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死神と呼ばれた悪魔使いは追放された異世界で生贄少女と生きていく  作者: 真名瀬こゆ
第3部 死神と勇者と魔王と聖女

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プロローグ 天才悪魔使い、勇者になる

 おれは殺された。

 嘘じゃなくて。ホントに。マジで。

 愛した女とその飼い狗によって。


 俺の愛した女は、血で染められた薔薇みたいな女だった。凛々しくて、美しくて、賢くて、強くて、勇ましくて、なんの非の打ち所もない完璧な女。

 おれの人生が彼女の手で終わるなら本望――――んなわけねぇだろ!

 うう、なんでだよぉ……! 付き合って、デートして、結婚して、キスして、エッチして、子供作って、世界で一番素敵な家庭を作りたかったのに! おれのことを殺すなんて!! 酷すぎる!!


「楓、愛してるよ」


 これがおれの最期の言葉。




 そして、死んだはずのおれは、何故か真夏のジャングルで目が覚めた。

 蒸し暑くて、緑が生い茂ってて、虫がたくさんいそうで、原始的な感じ。ティラノサウルスとか、サーベルタイガーとかいそうな、人類未踏の地感満載の大森林。

 野性味があふれている光景に愕然とした。

 こんなん絶対に天国じゃねぇじゃん。

 こんな森に神様も天使もいるわけねぇ。


 おれは悲しかった。

 なんで好きな女に殺されたあげく、こんな仕打ちをうけなきゃいけねぇんだよ。

 身体はそこらじゅう痛ぇし、自分から変なにおいがするし。うう……。


「×××××××××!!」

「うォ、わ――!!」

「××××!! ××××!!」

「え、え!? んだよ!?」


 怖。ビビった。

 本当に心臓止まるかと思った。

 神父服? みたいなのを着たジジイがにゅっと茂みから出てきて、意味分からん言語で話しかけてきた。早口だし、声でけぇし。

 まさか、こいつがおれを迎えに来た天使なの……? ジジイじゃん!

 絶対ヤダ!!!!


 おれ、もしかして死んだんじゃなくて、変なところに捨てられた? 売られた?

 そう思い始めたら、本当に悲しくて悲しくて、涙が溢れてきた。


「でっ、デスト・パージぃ!!」


 おれの契約する悪魔、デスト・パージ。

 喚び声に応える声が聞こえる。よかった。すぐきてくれそう。

 …………あ? 悪魔が喚べるってことは、おれ、死んでなくね? おれの魂、まだおれのものじゃんか。




 その後、俺は神父服の変なジジイに保護され、カルト映画で出てくるような神殿に連れてこられた。秘密結社のアジトみたいな。

 羽の生えたミロのヴィーナスみたいな金ピカの女の像がそこかしこに立っていて、太陽のマークみたいなのも一緒に飾られてる。趣味悪。


 開けた場所に連れてこられたかと思えば、いかにも宗教家ですぅって、ゴテゴテのカッコしたやつがわらわらと出てきて俺を取り囲んだ。

 何、おれは生贄にでもされるのか?


 とにかく怖くて、もう何も考えられなくて、デスト・パージだけがおれの心の拠り所だった。

 おっさんとおばさんがわーわー何かを言ってくるけど、おれの耳には意味の分かんねぇ言葉だった。でも、デスト・パージには分かるみたいで、聖徳太子ばりに聞き取っては次々に翻訳してくれた。悪魔が翻訳って……。つうか、こいつら全員悪魔じゃねぇか。


 そして、あれよあれよという間におれは勇者になった。意味は分からんかったが、ユウシャって響きがカッコよくて、俺にお似合いで、まんざらでもなかった。


 ここまでが三年前の話。

 

 今は魔王を討伐すべく、世界中を旅しながら魔物――っていうか、悪魔を殺してまわっている。

 いや、デスト・パージがいれば絶対魔王とかひとひねりだけど、同行してる女司教がクソ真面目で、まずは戦力を削ぐとかなんとか。退屈で長ーい話をしてたけど何も覚えてねぇや。


 メンツは天才悪魔使いで勇者のおれ、おれが勇者になってからずっと行動を一緒にしてる聖女、真面目で堅物の女司教、変な喋り方するオリエンタルな魔法使い、血の気の多い蛮族みたいな聖騎士。

 おれ以外、全員女。剣に魔法に、まじでRPGみたい。


 さっき寄った街で、ナヨナヨした魔術師の男がしつこく「仲間にしてくれ」って頼み込んできたから、今は六人パーティだ。こいつは使い物になんねぇから次の国に置いてこ。

 そういえば、次に訪れる国ではデカい祭があるらしい。楽しみだなァ。

お読みいただきありがとうございました。


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