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二人ぼっちの読書部屋  作者: ホロホロ0808
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一章 はじまり

はじめて投稿します。

特に内容があるわけではないし、文章や描写もガバガバです。

それでも読んでくださる、時間のあるやさしい方は、読み切った後時間を無駄にしたと後悔してください。よろしくお願いします。


 無駄なものを省く、もしくは本質を変えず、より効率の良い手段でそれを淘汰することにより社会は進歩していく。


 今現在、本もその流れに淘汰されたものの一つと言えるだろう。勘違いして欲しくないが、本そのものの需要がなくなっただけであり、文章自体がなくなったわけではない。ただ文章の内容を伝達する媒体が本からタブレットになっただけだ。それだけのことでも当時の社会からしてみれば大きな変化だったのかもしれないが。


 しかしどこにでも、そしてどんなジャンルにおいても変わり者はいるもので。僕も変わり者と指を差されることが多い。それは僕は本を読むことが好きだというところについてだと思う。その人とは違う嗜好は、少なくとも今日高校生になった瞬間まで続いていた。

 

 つい先ほど高校の制服と教科書の受け取りが終わった。自宅に送ってくれるならばそれが一番楽なのに、とは思う。僕が入学する学校は他と変わらない普通科の公立高校だ。可もなく不可もない。文句があるとすれば、家から電車を使う距離であるということぐらいか。うちは田舎ではあるが、近所に普通科の高校がなかったわけではない。僕から見れば美点、一般大衆からしてみればどうでもいいような点がその高校にはあったのだ。そして今その場所に足を向けているところだ。


「……でか」


 到着してすぐに口から洩れてしまった。実はこの学校、図書館と隣接している。今は閉館しているが、地元にも図書館というものはあった。しかし所蔵している本は百冊がいいとこで、そこの本をすべて読み切った後は、ネットで物好きから譲ってもらったりするしかなかった(最も図書館など誰も利用しないので、その建物が図書館として残っていただけでもありがたいのだが)。

 

 よって巨大な図書館が隣接しているということは、僕が入学を決めるには十分すぎる理由だった。それにしても大きな建物だ。入ったことはないが、見学と受験で二度は見た。なのに改めて感嘆してしまう。一体どれだけの蔵書があるのだろう……。期待に胸を膨らませながら、自動ドアの前に立つ。

 

 しかしドアは開かない、こっちが少し動いても反応しない。自動ドアが僕を検知していないというのは考えにくい。つまりドアが閉まっている。

 自動ドアの横にある手動のドアも開かない。平日とはいえもう昼前だ、開館時間はもう過ぎているはず。休館日だろうか、それなら普通は立て札などを置くのではないだろうか。不審に思って、開かない自動ドア越しに中を見てみると、不思議なことに通路の奥が少し光っているように見える。本当に閉まっているのだろうか。とりあえず裏口を探そう……。そのときおとなしく帰るという選択肢は頭にはなかった。荷物をその場に置いて、裏口を探した。反対側に回るとそれらしき扉があった。さすがにここが開いてなかったら帰ろう。そう思っていたのだが、幸か不幸か裏口は開いていた。

 

「失礼しまーす……」

 

 言い訳になるが、そのとき自分が冷静であれば勝手に入ったりなんてしない。普通に警察沙汰である。しかしその時の僕は冷静ではなく、言うなれば図書に飢えていた。いくら訓練された犬でも飢餓状態であれば、主人の「待て」を無視してエサにがっつくだろう。それと同じなのだ。


 そのがっついたエサの中身は想像以上だった。近所の図書館で埋まり切っていなかった本棚が数十、いや百台以上埋まっていた。自動販売機もある、近所の図書館にはこんなものなかった。まさか飲み物が買えてしまうのだろうか。エデンはここにあった。楽園が隣にある学校も少ないだろう、あの学校に通えてよかったと初めて思った。

 

 にしても人がいない。裏口が開いていたのだから職員の一人や二人いると思ったのだが。これは不法侵入ではないだろうか? そう自覚はしたがもう遅かった。

 

 少しぶらぶらしてると、正面玄関の内側にたどり着いた。そういえば奥のほうに少し明るくなかったか。思い出した僕はさっき光っているように見えた方向を向く。やっぱり少し光っている?とりあえずその方向に向かった。ドアの隙間から光が漏れている。ここは……視聴覚室? なぜここにいるのだろうか。とりあえず職員の人に事情を説明するため、そのドアを開けた。

 

 しかし、そこにいたのは職員ではなさそうだった。僕は考える。こんな暗くて人のいない場所に忍び込み、本を読んでいる。読んでいる本は……銃器関係の本のようだ。ここまできてようやくこの人の正体がわかった。つまりこの人は……

 

「強盗?」

 

 後から考えればこっちが言えることでもなかった。

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