洞窟内で私を救ってくれた男の子と金魚の話。
なろうラジオ大賞用小説第五弾!
私がまだ小さかった頃。
家族と使用人と、我が国のある山に遊びに来た時の事だ。
私は山道を走ってた時に滑落し、斜面を転がり、転がった先にあった穴――傾斜となってた洞窟内に落ちた。
幸い私にケガはなかったが、その洞窟内を転がり。
おそらく山中に迷路の如く広がる洞窟内で迷ってしまった。
これじゃ使用人も私を見つけれるか分からない。
「誰だお前」
そして泣きそうになった時。後ろから誰かに話しかけられ、振り返り、尖った耳以外は私と見た目と歳が変わらない男の子と出会った。
「まさか地上から来たのか」
彼は気まずそうに私を見ながら言う。
「来い。出口まで案内する」
いったい相手は何者なのか。
分からないがとにかくその時の私は心細かったのもあり彼の後を追った。
数時間後。
私の腹が鳴った。
昼前に洞窟に落ちたから鳴って当然だ。
「腹減ってるのか」
改めて彼にそう言われ私は赤面した。
するとすぐに彼は再び「来い」と言い……辿り着いたのは洞窟内を流れる川の畔だった。
「釣って腹ごしらえするか」
そして彼は持ってた釣り竿で、おそらく私のために釣りを始め……そして釣れたのは、なんと我が家でも飼ってる金魚に似た魚!?
「こいつさ、元々誰かが放した金魚なんだぜ」
私の顔に、魚について知りたいと書かれてたか。
彼は、私が訊いてないのに魚について話し始め……元々金魚!?
「金魚を食べる気か!?」
「ドン引きすんな。そもそも金魚はお前ら都会人が品種改良した鮒だぜ?」
なんだと!?
知らなかった!
「でもってこの川は山の精霊様の加護を受けてるから綺麗だし、この金魚は味こそ淡泊だが食えない事はない。非常食としても良い。それにお前以外の都会人が洞窟から流れてる外の川で釣ってる。一部地域で流行ってんじゃね?」
なんだと!?
ていうか私が驚く間に彼は……なんと指パッチンで炎を出し金魚を焼いてる!
彼は魔術師なのか!?
それも無詠唱で魔術を使えるほどの!
「とにかく食え。出口まで遠いから食わんと倒れる」
そう言って焼けた金魚を出す彼。
私は……抵抗感こそあるが空腹なのですぐ食べた。
確かに淡泊な味。
だが餓死よりマシだと思い食べた。
そして食べてから数時間後。
すっかり外が真っ暗になった頃に私は地上に戻れた。
さらに歩けば捜索隊と出会い……家族と再会できた。
だけど、いつからなのか。
私を助けてくれた彼は……隣にいなかった。
いつかお礼を言いたい。
そうは思うけど、落ちた穴はなぜか存在しなかった。
アオバ「どう思う? ルイス様、クラーク様」
クラーク「面白れぇな! いつか東亜合衆国に行った時にその山も冒険してみてぇぜ!」
ルイス「僕とルビア嬢以外の、耳が長い人……もしそれが本当なら、僕も会ってみたいなぁ」