第百五話 魔術の授業
エリ先「今日は魔術についてやりたいと思う」
ユ「魔術?」
シ「何だそれ?」
全くわからない
魔法となにか違うのだろうか?
エ先「魔術というのは魔法と違い、術式を書いて発動させる魔法のことだよ。ちなみに術式は…」
なんだ、ただの魔法か
などと考えていたら
エ先「術式はこんなのがあるよ」
と言って先生は黒板に「発光」と書いた
エ先「この術式の効果は魔法で言う“ライト”と同じだ」
ユ(漢字じゃねーか!)
と言いたかったが俺はそれを言わずに黙った
魔術というのは魔法と違い
術式を書くものらしい
そして術式は漢字
こっちの世界では知らない文字が普通の言語らしいけど
俺たちは言語の翻訳があるから聞いたり話したりできる
だからこそ漢字が術式になっているのだろう
シ「…他になんの術式がありますか?エリ先生」
エ先「あー、そうだなあとは…」
と考えながら黒板に
漢字を、いや術式を書いていった
ユ「“火球”に“水球”か」
エ先「ユートは読めるのか。私が知ってるのはこれくらいしか無いな」
シ「わかりました」
丁寧に敬語で返した
シューゴさすが
俺は敬語なんて殆ど使わん
シ『これって俺たちの知ってる漢字も使えるのかな?』
ユ『どうだろ』
ヒ『使えたらかなり便利だと思うけど』
ア『か、紙に書いたらできるみたいだし、このあとやってみようよ』
キ『紙の種類は何でも良いんだな』
ユ『じゃあ、紙は俺が作るよ』
などと授業中に念話で話していた
ユ『まさか術式が漢字だとは思わ…』
エ先「ではユート、これを呼んでみて」
ユ「えっ!?」
突然名前を呼ばれびっくりした俺は座っていた席を立ち上がってしまった
キ「何びっくりしてんだ?っはっはっは。」
笑っていやがる
この野郎
念話で会話すんじゃなかった
ユ「えっと…何すんだっけ?」
エ先「これを呼んでみて」
ユ「えーっと、“火炎”」
エ先「おー、これも読めるのか」
すっごい感心された
でも席を立って言うのめんどくなってきた
テ『めんどくさがるの早すぎません?』
ユ『そんなことはない…..と思う』
次々に問題を出されて
それを答えるのがめんどくさくなった俺は
ユ「シューゴとキクチも術式読めますよ」
シ「おい!」
キ「なっ!?」
と言って擦り付けた
エ先「そうなのか。じゃあ、シューゴ…」
ユ(よし、気がそれた)
エ先「あっ、いいや。そのままユートで良いわ」
ユ「どうしてだよ!」
キ『ははっ、残念だったな!』
くっそ、めっちゃ大声で念話の中で笑っていやがる
すっげぇはらたつんだが
キ『もしかして擦り付けれたと思った?残念できませんでした〜。乙〜』
やばい、すごいグーで殴りたい
顔がめり込むんじゃないかとか言うレベルで
ユ『よし、キクチ。あとで体育館裏集合な』
シ『だから古いって』
キ『体育館無いけど?』
放課後
キ「今日運がなかったなぁ、ユート」
ムカつく煽り口調でキクチが
話しかけてくる
ユ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
シ「深呼吸かよ」
ユ「ため息だ」
思わず、キクチの煽りっぷりにはため息が出てしまう
長いからため息じゃなく深呼吸と言われるが
現在学校の廊下を通っている
まわりからは俺の悪口しか聞こえない
カ『俺たちが王都を助けたのになー』
シ『言っても信用しないでしょ』
ユ『悪口くらいは別に平気だからなぁ』
なぜなら、もう慣れたからだ
けっこう長い期間食らってるからな
あと別にここの世界の皆に無視されたとしても
キクチたちがいるから大丈夫だと思ってる
ヒ『それでやり返しをしないユートって聖人君子?』
ユ『物理でなにか食らったら仕返しはしてるから、そんなことはないだろ』
キ『そもそもユートが王子を瀕死にしなかったらこんなことにはならなかったけどね。誰だろーなー?瀕死にしたの?』
また煽り口調だ
まったく煽ること以外知らんのか
ユ『よし、キクチ。ちょっとゲームでもしないか?』(ボコボコにしてやるよ。かかってこい)
キ『一人で楽しんだらどう?』(そんな子供っぽいことには付き合わないぞ)
言葉の裏に意味があった
この二人は勿論、他の人もどういう意味で言っているのかも理解している
だけど、少しずつ落ち着いてきた
ユ『あんとき、回復させたし、一応許可はもらったぞ?というより続けるかは聞いたぞ』
ア『ちょ、ちょっとまわりから変な視線を感じる』
まわりを見渡してみると
なにか注目をあつめている
シ『俺らが黙って移動してるのと、それに対して行動を起こしてるからじゃない?』
ユ『実際は念話で話しまくってるけど、俺はキクチを殴ろうとしたもんな、まわりからしたら無言で。あといつになったら放すんだ?そんな貧弱握力だと俺の手は潰れないよ』
キ『貧弱と言っても握力計を何十周するほどの力はあるけどね』
ユ『そうか、ちょっと痛い程度だぞ』
カ『痛てーのかよ』
そう会話しながら俺たちは
学校を出て
家に帰った
ユ・カ・ア・キ「ただいま〜」
ヒ・シ「ただいま」
少々疲れたような気の抜けたような感じで「ただいま」と生活部屋で言った
そしたら奥からメイド服を来たイリヤが来た
イ「おかえりなさいご主人さま。猫ですか?獣人ですか?それともわ・た・し?」
ユ「全部一緒じゃん!」
イリヤは黒い毛の猫で
人と猫だから獣人
だから全部選択肢は一緒だ
ユ「というかお前の主人はの二人でしょ」
シ「そのやり方をするのはあの二人だけでいいんじゃない?」
そう言っても
イリヤは顔を横に振り
答えてきた
イ「お嬢様達の主である貴方様たちにも、メイドの仕事をします」
カ「あそー」
興味なさそうに言う
キ「というかこの前は話し方変わってたよな?」
イ「あっ…」
キ「てことはこれは誰かに吹き込まれてこうなったってことなのでは?」
キクチが推理をすると
イリヤはなにか焦ったような顔をする
ヒ「このお迎えの仕方を言ったのは俺だな」
キ「多分、この言い方の提案は青スラさんであってるかな?」
青スラ「…あたりです」
また奥から青スラさんが出てきた
青スラ「あなた達は、こんな状況嬉しくないのですか?興奮しないのですか?」
ユ「いやしない」
即答したらちょっとイリヤが悲しそうな顔をした
イ「即…答…」
やばいなんか落ち込んでるんだが?
イ「私そんなに魅力ないですか?」
ユ「あっ、いや。そういうことじゃなくて」
キ「わー、泣かせた〜」
煽り能しか無いキクチがまた煽ってきた
あと奥からただならぬ圧を感じた
ユ「煽んな!」
キ「はいはい」
ユ「えっと、魅力が無いわけじゃないんだよ。えーっと、俺がただ単に女の人に興味がないだけだから」
などと言って
説得しようとしたけど
泣き止まなかった
そしたら突然、テキストさんが話してきた
テ『イリヤさん。貴方は魅力がありますよ。だけど、この人達は異性に対しての興味というステータスがゼロに近いんですよ』
イ『なんですか?それは?』
ピコッ!
ステータスカードがなった
確認してみたら
『異性への興味』と書いてあった
ユ『これは?』
テ『これはそのままの意味です。生物というのはいつかは死んでしまうので、自分を残すために子供がほしいと考え、異性に興味を持つんですよ。だけど、貴方達は『不老』つまり寿命では死なないので、子供を生みたい、子孫を残したいという気持ちが無く、故に異性に興味がないんですよ』
ユ『なるほど』
キ『これって』
テ『はい、俗に言う“性欲”みたいなものです』
ちなみにステータスを見てみると
ユ:0
キ:0.5
シ:−50
ヒ:0
カ:2
ア:1
ユ「ひっく!超少ないな俺たち」
キ「というかなんでシューゴはマイナスになってんの?」
シ「俺はもう試験のテストが良かったから、女子に追いかけられまくっていやになったのと、元からそんなに好きじゃないから」
ユ「なるほど」
なっとくだ
確かにシューゴは学校でよく追いかけられている
逃げるときは毎回身体能力強化とか、幻影魔法とか、俺の縄とか使って頑張って逃げようとしてたもんな
無属性魔法って逃げる時便利だな
身体能力強化・幻影魔法→無属性
ヒ「興味がなかったりしたら、ちょっとそっけない態度を取ってしまうのでは?」
テ『それは皆が素でやさしいのでそんなことは無いと思います』
皆優しいってよ
カ「そういえば、この前風呂が真っ赤になってたけどー?」
ユ「猫は別だ」
テ『いえ、数値がゼロでもかわいいもしくは恥ずかしいなどのことは普通に感じますよ』
だから俺、鼻血出たんだ
ということはカンタの言っていることは正しいのでは?
ユ「まぁ、いいか。とりあえずー」
青スラ「ますはユートさん、説教ですよ」
ただならぬ圧力に俺は負けて
その後三時間ほど説教を食らった
ユ(俺の場合女の子に優しくしなかったら、説教食らうんだが…)
ヒ『皆そうだよ』
シ「説教辛かった?」
現在メンタルボロボロの状態で
寝っ転がっている
ユ「づらい」
シ「そうか。じゃあ、夜ご飯はお前の好物な」
ユ「よし、食う!」
俺は立ち上がった
シ「立ち直るの早いな」
ユ「そりゃあ、自分の好きなご飯が食えるからな」
シ「はいはい、ご飯まってろ」
その日のご飯はいつもよりうまかったという
もし誤字、変なとこ、質問があったら言ってください
この話へ一言 イリヤから
イ「この方法が良いって言ってたのに...」
青スラ「大丈夫です。あの人達が悪いだけなので」
ユ「なんでだよ!」