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第40話 ロキシア③ 孤児院にて

 私がフィル様に買われてから一週間。

 ようやく私はフィル様の領地であるマルド伯爵領にたどり着いた。


 実際に私が買われるには色々と手続き上の都合?があったようで、奴隷商人が私を買ってマルド伯爵領に届いてから正式に購入する流れになるらしい。

 理由を尋ねたら、「大人の事情」とのことだった。


 とにかく奴隷商人の手厚い保護の元、ようやくフィル様の元にやってこれたのは本当に良かった。

 ちなみに私の他にも数人の少年少女がいて、みんなフィル様に買われたとのことらしい。

 ……どういう事なんだろう?


「着きましたよ、みなさん降りてください」


 奴隷商人が馬車の扉をあける。

 目の前には立派過ぎる大きなお屋敷があった。


「す、すごい……」


 みんな口々にお屋敷の感想を言っている。

 こんなお屋敷を持てるなんて、貴族の中でもとんでもなく上の階級なんじゃ……。


「やあ、よく来たねみんな」


 フィル様がお屋敷から出て来る。

 この間のように身ぎれいな格好で優しい笑顔を向けてくれる。

 他の子たちはみんな不安そうにしている。


 私は全面的に信頼していますが。

 ええ、他の子たちとは違って……。



「フィル様、お連れいたしました」

「はいこれ、約束の報酬ね」

「ありがとうございます。ではまた、次の子たちを……」

「うん、よろしくー」


 奴隷商人は恭しく頭を下げて帰っていった。

 フィル様は定期的に子供を買っている?

 ……なんのため?


 よくわからないけれど、正直どうでもいい。

 フィル様のやることに疑問を持つ必要なんてない。


「よし、じゃあ行こうか。これから君たちが暮らす場所を紹介するよ」


 そういって、お屋敷とは別方向の場所に歩いていくフィル様。

 ……お屋敷にすめるわけじゃないのね。

 ま、まあそうよね、そりゃそうですよね。



 ―

 ――

 ―――

 ――――


「ここが、これから君たちが暮らす場所だよ」


 数十人は余裕で暮らせそうな大きな木造の建物。

 豪華ではないけれど綺麗で住みやすそう。

 周りの土地も広い。

 こんなところで暮らせるんだ……!


「元は古い教会だったんだけどね、それを改築したり増築したりして出来た孤児院なんだ」

「孤児院……?」


 どういう事なんだろう?

 フィル様が私を買った理由は、孤児院にいれるため?

 働かせるためじゃないの……?


「そういえばロキシアには説明してなかったね……。あそこで暮らすのは君にとって良くないと思ったから連れてきたんだけど、余計なお世話だったかな?」

「そ、そんなことないです! すごく、すごく嬉しいです……!」


 つまりここにいる他の子たちも含めて、フィル様は子供たちを買ってきて孤児院で育ててるってこと?

 なんというか、奇特とかいうレベルを超えているような……。


「そっか、良かった。みんな色々事情のある子だから仲良くしてね」

「は、はい!」


 仲良く……。

 絶対にトラブルを起こさないように頑張らないと……!


「こ、ここにはいつまでいられるんですか……?」


 隣に立っていた女の子がおずおずと尋ねる。

 ……確かに、気になる。

 すぐに出て行かないといけないのかな?


「んー? まあ、大人になるまでかな? それまでに勉強したり、仕事の練習をしたりして君たちが働いて一人で暮らしていけるようになるよう手伝うよ」

「べ、勉強……! で、出来るんですか?」

「もちろん! 教師も用意してるから、読み書きと計算位は出来るようになるよ」


 信じられない……!

 読み書きが出来るなら、王都で働くことだって出来る。

 大人になったら夜の街に売られる位しか未来が無いと思ってたけど……。

 でも、これなら……!


「仕事の斡旋とかもできるだけ出来るようにするし、望むならうちの軍とか家政に雇うことも出来なくもないかな」

「家政……ってことは、侍女とかですか……?」

「そうそう、まあ数に限りはあるけど……」


 侍女になれば、フィル様とずっと一緒に暮らせる……!

 きっと他の子たちだって私と同じように一緒に暮らしたいと思って侍女を望むはず。

 なら、絶対に負けないように努力しないと。

 勉強も、家事も、それ以外の何もかもを。

 ここにいる誰よりも努力して、必ずフィル様のお側に……!


「じゃあ、中に入ろうか。君たちの先輩たちも何人かいるから挨拶してね」

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