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■第一章■

 今年の夏は暑い。

 テレビで何年ぶりの猛暑だとか、地球温暖化だとか、ニュースのアナウンサーが真面目な顔して冷静に、とてもご親切に僕達テレビの前にいる日本人に伝えてくれているけれど、僕にとって問題なのは、地球温暖化とかそういうのじゃなくて、もちろんアナウンサーの化粧の下のくまがハイビジョンになってからごまかせなくなったなんてことでもなくて、他のことはどうでもよくて、とにかく暑いということだけだった。


 そして今、僕はうだるような暑さ(こんな表現生まれて初めて自分の口から使った)の中、コンビニエンスストアに向かってビーサンを足に引っ掛け、歩いている。先程から蝉がみぃ〜んみぃ〜んとうるさかったけど、どうでもよかった。とにかく今はコンビニへ行って自分が餓死する前に何か食べ物にありつくことだけを考えた。

 ここ数日、今日よりもさらに暑かったので銀行に行く元気がなく、あの人から振込みがあったというそっけない手紙を受け取っても、財布の中身が潤うことはなかったのだ。そのためにずっと家の中に引きこもり、クーラーやパソコンと戯れていたのだが、遂に食料が尽きたのが昨日の夜。今朝は我慢していたのだが、水道水では腹は持たずに、千円札が数枚入った財布を手に、暑い中コンビニへ向かったのだった。

  

 コンビニは言うまでもなく、クーラーががんがんにきいていて、まさに砂漠のオアシスだった。

 しばらくお弁当コーナーを物色し、いろいろと迷った結果、三色弁当に決め、牛乳パックに入っている安いお茶をとって、暇つぶしに雑誌でも読もうかと雑誌コーナーへ向かった。

 週刊誌をぱらぱらとめくると、少し気になる見出しがあった。

『都市伝説?天使からのメール!』

 馬鹿げている。いまどき天使なんて。しかもメールときた。都市伝説も進化したもんだ。

 そう思いつつも、記事を読んでいく。

『若者の間で、「天使からのメール」と呼ばれる実に不思議なメールを受信している者が増えている。アドレスは記載されておらず、プロバイダーに問い合わせてみても、理由は不明とのこと。各企業は、依然としてこの件に関し、調査を進めている・・・』

 新種のウィルスかなにか、という説も出ているらしいが、そういった形跡はないらしい。

 何だ、不可解だ。なんて心の中で独りごちた刹那、お腹がぐぅぅぅぅ〜っと鳴った。とたんに空腹が体を蝕み、僕はそのまま週刊誌と弁当を持ってレジへ向かった。


 財布の中身が足りてよかった・・・つくづく、そう思った。

この、お話は「鏡花水月〜天使たちと過ごした季節〜」の元となったもので、以前ブログのほうで連載していました。そしてこれが書き直してシリーズ化したものです。題名にもあるように、春、夏、秋、冬とストーリーがあるので、そちらも頑張っていきたいと思います。

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