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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お腹の中からお腹の中へ

2013年11月22日、暗い通路を進んで行くと急に世界が広がった。僕は今この瞬間、この世に産まれたんだ。生まれた瞬間は眩しくて何も見えないけれど、たくさんの人の声が聞こえてお母さんは優しく撫でてくれて歓迎されてるのを感じた。でも僕は違うところに連れてかれるみたい。お母さんとは一旦お別れなのかな。また後で会えるよね。


お母さんとお別れしてすぐ、僕は高い壁で仕切られた四角い部屋に連れてこられた。ここはどこなんだろう?僕をここに連れてきたあなたはいったい誰なの?生まれたばかりの僕には状況が全く把握できないよ。

そして僕は白い液体を飲まされた。何これ。美味しい!もっとちょうだい!

白い液体をくれた人は沢山飲んで大きくなれよって言ってた。僕、頑張って大きくなるよ!


お母さんと別れてから3日くらいたったかな。いつになったらお母さんにまた会えるんだろう。寂しいな。でもあなたは今日も来てくれたんだね!その手には何を持ってるの?

そして突然、感じたことの無い衝撃が僕の耳に走った。

痛い。じんじんする。これは...耳飾り?

僕は戸惑いながらも痛みを必死にこらえた。


もう1ヶ月間お母さんに会ってない。お母さんは僕のこと探してるのかな。周りには僕以外誰もいないしこんな狭い部屋で過ごすのも飽きてきたよ。

あ、今日も来たんだね!今日は何するの?僕にはあなたしか頼れる人がいないから来てくれて嬉しいよ。

外に連れてってくれるの?久しぶりにこの部屋から出れるんだ!どこに行くんだろう!

...ここは...どこ?

目の前には数人の人とそれ以外には見たことも無い変な形をしたものがあった。

そして突然、以前の比にならないほどの衝撃が僕のお腹の下に走った。

痛いよ...。なんでこんなことするの...?痛い怖い痛い怖い。


だんだん寒い季節になってきた。外は真っ白で、僕を温めてくれるものは下に敷かれている布団だけ。

寒いけど嫌いじゃない。外の景色はなぜか暖かい感じがする。不思議だな。

誰か近づいてくる。.........。またあなたか。あなたが来たということは、またどこかに連れていかれて痛い思いをするんだろう。嫌だな。

「じゅ〜」そんな音とともに頭に衝撃が走った。痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い!!!必死に抵抗しても首が固定されてて逃げられない。

どうしてこんな目に遭わないといけないんだろう...。

その帰り。僕は僕と同じような目に遭った子たちと同じ部屋に連れてこられた。どうやら今日からここで生活するらしい。似た者同士仲良くしよう。よろしくね。


結局お母さんと再開できないまま数年の時が流れた。お母さんは僕のこと忘れちゃったのかな。今頃どうしているんだろう。仲間がいるから寂しくはないけど、やっぱり辛いし悲しいよ。

今日は見知らぬ人を連れていつもの人が来た。僕達を見て何か話してる。なんの話しをしているんだろう。え?外に出してくれるの?僕達みんな?もしかしてお母さんに会える!?動き出してみたら体が重い。ちょっと運動不足かも。


連れてこられたのは下に丸いものが付いた四角い箱だった。これに乗ればいいの?

数分後四角い箱は動き出した。箱の中から外が見える。景色が動いている。でもよく見えない。最近目が悪くなってきていたんだ。病気かな。でもきっとこれに乗っていればお母さんに会えるんだ。楽しみだな。

なんだか喉が渇いてきたけどあと少しの辛抱だ。


箱が動くのをやめた。降りろって?わかったよ。ここにお母さんがいるのかな。

また四角い部屋に連れてこられた。僕たち全員が入るには少し狭い小さな部屋。喉が渇いた。お腹がすいた。お母さんは?

そして疲れ果てて僕は眠った。


翌日、僕は二度目で最後のお別れをして、またお腹の中に入ることになったんだ。

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