そうだよなぁ…」
ちょっと落ち込んだ
シ「あと俺は賢者だ。剣を使わない」
ユ「身体能力強化魔法とか使えよ」
シューゴくらいなら
魔法で剣術でキクチ並に強くなれるだろ。多分
シ「確かにそうだが、基本は魔法だ」
ユ「へいへい。じゃあ、杖作るよ」
手の上で杖を作り出している
無駄なのがあるとシューゴに文句を言われそうなので
形はなるべくコンパクトで無駄がなくて、贅肉を落としたもの
テ『全部一緒ですよ』
ユ『他になんと言えばよかったんだ』
語彙がないんでな
ユ「じゃあ、作るか」(“杖”)
と杖を作っていたら
ガチャっとドアが開いたような音がした
ト「あっ、ユートさんとシューゴさん…」
トレニアさんがドアを開けて入ってきた
そして、俺がものを作っている瞬間を見られた
ユ「…」
シ「…」
あまりの出来事に俺とシューゴは何も言えなかった
そして、苦し言い訳をするように言葉を出した
ユ「えーっと、これh」
ト「ユートさん!錬金術使えたんですね!」
ユ「へ?」
なんか誤解された
だけど、否定した後なんて言えば良いか思いつかなかったので
とりあえず、同意することにした
ユ「うん、そうだな。それが?」
ト「では…あの、私の実験や錬金術を扱う組合に協力してくれませんか!?」
すっごい土下座してきた
これは…
ユ「実質一択かな?」
シ「だと思う」
流石に土下座させてまで断ろうとは思わない
と、ちょっとなんか土下座されて焦ってたら
ト「ユートさんの好きなりんごをあげますので!」
ユ「よろしくおねがいします!」
シ(ちょっろ)
自分の好物を出されて、思わず受けてしまった
面倒そうだが、いいや
その日の放課後
ユ「私の実験って言ってたけど、何やってるの?」
ト「この前も見せたように、私はこの…」
ドン!っとこの前もなんか実験していた合金を持ってきた
結構重いんだが、身体能力強化魔法でも使ってのか?
ト「これが何なのかを調べています」
ユ「実験というより分析だな」
というかこの合金俺も知らないんだが
キクチが勝手に作ったって奴だから知らない
ユ「“鑑定”」(“第三の目・鑑定”)
ト「鑑定できるんですか!?」
あっ…うん、できる
ただ単に気になったから見ただけなんだが
というかなんか目死んでね?
現実受け入れられてる?
ユ「できる」
ト「すごいですね」
あっ、絶対受け止められてないな、これ
死んだ目を見て俺はそう推測した
ト「鑑定で何がわかりましたか?」
ユ「金属ってことと、二つの金属を合わせて作り出した、合金っていうものってことくらかな」
ト「そんなにわかったんですか!?」
ユ「…ふぅー」
俺は深呼吸をした
そしてその後、頭に手をあてて
ユ(絶対なんかやった)
と後悔をした
ト「一つ質問です。ユートさんの鑑定には何が映っていますか?」
ユ「金属の名前、硬さ、質量、密度もろもろ」
正直多すぎて図鑑かと思ったけど
詳しいならそれで良い気がする
というか性能が良すぎるな
今度から調整しよう
ト「ユートさん…おかしいですね」
ユ「ぐふっ、もう慣れた」
よく言われたもんな
テ『心臓になんか刺さってますけど?』
ユ『よくわからないなー』
なんか心臓に矢印がぶっ刺さってるけど気にしない気にしない
というかなんで見えてるんだ?
ユ「それで、分析はこれでいい?」
ト「はい!完璧です!今から紙に書くのでちょっとまってください」
今の俺の言ったことをあれで覚えたのか?
すごいな
ユ「すげぇな」
そう言葉を漏らすが
集中していて、聞こえなかったみたいだ
なんかいつもニコニコ笑っているのと違って、結構真面目な表情で紙にわかったことをかいているのが印象的だった
ユ(こっちの人、イケメンや美女しか居ないな。興味深いが、羨ましくはないな)
そんなことを考え、トレニアが紙を書き終わるのを待った
そして二時間後
ユ「そんなに書くことあんのか?」
二時間も経っているので流石に気になった
もしかして、目を開いたまま寝てるんじゃないかって
と思って俺はトレニアの書いている紙を見た
ユ(おお…)
紙には八歳児とは思えないことが書いてあった
というかこれは八歳児じゃなくてもほとんどの人は書かない気がする
書かれている内容としては
まずさっき(二時間前)俺が言ったこと、そしてそっから推測したもの、そこからまたこっちの現代の知識に当てはめて、また考察を続けて、それをどう応用するかを書いている
現在その紙は現在山積みである
ユ(ば、化け物…)
普段俺が言われていることを誰かに言うことになんて思わなかったな
でも流石にA4くらいの紙にどんどん書き続けるのはやばい
もう千枚くらい行くんじゃないか?
というか途中魔法で書いてたし
ユ「もうそろそろ夜だぞ」
頭を軽く叩いて
この後ぶっ倒れるんじゃないかってくらいの気迫で紙に書いている
トレニアを落ち着かせた
ト「あっ、すみません。待っててくれたんですね」
ユ「う、うん」
ちょっと途中暇だったから第三の目だけ置いていって
外に遊びに行ったなんて言えない
ユ「それで、今何してんだ?」
ト「これを王都の塀に使えるかを考えています」
すごいが
普通に俺たちに聞けばいいと思うが
ユ「俺は、帰るな」
ト「はい。ありがとうございました。あと、これ持っていってください」
そう言ってりんごを俺に渡してくれた
ユ「ありがと」
転移魔法で飛んで
俺はりんごを食べながら帰った
ユ(これから錬金術を使えるってことにしておこうかな?)
もし誤字、変なとこ、質問などがあったら言ってください
この話へ一言 シューゴから
シ「もう踏まないでくれ」
古「ふぁ〜、わかった」