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不幸な人生

無謀にも新連載始めました。よろしくお願いします。


 

 


 絶望だ…絶望しかない。



 紅石(あかいし) 響音(きょう)は16年の人生で1番項垂れていた。


 学校では目立たない生徒だった。特に何かに秀でていたわけでもないし、成績も中の中。黒髪セミロングで化粧っ気のない容姿だった。

 


 そんな無難、普通といった言葉が当てはまる私が項垂れている理由。



 ことの発端は、受験に落ちてしまった事だ。

 普通の県立高だった。念の為に受けた私立も落ちた。想定外だった。

 勿論、急いで今から受けられる高校を片っ端から受験したけれど、ことごとく落ちてしまった。全滅だった。


 ここで初めて私は普通のレールから外れてしまった。

 そこからは下り坂だ。

 両親は受験を失敗した私を腫れ物のような扱いをし、2歳上の高校生の姉と比べるようになった。

 家に引きこもろうかと思っていたが、家に居づらくなった私はすぐにアルバイト先を探した。

 中卒でも働ける場所は少なかったが、家に居場所が無い私に選り好みしている場合では無かった。

 


「絶望だぁーーー!絶望しかないぃぃぃっ!!」



 そして冒頭の私に戻る。


 端的に言うと、落ちたのである。


 受験と同様、片っ端から面接を受けた。

面接の印象は悪く無かった筈なのに、何故か全滅だった。



「もうやだよぉー」


 消え入りそうな声で頭を抱える。

 ファーストフード店の店員さんの視線が痛い。

 平日の昼間、家に居ても嫌味を言われるだけなので、居場所の無い私は親に渡されたなけなしのお金を握りしめ、ハンバーガーにかぶりついていた。

 何も無くてもただ生きているだけなのにお腹は空く。中卒ニートの私は途方に暮れていた。


 学校には通えず、働く所も無い。未成年と言う事だけで食いっぱぐれる心配はないが、いつまでこの状態が続くかわからない。不安しかない今の状況をどう改善すべきか悩んでいた。


 ファーストフード店の自動ドアが開き、学校終わりの高校生達がなだれこんでくる。

 自分も1年前はそうなるのだと信じて疑わなかった。今は自分もそうなりたかったという憧れだ。

 知った顔に出会いたくなかったから急いでハンバーガーを食べ切り、店から逃げるように出る。



「あ、紅石さん?」


 すれ違った女子高生の一言に身体が強張った。


 私の僅かな願いも叶わない。どれだけ不運なのか。

 

 知っている声だった。中学の時のクラスメイトだ。

 心臓がバクバクする。

 振り向けなかった。振り向きたくなかった。

 

 合わせる顔がなかった。会ったところで何を話すと言うのか。なけなしのプライドでパーカーのフードを深く被り、私は脱兎の如く駆け出した。


 思い通りにいかない現実全てから逃げ出したかった。 



  



 走って、走って、走り続けた。



 気がつけば走り抜けた先は見た事ない場所に立っていた。



 そこは周り全て『白』に侵食された異世界だった。




ノロノロ更新ですが、なるだけ早く投稿出来るように頑張ります。

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