第百五十六話 新しい勇者
ユ「おー、また冒険者がきた」
なんか最近冒険者が来ることが増えた
なぜだろう
冬までにはお金を稼ぎたいとか?
ユ「冬にお金を稼いで豪華にしたいから。とか?」
シ「ありえるかもな」
ずっと眺めていると
ある二人組が入ってきた
シ「男と女か」
ユ「結構勇者と聖女っぽい格好してるけど…でも、いいや。男と女ならやることは決まっている。フッフッフッフ」
シ「悪い笑い声だな」
とシューゴは悪役を見るかのような目で俺を見ていた
実際どっちも悪役ポジと言っても間違いでは無いんだが
ユ「リーファ頼める?」
リ「わかった!“死霊召喚”」
死霊を隣りにいるリーファに頼んで向かわせた
一応皆地下十階にいるが、ダンジョン内を監視してるのは俺とシューゴだけである
ユ「どうなる」
と興味津々になりながら第三の目が見えている光景を映し出している画面を見ている
見た感じ、聖女みたいなやつが浄化魔法を唱え
勇者みたいなやつが、残りのやつを倒したようだ
リ「負けちゃった…」
ユ「大丈夫、強かったから」
撫でながら慰めた
リーファのゾンビは強いんだがな
相手も相当ってことだよな
ユ「おっ、ボス部屋まで来た。行ってくる」
シ「行ってら」
ある仮面をつけて
俺は勇者と聖女のもとに行った
ちなみに仮面をつけ始めたのは、顔バレを防ぐため
一応俺たちのことが全くわからないように記憶を消しているが
おもらしした某冒険者が、おもらしをしたことは覚えていたから、それをたどっていったら
場合によっては、ばれる可能性があるので、仮面をつけることにした
ばれないだろうけどよ
デザインは、皆から許可をもらえるくらいまで頑張って作った
何十時間もかかったよ
ユ「やぁやぁ、我こそは子のダンジョンのボスと言われているもの、がっ!」
シ『ちゃんとやれ』
ユ『すんません』
土魔法で、石を作って頭にぶつけられてしまった
いてぇ
ユ「とりあえず、戦うぞ」
と戦おうとしたが
「相手が名乗っているのに、私が名乗らないなんて言語道断!」
ん?結構女っぽい声が聞こえたな
というかどういう理論だ
ナ「私は勇者!名前はナショウという!」
勇者は女だったのか
てことは、女勇者と聖女か
危なくないのか?
女二人って
…だからこそ、二人だけの仲間なのか
むしろ、仲間が居たほうが危ないってことか
というか変なやつが勇者になったなぁ
ユ「もうひとりの聖女の方は何も言わないのか」
ナ「聖女だとどうやって見抜いた!?」
ユ「なんか浄化魔法使ったし」
ナ「私達を見てないのになぜ知っている!?」
あっ…
ユ「そういう能力があるんだよ。俺には」
とりあえず、そういうことにしておいた
実際、第三の目で見てたし
流石にここに住んでるとは言えんが
ユ「名乗ったし。戦う?」
ナ「戦意がないのに違和感があるが、戦うぞ!」
そりゃあ、戦う気がないからだな
だって、俺としては平和に暮らせれば文句ないし
…あと、さっきまでお前らにも期待してたけど
恋が実るとかそういうのも見たい
そう考えていると、相手は剣を構えて俺のことを観察してきた
初手何をするかを伺ってるのか?
というか目を細くして観察してるから、目が悪いみたいな感じになってる
ナ「…攻めてこないのか?」
ユ「わりーな。俺は自分から攻めないんだ。まぁ、自分から攻めるかどうかは完全に気分だがな」
ナ「…埒が明かない。攻めるぞ!」
声は女だが、話し方とか色々が完全に男だから
なんか女って言われても…
ナ「お前、今失礼なこと考えただろ!」
ユ「あー、いやー、そんなことないっす…よ」
ナ「目をそらしながら言われても!説得力無いわぁ!」
ユ「仮面してるのになんでわかった!?」
ナ「勘!」
怒って突撃してきた
むしろ、こうなったら攻撃の仕方が単調になるとか…
ユ「うおっ!?危ねぇ」
普通にそんなことはなかった
というより、怒ってはいるけど冷静なだけだな
ユ「…いやー、怖い怖い」
とりあえず、一歩も動かずにこいつの剣撃をすべて避けている
なんかとどまってるから残像見たいのができてる
ユ(すげぇ)
テ『普通は出来ませんからね』
ユ(でも面白い)
戦っている最中だということを忘れて
残像を作ってる自分を鏡で見ていた(鏡 ユート作)
ユ「うーん。残像って自分だと見えないのかなぁ?」
テ『見えないですよ』
ユ『そうかぁ』
残念がっている間に
どんどん、攻撃が速くなっている
ユ(一応俺も潜在スキルのおかげで、速くなったとしても避けることはできるが。なんで速くなってんだ?)
腕組をしながら
必死に考えているが、俺の足りない脳では何も思いつかなかった
ユ「よし、終わらせるか」
これが出てきた答えである
ユ「まずは、蹴り」
ナ「がはっ!」
女勇者の腹を蹴って
遠くに飛ばした
また壁に埋まってるよ
なんか反応がないから気絶してるな
ユ「それで、あとは聖女だが…大丈夫か?」
なんか言葉を発しないで、ずっとあたふたしている
見た感じ、舌とか引き抜かれてないし
喉も正常
なんで話さないんだろう
もしかして、俺と話したくない!?
テ『なんで悲しそうにしてるんですか』
ユ『いや、初対面で。確かん話しにくいのはわかるけど。大丈夫って聞いて答えなかったんだが?』
さすがに無視しないでほしい
泣くぞ
テ『普通、敵になにか情報を与えると思います?』
俺は過去に自分の行った行動を振り返った
情報あたえるというか、普通に会話はしたと思う
ユ『…話すよな?』
テ『あなた以外です!』
耳の中がキィーンって耳鳴りを起こした
テキストさんが大声で話すとこうなるんだ
初めて知った
ユ『話さないのか』
テ『“普通は”そうです』
わざわざ、普通っていうのを文字で見せてきやがった
しかもフォントまで変えてめっちゃ強調してきやがる
ユ『うざいな。お前』
テ『褒め言葉として受け取っておきます』
なんてポジティブな野郎だ
ユ「さて、降参するか?」
何も言いわしなかったが
杖を持って構えている
ユ「その持ち方、剣だよな?」
杖を剣のようにもって、構えていたのだ
それに気づくと、慌てて直して
また構えた
ユ(変わんない…)
一瞬何を見せられてるんだろうって思った
というかいつも杖をそんな感じに持ってるのか?
俺はちょっと呆れている
ユ「…戦う気のないものとは戦うつもりは無いんだが。攻めてきたのはそっちだしな」
片手で頭を掻いてから
手を前に出し
ユ「“睡眠”」
と言って寝かせようとしたが
バチッ!
ユ「っ!?」
なにか電気が手にあたったような感覚がした
魔法が跳ね返された?
だとしたら、状態異常無効をつけてるから大丈夫だと思うけど
ユ「状態異常が効かないってことか?」
無言のままで結局なにも言わない
ユ「だったら…」(アユムにやったのをやれば良いのか?)
頭叩くやつをしたいんだが
うーん、でもアユムは頑丈だから大丈夫だけど
ちゃんと普通の人間レベルに手加減できるかなぁ?
ユ「…うーん」
ずっと腕を組んで悩んでいると
聖女が近づいてきた
ユ「?」
「…」
何も言わないせいで沈黙が続く
ユ「なぁ、お前を気絶させる方法って何か無い?」
「!?」
なにかびっくりしているな
テ『アホですか?』
ユ『せめて馬鹿と言え』
否定したら
テ『では、バカとアホ』
合わせてきやがった
ユ『この野郎。んで、何?』
テ『気絶させる方法を自分で知ってると思いますか?』
ユ『知らないか』
というか俺が考えてみても思いつかなかった
ユ「じゃあ、叩いていい?」
手を断っているかのように動かした
ユ「大丈夫、痛くないから」
医者が子供に注射をするみたいに話しかけてみたら
なんかすっごい引いてる
テ『怖いですよ』
余計に、怖がらせてしまったな
ユ「うーん、俺はお前に何もしない。このダンジョンに寝かせておく。だが帰りは自分でいけよ?」
そう言って、説得したら
こくっとうなずいてくれたので、首を叩いて気絶させた
ユ「寝たか」
流石にフードを被っていたから
顔隠したいのだろうと思って、俺は顔を見ないように運んでいった
だけど、俺はあることが気になった
ユ「…男の匂い?」
そう、この聖女から男の匂いがしたのだ
ユ「もしかして、こいつ…女たらしならぬ男たらし!?」
と思ったが違った
普通に男だった
体の形でよくわかった
ユ「女っぽい男だなぁ」
漫画とかでもよくいるやつだな
というか、これを見ると色々と事情が気になるんだが?
ユ「ということで、聞きに行っていい?」
シ「いいよ。ボロ出さなければいいよ」
ユ「まるで俺が言うみたいな言い方すんな…」
シ「言うだろ」
ユ「…そこまで、はっきりと言わなくていいだろ」
ちょっと心になにか刺さった気がしたが気にしないでおこう
シ「一応監視と仲間がいる風を出すために。二人を連れてけ」
とイリヤと青スラさんを出してきたのだ
ユ「お前らは?」
シ「めんどい」
キ「ちょっとやりたくないかな?」
ヒ「俺も」
ア「ぼ、僕はやだよ!」
カ「やりたくね〜な〜」
シ「もちろん子供二人もだめだからな?あと強いやつには女が寄るっていう考えに沿っていくならこれが一番いい」
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夜
二人を抱えて、外にやって
なんか適当にテントとか置いて
ついでにバックも
あと焚き火とか、丸太とか置いて
マシュマロとか、怖い話のネタとか用意して
テ『途中からキャンプになってますよ』
ユ『あっ』
というかなんで俺肝試しとか苦手なのに、怖い話について考えてんだろう
ユ「あとはこいつらが目をさますのを待つだけだな」
座って、ゆっくりと目をさますのを待った
ナ「う、うーん」
ユ「おはよう」
イ「こんばんわですよ」
勇者が起きてから
とりあえず、挨拶をした
ナ「ここは?」
ユ「お前たちがなんか、ダンジョンで寝てたから。拾ってきたぞ」
ナ「ありがとうございます!」
さっき戦った時と違って、敬語使うんだな
敵には敬語を使わないってことか
ユ「なんであそこで寝てたんだ?」
とりあえず、簡単な会話から話そうと思う
ナ「あそこのボスに蹴っ飛ばされてから記憶がありません」
ユ「…痛かったか?」
ちょっと気になったので聞いてみたら
ナ「はい」
即答だった
ユ(…悪かった)
ちょっと罪悪感が…
まぁ、いい
さて、本題だ
ユ「一つ気になったんだが。なんで、そこの男は聖女って事になってんだ?」
ナ「なんでわかったんですか?」
聞くの早!
ユ「魔法で鑑定したら見れた」
本当は匂いでわかったけど
テ『変態』
ユ『ひでぇな!』
説明だけを聞いたらたしかにそう思うかもしれんが
断じて俺は変態ではない
ユ「それで、なんでだ?」
ちょっと話していいのかと疑いの目を向けられたが
話してくれるようだ
ナ「聖女というのは、よくわからないけど教会の偉い人が選ぶんだ」
青スラ「よくわからないというのはどういうことですか?」
ナ「教会というのをあまり知らないから」
仕組みはよく知らないと
勇者と同じ感じで異世界から呼ばれるのか?
ナ「そこで、この女に見えた男がたまたま聖女に選ばれてしまったのです」
なるほど
てことは教会の責任なのでは?
ナ「一緒に断ろうとしましたが。この子は意志が弱いので。聖女という役目を果たそうとしました」
ユ「それで聖女になったと。ところで質問なんだが、聖女って何歳ころに選ばれるんだ?」
質問の意図が良くわかってないみたいだが
答えてはくれた
ナ「子供の頃だが?」
ユ「じゃあ、お前はなんでこいつの過去を知ってるんだ?」
ちょっと黙ったな
聞いちゃだめだったか?
ナ「それは、私がここで生まれたからです」
あっ、普通に答えてくれた
ユ「勇者ってのは、異世界から召喚されるものじゃなかったのか?」
ナ「…黙っててほしいんですが良いでしょうか?」
なにかバレたらやばいことでもあるのか?
ユ「何だ?」
ナ「私は、転生者です。一度私はこっちで言う異世界で死んでいて転生して勇者と選ばれました」
なるほど、異世界転生系のテンプレか
ナ「最初は、転生して無双するぞー!と結構嬉しかったですが」
ユ(何だただのガキか)
大人かと思ったけど、違ったようだな
ナ「意外と勇者ってブラックだったことを知り。もうしたくないと思いました。ですが、この子がずっとそばにいてくれたおかげで、がんばれた」
ユ「それで、この子供と一緒にいれるように頑張ってるってことであってる?」
ナ「そうだ!」
口調変わったな
ユ「そうか。じゃあ、俺たちは帰る。邪魔はしないでおくよ」
ナ「!?。…ありがとうございます」
嬉しそうだな
流石に邪魔はしたくないな
だってお宝だからな
俺からしたらの話だけどな
ユ「行こう」
青スラ・イ「はい」
ユ「“転移”」
男みたいな女勇者と男の娘の聖女か
面白そうだな
と考えながら家に帰っていった
もし誤字、変なとこ、質問などがあったら言ってください
この話へ一言 ユートから
ユ「意外とあの勇者、重かった」
イ「それは装備が重かったのか、本人が重かったのかに分けたほうがいいと思います」