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アルバイトを完遂せよ。~ある魔術師のアルバイト顛末記~  作者: くらま
1.エフタルの心臓・ウェルバクレス
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アルバイトを完遂せよ-5

 魔術師の象徴であるローブをあえて脱ぎ、長袖の上着と長ズボンという商人のような格好をしている。また、魔術師の必須アイテムである魔法の杖を別の発動体に変更しているため、見た目からでは魔術師には見えない。

 魔術師嫌いが大多数を占めるこの国に入国するに当たり、装備を新調したのだ。妙に新しい装備が、駆け出しの冒険者感を前面に押し出している。

 

「これにしましょう」

 バルナスが1枚の依頼書をはがし、レイブンに渡した。収集系の依頼であり、収集対象は薬草のようだ。レイブンは依頼書の報酬額が、同等の依頼の倍以上していることに気づいた。

「相場の、倍?」

 バルナスが依頼書の下のほうを指差した。

「追記欄をよく見てください」

 そこには……。


・収集場所:直径20m、深さ5mの竪穴の底。

・収集に際し、パーティーを分ける必要があるため、10人以上での受諾を推奨。(周囲のモンスターは、5人以下では苦戦必須。5人以下のパーティーが全滅の前例アリ)

・成功率が高くないため、受諾人数にかかわらず前金は無し。(10人以上でも成功率は60%を割っている)

・依頼の薬草以外の素材の買取は、別途相談。


 なかなか厳しい文言が並んでいた。

「10人でこの値段か。そう考えると、他の依頼より安いってことか?」

「まあ、そうですね」

 バルナスはニヤリと笑った。

「普通は10人で受ける依頼ですが、僕たちなら4人で十分です」

「わかった」

 レイブンは大きくうなずいた。

「あんたがそう言うなら、勝算があるんだろ? 反対する理由はない」


「決まったかの?」

 テーブルに戻ってきたレイブンとバルナスに、ドワーフの男が声をかけた。手にはエールの入ったジョッキを持っている。

「ガロンのおっさん、もう飲んでるのか?」

 レイブンはあきれた様子である。


 ドワーフの名前はガロン。酒が何よりも好きな気のいい親父である。身長:130cm。体重:80kg。ビア樽のような典型的なドワーフ体型である。妖精族の年齢は分かりにくいが、動作が機敏なのであまり年寄りではないらしい。肌の色は濃い肌色で、茶色のストレートヘアー。小さな赤茶色の眼は、いつもニコニコ笑っていた。

 金属鎧を身に付け、その上から七部袖の貫頭衣を着ていた。貫頭衣の左胸の所には、戦神・ノドレイの紋章があしらわれている。武装は、腰にバトルアックスを差していた。典型的なパワーファイターのようだ。

 彼は戦神・ノドレイの神官(プリースト)であり、教義に基づき、冒険者をしながら導くべき勇者を探している。目の前のレイブンは、さしずめ勇者候補といったところだ。

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