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魔法震、その後の戦い

作者: 小財 明

自転車にと言うか自転車に係わる全てにマイナスの「負荷」が大きくかかっている。空気を入れようとすると、そう思った瞬間から「なんか、嫌だな。明日しよう。」と思う自分が居て、ますますそういう消極的な自分が嫌になって、結局、その明日を迎えても空気は入れず何もしないまま、思いだけがしばらくの間続くだけで、つまり、空気を入れず、過ぎ去ってしまう、ということが朗の最近の自転車をめぐる状況である。


そして、自転車にも当然乗れていない。


三年半前、熊本を襲った地震と関係があると朗は睨んでいる。


「魔法震」であり、その証拠としては、NHKが地震直後に流した、熊本城が珍妙な湯気を出した映像や、画面左端に映し出されたオレンジの激しい炎の映像が物語っている。まるでダメな映画、そうまるで、ハリー・ポッターのようであった。


朗の自転車はスポーツバイクなのだが、ドイツ製である。ヨーロッパでは自転車のことを、天使の乗り物、「ドライジーネ」と呼んでいて、自転車文化も例えばドイツなどでは自転車の専用レーンも整備されていて、市民の足として定着している。


「天使対悪魔というところだろうか」と朗は独りごちる。今日は、自転車に乗ろうと決意し、朗は煙草のわかばを吸った。


天使には天使の悩みがあろう。しかし、天使がいつまでも、例えば冬の寒い日に天気を直しに行こうと思いながら、何時までも部屋で音楽を聴いていては、空模様はいつまで経っても良くならない。自転車は貴族の乗り物だったという。のんびり、作家の朗は自転車の事を想い、2本目の煙草を吸った。


空は冬の曇天で朗は今日は自転車の空気を入れた。以前から気になっていたが、入れることが出来なかった空気入れである。


大変な作業であった。朗は二度ほど、あまりに苛々するため、大声を出した。


無事、空気入れが何とか終わると、朗は書斎で煙草を吸い始めたが、余計にいらつき、今度は机の上にあった文庫本を激しく手で押しのけ、床にはたき落とした。


頓服の薬を飲み、横になって休んで、何とか回復した。


アクションが大きいほど、敵からの反撃も大きくなる。「魔族」との戦いは教養人、詰まり、今の朗のような統合失調者にとって、避けがたいものである。


本を読み、音楽を聴き、携帯で小説を書く。それらは私のお金では購えない「活示」である。


国家よ、私からお金を奪わないで。


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