第百四十八話 運のない男の話
ユ「ふー、お前か騒いでんのは」
俺は騒いでる野郎のところに行った
「何だ!このお化け屋敷ってのは!つまらん!」
中で騒いでるから外の人からの視線は感じないが
ちょっと入るのを遠慮している人がいる
まぁ、もとからそうの人もいるが
ユ「…迷惑になるのでこちらに来てくれませんか?」
「…わかった」
男はおとなしくついてきてくれた
そして、真っ暗な部屋に案内した
「それで、話ってなんだ」
ユ「いやー、何が不満に思うことがあったのかって思って」
ちょっと煽り気味で聞いてみた
「不満も何もつまらないではないか!」
子供にして、クレームを言えんのか
すげぇな、自分の意志をはっきり持ってやがる
テ『そんな解釈の仕方するのあなただけですよ』
ユ『まぁ、でも間違ってないだろ』
テ『たしかにそうですけど。普通の人だったら、なにか言い返すと思いますけど』
何?
俺は変なやつってことか?
確かにそうだが
ユ『まぁまぁ貴重な、評価を言ってくれる人なんだから我慢しないと』
テ『…いつもは子供っぽいのにこんなときは大人ですね』
ユ『は?』
テ『ほら』
ユ『あっ』
本当だったわ
というか俺そんなに大人か?
ユ『…今は自分より年下に怒鳴ってる場合じゃないからな』
テ『ですね』
これは同意見だった
というか違ったまた言い合う羽目になるところだった
ユ「じゃあ、どんなとこが不満だったか言ってくんない?」
「えっ、えーっと…」
こいつ絶対なんも考えてないな
多分俺がいるから嫌がらせでもしてきたんだろうな
ユ「無いのか?」
「いや!ある!ちょっと待て!」
今考えてる時点で、何も無いって言えよ
一応監視は二人に任せてて、なにかあったら念話で教えてくれるから大丈夫なはずだ
「うーん、はっ!」
思いついたみたいだな
「暗い!」
ユ「そりゃあ、お化け屋敷だからな」
「あっ…」
大声ではっきりと馬鹿なことを言ってきやがったこいつ
流石に俺でも…言わないと思う
テ『言い切ってくださいよ』
ユ「…それでそれ以外には無いのか?」
ガン無視
「えーっと、つまらん!」
ユ「お化け屋敷にある面白さは怖さだから、もしお前が笑いの面白さを求めてんなら別のところにいけ」
Theド正論
流石に効いたのか、ちょっと悔しそうだな
ユ「…」
「まて!」
無言で転移で帰ろうとしたら、それに感づいたのか止められた
なんでわかったんだよ
ユ「それで、もう無いか?」
「くっ…どうせお前の作ったものなんだからくだらないに決まってる!」
何か妙に自信持っているが
根拠がない
ユ「もしかして、お前まだ回ってないのにこんなこと言ってたのか?」
「ああそうだ」
…こいつ、とんでもないガキだな
ユ「はぁー、じゃあ、一回くらい回ったらどうだ」
「断る。お前のようなものが作ったものだとどうせくだらない。なんであいつらもこんなやつと一緒に活動してんだ。馬鹿かよ」
とうとう、俺以外にも悪口が飛んでいったな
ユ「…帰ってくれませんか?」
「ああ?断る!」
ユ「帰れっつってんだろ」
「ひぇーーーー!」
男は泣きながら走って帰っていった
まぁ、そりゃあおばけの幻影が大量に後ろにあったら怖いもんな
幻影だと知らなかった場合に限るが
ユ「さて、“転移”」
戻ったら
なんか二人がビクビクしてた
ユ「怖かったか?」
イ「…はい」
フィ「うん」
…怖かったか
第三の目越しでも幻影は見えるんか
ユ「そのー、悪い」
イ「大丈夫です。私が怖がりなだけなので」
ユ「いや、怖かったら普通に言って」
頑張る精神なのは良いことなのだが
流石にそれは無理しないでほしい
俺もおばけは本来苦手だからな
ユ「ふぃー、まだ続きをするか」
また監視を続けて
バッタバッタと倒れていくから、また皆を保健室に運んでいたら
人数が増えすぎてちょっと、ベッドが足んなくなったらしいな
ユ「流石に気絶し過ぎだと思うが…いいか」
気絶するくらい驚いてもらってんだしな
ユ「…うーん」
フィ「眠い?」
ユ「なんでわかった?」
図星だったからちょっと焦った
ユ「…ちょっと寝ていいか?」
イ「良いですよ」
ユ「もしなんかあったら言ってくれ」
血の使いすぎで眠くなってしまった
血はすぐに回復するから、貧血ではないが
回復するのにちょっとエネルギー使ったから眠くなってきた
ユ「ぐぅー」
イ「もう寝ました」
フィ「ベッドで寝なくて良いのかな?」
イ「どんな体勢だろうと、どんな場所だろうと寝れるのはすごいですね。潜在スキルのおかげかも知れませんが」
もとからどこでも寝れたんだけどな
家ではベッドよりもソファとか、地面とか、机とかのほうが多かったし
大体ベッドで寝るときも寝相が悪すぎて、体の四分の三くらいがはみ出てることとか多かったし
イ「それにしても、何も起きないですね」
フィ「さっきまでずっとお兄ちゃんが人運んでたのが嘘みたい」
テ『それはこの人の幸運値が低すぎるのでしょう』
急にテキストさんが出てきた
イ「どういうことです?」
イリヤは念話ではなく普通に会話をした
念話でもいいのだが、周りには誰も居ないので会話をすることを選んだようだ
テ『今は見れないですけど、ユートさんの幸運値はおかしいことになってます』
イ「そう言われてもわからないんですけど…」
ちょっと呆れてるな
そりゃあ、言われてもわからんからな
テ『ユートさんは幸運値が0分の0と表示されているんです』
ピコッ!
どうやらユートのステータスに幸運地が表示されるようになったようだ
だが寝ているから今は気づいていない
イ「なんですかそれ?」
テ『分数を知らないんですか?』
イ「ぶんすうとやらは知らないです」
テ『そうですか。では説明します』
テキストさんは簡単に説明した
大体小四までの範囲だ
テ『それで、ユートさんの幸運値は0分の0』
イ「0÷0ってことだから答えは0!」
テ『いえ、違います』
イ「えっ!?」
間違ってたことがちょっとショックだったんだな
テ『0÷0の答えは“無数”です。また“不定”とも言います。つまり答えは決まっていません』
イ「なるほど〜」
イリヤは感心して聞いていた
テ『ですが、これだけだったら良いのですが。一つ説明があるんですよ』
イ「?」
首をかしげている
まぁ、見えないからそういう反応をするしかないのかもしれんが
テ『横に※があり。“ただし答えは0より小さいものとする”と書いてあります』
イ「…?」
小四の範囲を教えてもらっただけで
中一で習う、ゼロより小さいまずについては何も知らない
だからわからない
テ『つまり、運が悪いということです』
イ「でも、意外と運が悪いと思うようなことは起きてないと思いますが…」
疑問を持ってもう一回聞いた
テ『では、例をあげましょう。あなたは学校の皆からいじめをくらいました。どう思います?』
イ「怒りたくなります」
拳を握りながら、ちょっと怒りそうになっている
テ『感情が出ているということは、奴隷思考はなくなったんですね。ユートさんが喜びそうです』
イ「えへへ」
嬉しそうだが
話に関係がないので、テキストは一度話を止めて
本題に戻った
テ『ではもう一つ、修行してたら急に頭に矢が刺さりました。どうします?』
イ「死んでしまうから。何もできない…」
真面目に考えた後
ちょっと悲しそうにしていた
テ『では後もう一つ。自分が皆を助けたのにも関わらず、皆から忌み嫌われる存在になったらどうします?』
イ「悲しいです」
しょぼんとしてる
テ『普通はそうですよね。ですが、この人は普通に過ごしてる』
イ「えっ!?今のユートさんの体験談なんですか?」
テ『はい、そうです』
その体験談を聞いたイリヤは悲しそうにしていて、徐々に涙が出てきていた
イ「そ、そうですか…」
テ『だけど、この人が普通に過ごすことが出来ているのは、『周りに恵まれた友達がいるからだ』と、この前言っていました』
器用に声をユートに変えてそう言っていた
テ『あと、小さいことに対しても幸せを見出して膨大過ぎる不幸を打ち消すほどの幸せを作り出してるんですよ』
イ「…」
黙り込んで、色々と考えた
イ(莫大過ぎる不幸…客が気絶してるのは不幸のせいだけど、本人は怖がってくれるのは嬉しいと考えていた。これもそうなのでしょうか?それに趣味が多いとも言っていました。それも自分の幸せを増やすもの何でしょうか?)
イリヤは色々と考えていると
テキストさんが声をかけてきた
テ『…過去にあったことを考えるより、今どうするかを考えたほうが幸せだと思いますよ』
イ「はい!」
元気に返事して喜びそうなことをした
数十分後
ユ「う、うーん」
ちょっと体が重い
あとなんか頭が温かい
前にもこんな事あったな
あの時は、青スラさんが朝に膝枕して溺れかけたな
でも温かいな
目を開いて、一番最初に目に入った光景は
イリヤが目の前にいるというものだ
イ「おはようございます」
ユ「ははっ、もう昼だよ」
イ「ふふっ、そうですね」
適切な突っ込みを入れることが出来た
ちょっとうれしい
イ(こんな感じに、小さいことにも面白みを求めているんですね)
ユ「…膝枕か」
こっちからイリヤの尖った歯と恥ずかしそうな顔が見える
イ「はい。喜ぶかと思いまして」
ちょっと顔を赤くしながら言ってくれた
ユ「そうか。ありがとな。おかげでぐっすり寝れたよ」
ゆっくりと起き上がったら
第三の目には、さっきの男が親を連れて何かを言いに来た映像が映っている
ユ「ふー、早速仕事か」
イ「あ、あの私が行きます!」
ユ「いや、俺が行くよ。膝枕気持ちよかったし。あとでフィルにも同じことしてあげろよ“転移”」
俺がそういったら
イリヤはちょっとびっくりした
イ「フィルさん、私によっかかって寝ていたんですね」
イリヤはフィルに膝枕をして、映像を眺めた
もし誤字、変なとこ、質問などがあったら言ってください
この話へ一言 作者から
作「0÷0=xを移行して。0=0xという式にすると。xに何を入れても0になるので、答えは無数になる。作者は数学弱者だからよくわかんないので、この式を使いました。ちなみにテキストさんが指してる答えというのは”x”のことです」