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吸血鬼と異世界人  作者: yu
第3章  闇の奥底
13/32

「ねぇ、約束のアレは用意、出来てるの?」


 闇に潜む世界で誰かが話をしていた。


「ええ、用意は出来ていますよ。後は、実行に移すだけです」


 女に報告する男は、不気味な笑みを浮かばせた。


「そう、だったら一日でも早く実行しなさい」


「分かりました。すぐに実行に移しましょう」


 男は、一礼する。


「それで、何ですが……」


「何かあったの?」


「はい……」


 男は、頭を上げると一通の手紙を女に渡す。


「私の部下が手に入れた情報です。おそらく、数日後にはここに訪れると思われます」


 女は手紙を全文読み終えると、炎で燃やし消した。


「分かったわ。道中で足止めが出来るように攻撃を仕掛けなさい。でも、死なない程度にするのよ」


「分かりました。それではーーでどうでしょうか?」


 男は、提案をする。


 女はそれを聞いて、フッ、と笑い、小さく頷く。


「いいわ。好きにやりなさい。上の方には、私から伝えておくわ。くれぐれもしくじらないようにしてちょうだい」


 女が許可を出すと、男は音を出さずに静かに闇の中へと姿を消した。


「それにしてもやってくれるじゃない。あの男、腹黒いわね……」


 女は鋭い目付きで、舌打ちをした。




     ×     ×     ×




 翌日ーー


 朝起きると、冷たい風が窓と壁の小さな隙間から部屋の中へと入ってきた。布団の中は暖かく、時計を見ると、朝の六時半過ぎ。


 エルザが起こしに来るまで1時間以上もある。


 反対側のベットでは、未だにスヤスヤと寝ているラミアがいる。


 ボーデンは、ベットから起き、トイレを済ませ、再びベットの上に座り、バッグの中から一つの小さな書物を取り出す。古く使い果たされたものであり、ページによっては汚れがついて、小さな傷や破れた所もある。


 書物の中には、原点に振り返る最初に学んだ基礎的な魔法の原理についてだ。どこにでも置いてある書物は、ボーデンにとっては長年の相棒なのだ。


 時間が来るまで読み耽る。


 十分が過ぎ、二十分が過ぎ、三十分が過ぎて行く。チラッと時間を見ると、七時十分を過ぎていた。


「げっ、もう、こんな時間になったのかよ!」


 ボーデンは慌てて書物を閉じ、ラミアの方を振り返る。


「ラミア‼︎ 朝だ、起きろ!」


 と、叫んだが、さっきまでいたはずのラミアの姿はどこにもない。


「あ、あれ?」


 ボーデンは首をかしげる。


「何叫んでいるのよ? バカじゃないの?」


 ラミアは、丁度シャワーを浴び終えた所だった。


「あ、起きてたのね?」


 ボーデンは、さっぱりとした髪を見て、安堵した。


「それにしてもさっきまで何を読んでいたの? 私が呼び掛けても何も反応しなかったじゃない」


 ラミアは髪を整えて、服を着る。


「ああ、魔法の原理についての基本的なものだ。時間があったからな、暇つぶしに読んでいただけだ」


「ふーん。ま、私には関係ないわね」


「そう言う事だ」


 ボーデンは、荷物をまとめる。


 コンコン。


 と、ドアをノックする音が聞こえてきた。


 部屋の中にエルザが軍服姿で入ってきた。左手には、書類を持ち、眼鏡をかけている。


「おはようございます。朝食の用意が出来たので呼びに来ました」


 エルザはボーデンとラミアを見る。


「あら、今日は眼鏡を掛けているのね?」


 ラミアがエルザを見て、不思議に思った。


「あ、これは……。朝は早いですからね、コンタクトをつける時間がないんですよ」

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