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由紀お姉ちゃんっ♪

「兄貴! 由紀姉ちゃんに何したの?」

「いや、えっと……」

 寝巻きからジーパンに長袖のシャツと言う、ラフな格好をしたところで、妹が由紀を引き連れてやってきた。

 由紀は妹の膝に頭をのせ、両腕を妹の背中に回している。その所為で由紀の表情は全く見えないし、部屋に入ってくるときも妹の後ろにぴったりと引っ付いていた。由紀は妹と背丈も体つきも差ほど変わらないので、よく姉妹に間違えられる。そのおかげか、仲も凄くいいし、本当に姉妹なのではないかと疑われるのだ。

「由紀姉ちゃんも、さっきから涙目で上目遣いしてくるだけだし……」

「す、すまんな」

 悪いことをしてしまったようなので、何をしたか全くわからないが耳元まで口を近づけて謝る。すると、由紀は驚いたのかぎゅううと、腕の力を強めた。

「よしよし、由紀姉ちゃん。いい子だよー」

 妹は由紀の頭を撫でる。すると、由紀の腕の力は少し和らいだ。

 全く、どっちが姉(年上)かわからん……。

 しばらくその光景を見ていると、

「兄貴は絵本のストーリーでも考えなよ。私は由紀姉ちゃんと戯れ――いや、遊んどくから」

 由紀……。お前、俺の妹の何なんだ?

「ああ、頼む」

 そうして俺はまた、鉛筆を手に取った。



 「絵本を描く」と言うのは、ストーリー――つまり物語を作るところから始まるのが通例だろう。擬音語ばかりの絵本の場合は例外とするが。

 絵本は、妹が書いている小説とは違い、作者の想像を表現できる『絵』がある。小説にも、挿絵が入っているものが近頃は多くなってはきたが、絵本のように毎ページついている場合は殆どないだろう。そのようなところが、『絵本』と『小説』の違いではないだろうか。


 全くストーリーが思いつかない俺は、ストーリーを作ろうとせず、『絵本』と言うものについて考えていた。

 手にある鉛筆は全く動かず、視線は斜め上に向いている。

 コン、コン、コン。

「カフェラテ淹れたよー」

 ゆっくりとノックがされ、甘い香りが由紀と共にやってくる。

 由紀を泣かしてしまってから一時間ほど経った。由紀の顔を見ると、若干泣き跡はあるものの、もう大丈夫のようだ。

「おう、ありがとう」

 由紀が向かいに座り、足を崩す。机は大きめだから、由紀と俺との距離は一mくらいだろうか。

「絵本、進んでる?」

 妹に聞いたのだろうか。俺からは話していないのだから、そうなのだろう。

「全く」

「あららー」

 由紀は笑う。笑みを浮かべた顔は耐性がない男だと、ころっと落ちてしまいそうなくらいの輝きを放っている。俺は昔から見てるから落ちないけど。

 少しだけ茶色い液体を口に含むと、甘くて苦い味が広がった。砂糖は大目だろうか? 由紀は甘党だからなあ……。

「ねえ、ちょっと遊びに行かない?」

 由紀が笑顔で問いかけてくる。

 そうだなあ。案も浮かばないし。今は十時頃だから、お昼ごはんも込みかあ。

「ああ」

 そう返すと、彼女は笑みを更に濃くした。俺が立ち上がると、由紀は妹の部屋の方へ歩いて行った。きっと、荷物を取りにでも行ったのだろう。

 途中で案が浮かぶことも考えたが、それは携帯のメモ帳にでもすればいいと思い至る。携帯と財布をポケットに突っ込んで階段を降り、靴を履くと、由紀が慌てた様子でやってくる。

「じゃあ、行ってきます」

「行ってきまーす!」

 すると奥の方から、

「いってらっしゃーい」

 のんびりとした母親の返事が帰って来た。

 どこへ行こうかなどと考えながら、俺は由紀の隣を歩いた。


 お久しぶりです。ゆとなみ、完全復活です!

 かなり久しぶりに書いたので、おかしい点がありましたら教えて頂けるとありがたいです。

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