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アルバイトを完遂せよ-2
ドワーフ族の男の隣には、身長155cmぐらいの普通体型の人間の女。彼女は周囲を見渡し、こう言った。
「街には活気があり、文化的にも成熟しているようです。外界からの刺激が入らない辺境の村ならいざ知らず、なぜこれほどの規模の国で魔術師が忌み嫌われるのでしょうね?」
女の声に細身の人間の男が答えた。
「忘れられない強烈な記憶というのも、あると言う事ですよ」
彼は一度言葉を切り、こう続けた。
「いや、忘れられないのも、彼の呪いの影響かもしれません」
その言葉を受け、大男は先日聞かされたこの国にまつわる伝承を思い出していた。
「黒き竜王の呪い……ってヤツか」