銀幕の冷たい皮膚に
300字SSです。お題は「演じる」。
銀幕の冷たい皮膚に捏ねられた木偶の坊の行進。光は背景魂も宿されて。柔き光の込めた因縁を、未開の地踏みしめる自我の閃きに、演じ、喜怒哀楽味わい尽くして。美酒の振幅伝わせ世界の狭間へ満ちぬ、遥かに旅立つ。
イメージ。そも、二つ星へと意志の凝縮が瞬いてあった。
迎え入れたるは闇、なる光なる。ほろ苦い黒の血液がぬるぬると纏わりついて奥悩までへ溶けた、連ね到れる無はサラサラとただ味気なく、茫漠に散りゆく咎なき趨勢と。この手は浚うよ、せめて臓腑の吐く鮮烈求め、とても叶わぬは海面うざうざと、逃げ去る軽ろき油の、儚き夢の絵に。
イメージ。そも、魂の底へ閉じた匣。見出だせ、演じるは生きる、生きる意志とて、生きる、と。