重課金戦士マネーマン 第51話:究極の課金
なろうラジオ大賞用小説第五弾。
金の価値を下落させ多くの惑星を滅ぼしてきたバブリア星人との戦いは大詰めを迎えていた。
地球へと逃げ延びた、かつてバブリア星人によって滅ぼされた星人の生き残りが開発し地球人に貸し与えた、課金すればするほど強くなる超人戦士変身システムにより変身する戦士マネーマンの部隊が、ついにバブリア星人の母艦へと突入したのである!!
だが敵の最終兵器『ロンダリン』による予想外の反撃に遭い、マネーマン達は戦力的にも財力的にも劣勢に追い込まれていた。
『くそっ! 俺達は……俺達は金融危機を救えないのか!?』
マネーマンの一人が絶叫する。
『まだ諦めるな!』
先陣を切っている別のマネーマンが絶叫する。
『俺は信じてる。あいつが……また立ち上がってくれるって!』
前回の戦いで変身アイテムを破壊され、変身不能となった男の事だ。
『そうよ! あいつは……あいつはいつだって、どんな劣勢も逆転させ――』
そして女性のマネーマンも叫んだ、その時だった。
最終兵器『ロンダリン』が、再びマネーマン達に数多のビーム弾を放った。
マネーマン、万事休す!!
するとそこに割り込むように、ついに彼は帰還する!!
「変身!!」
腕に装着した課金トランサーに、彼は一枚のカードを挿入する。
《マネーマン! ブラックフォーム!》
音声ガイダンスが鳴り響く。
だがその台詞は、他のマネーマンからしたら初耳な内容だった。
カード内に存在する金が、鋼鉄の装甲へとどういう原理なのか物理的に変化し、ついに彼は再び……前回とは違い、黒い戦士へと変身した。
他のマネーマンは、その過程を見た途端に絶句した。
いや、再び戦ってくれる事は嬉しいが、変身に使ったそのカードは……。
『とくと味わえ! これが、俺達の究極の金の力だ!』
彼は懐から光粒子剣を取り出し、鍔の部分についているスイッチを押した。
『え、ちょ、バカかあいつ!?』
『に、逃げるが勝ちだ!』
『いくら逆転したいからってそれはチートすぎるわッ!』
他のマネーマンは、蜘蛛の子を散らすように急いで逃走した。
そして次の瞬間、
《マキシマムアタック!》
彼の必殺技は『ロンダリン』のみならず、バブリア星人の母艦……さらにはその半径約五百キロの大地に存在する全てを破壊した。
後には、隕石のクレーターの如き穴だけがあった。
生存者は……破壊された範囲内には、一人もいなかった。
これが、究極のマネーマン。
ブラックカードを使った、禁断の究極形態『ブラックフォーム』である。
全52話。
書きませんけどね。