夢を見る日
周りには、酒を飲み騒ぐ野郎ども、依頼ボードを眺め次の依頼を決める者、せっせと働くウェイトレス姿の男性。扉の前に無言で立ち尽くす2人の姿が………ん?男?
「お゛ぇぇぇぇぇ」見てはいけない物を見た気が
する。幻覚か? そうだ、幻覚だ、夢だ。
あんなの現実な訳が……「お゛ぇ゛ぇぇぇぇ」現実だった。ムキムキの男がフリフリの服を着て、笑顔で接客している。
目の毒とは、こういう事なのか。吐き気が
治らない。
……ティナは、ティナは無事なのか?
「ティナ?」
「 」
……ティナは、気絶していた。
ティナを休ませるため、ギルドの人に宿が
ないか尋ねた。幸いギルドのすぐ近くに
あり、宿主に事情を話すと、お金はいいから
ゆっくり休んで行きなさいと言われ、お言葉に甘える事にした。この恩は必ず返すと心に誓いながらティナをベッドまで運んだ。
意識を失ってから1時間くらい経過していた。
それにしてもティナは、どうしてローブを深く被って居るんだ?顔を他人に見られたく無いのか?
見てもいいかな、ちょっとだけならバレ無いよな?介抱する為と言えば怒られないか、
いや、でも勝手に見るのはさすがに
良心が痛む。
「ふわぁ〜 、おはよぉ〜」
俺の葛藤を知りもしないティナが呑気に挨拶してきた。「おう、おはよう」邪な考えを悟られないように挨拶を返した。
ティナはベッドから起き上がると、背を伸ばし、大きなあくびをし、深く被っていたローブを外した。
「……外していいのかよ!」
「え?…………わぁぁぁぁぁあ 見るなぁ〜」
寝起きの彼女は少し暴力的だった。
理不尽だと思ったがティナの顔を見れて満足していた俺は怒る気にはならなかった。怒っていたとしても、ボディーブローや、数々の打撃を受けた今の俺では、悶絶する以外の選択肢はない。
予想通り、ティナはとても可愛かった。
火照った頬 、少し尖った八重歯、小さな鼻
パッチリとした赤い瞳、ミディアムくらいの黒髪、威圧感のある角……。
「えっ?…………」想定外の事に思わず絶句した。
「君は……いったい…………」
殴られまくった体が限界を迎え意識が遠のいて
いった……。