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第一話 朝 通学

前回のプロローグに続き、第一話です!

物語のとなる事件が発生しますよ!

それではどうぞ!

「――――――――」


 座禅を組んで瞑想をする。


 「お―、――――の―」


 どこを修正するべきか、

 “楓”とのコンビネーションはよかったと思う。

 “異能”による瞬間的な強化速度。

 新しい技を習得するか、もしくは今ある技の練度を上げるか。


 「も――し、――――――か」


 やっぱり体を鍛えるか。

 そうするとしてどこをを鍛える?

 上半身、下半身、拳の威力は申し分なし。

 やっぱ下半身か。

 今度先輩に付き合ってもらうとして、体術は先生がやってくれる。


「おい――、起―――――ぞ」


 “異能”の強化も必要だ。

 いつまでも小手先の技術だけで戦えるほど甘くはねぇ。

 つっても、異能の強化ってどうやるんだ?

 ……地道に鍛えていくしかないか。

 ん?なんか忘れているような…?


 「朝だと言っているだろうこのバカ息子!」

 「どわぁ!」


 いきなり天と地がひっくり返った。

 そんなことを考える暇もなく、体の前面に強い衝撃が走った。

 おそらく、座禅を組んでいたベッドから落下したんだろう。

 って、


 「なんで母ちゃんが!?」


 自分をたたき起こしたのは母親だった。

 肩までのショートカット、意志の強そうな鋭い目つきに、通った鼻筋。

 化粧はしない主義らしく、それでもシミ一つないきれいな肌だ。

 身長は178とパリコレモデル並みである。

 これがもうすぐ40になる自慢の母だ。


 「お前、今何時か分かっているのか?」

 「何時かって…」


 そう言われて時計を探す。

 自室はいつも整頓しているので探すのに時間はかからなかった。

 いつまでも寝そべったままではかっこ悪いので、体を起こす。

 ベッドに置いてあった時計で時間を確認する。


 「7時半…、こんな時間に起こしてどうしたんだよ?」

 

 そういった自分にあきれるように溜息を吐く母はこう言った。


 「はぁ……。お前は自分で言ったことすら覚えていないのか?今日は大事な日だから起こして、と頼んだのはお前だろうが」

 「大事な……?」


 今日は何があったっけ。

 あきれられた意味も分からないまま、壁に掛けてあったカレンダーを見る。

 四月九日の欄にネームペンで太く、“入学式‼”と書かれていた。


 「入学式……」


 そうか、今日は入学式か……ん!?


 「入学式!?」

 「やっと気づいたか、バカ息子。朝飯はもうできてる。とっとと着替えて来い!」


 そういって母は、俺の部屋から出ていった。

 マズいマズいマズいマズい!

 えっと、確か始まるのが……そう!八時半!

 要するに今から約一時間後!

 着替えて顔洗って飯食って歯を磨いて外に出るまでに大体、二十分かかる!

 さらに、移動は俺の場合チャリだからえーっと……二十分!

 締めて残り二十分!


 「ヤバいマズい……!」


 高校生活初日に時間がないとか……!

 これから先、ボッチで過ごせって言われてるようなもんだぞ!

 すぐさま壁に掛けてあった制服を手に取り、着替える。

 ってこれ中学校のじゃん!


 焦りすぎて制服を間違えてしまったり、トレーニングの道具に小指をぶつけ、痛みに悶絶したりと散々な目にあったが、何とか着替えと荷物の用意を済ませて部屋から出る。

 部屋を出て、廊下をこけないような速度で走り、階段を降りた。


 「遅い。三分で済ませろ」

 「へい!すいません!」


 リビングに出ると母からお叱りの言葉をもらってしまった。

 ダイニングテーブルには美味しそうな朝食が置いてあって、思わず喉を鳴らす。

 並盛の白米。

 ハムの上で焼いた目玉焼き二枚。

 ドレッシングのかかったポテトサラダ。

 豆腐とわかめの味噌汁。

 これらが湯気を立てて置かれているんだ。

 喉も鳴る。

 すぐさま席に着き手を合わせ、


 「いただきます!」


 まずは、水分を欲している体のために熱々の味噌汁をすする。

 うん、美味い。

 乾いていた体が、潤ってくる。

 だがこれでは足りない。

 後でお茶を飲もう。

 続いて白米だ。

 ツヤツヤと光る白米は炊き立てだと、視覚と嗅覚で伝えてくる。

 さあ、口に入れよう。


 『昨夜未明、花田市の公園で二十代の男性五人が焼死体となって発見されました』

 「何?」

 「ん?」


 母がリビングでソファーに座りながら見ていたニュースの内容が耳に入ってしまい、食事の手を止めてしまう。

 花田市ってここじゃん。

 画面の向こうでは解説が続いていく。


 『-------------------』

 「突然燃え上がったねぇ……。優慈。心当たりはあるか?」

 「んぐ……ふぅ。一応あるけど断定するには証拠が少なすぎる」

 「そうか……」


 そんな会話をはさみながらも朝食を食べ終える。

 母さんは、少し眉間にしわを寄せて俯いていた。

 その間に俺は食器を台所に下げ、リビングを出てから洗面所に向かい歯を磨く。

 ある程度磨き終わってから顔を洗い、鏡で自分の顔を見る。

 そこに映っていたのは、ちょっとボサついた黒髪と、母譲りの鋭い目つきをした身長の高い男がいた。


 「……相変わらずイケメンだな俺……」


 美人な母とイケメンな父の間に生まれたんだ。当たり前か。


 「っと、時間がねぇんだった」


 踵を返してリビングの扉の前に置いてあった荷物を持って玄関に向かう。

 俺の家は四人家族だから玄関に置いてある靴も多いが、自分の部屋でやっちまったみたいに間違って別の靴を履くことなく、玄関の扉に手をかける。


 「おい、優慈」

 「ん、何?」


 母に声をかけられたので扉に手をかけたまま振り返る。

 母はしばらく、「あー」「えー」と言っていたが何やら決心を決めて、


 「頑張ってこい」

 「……!押忍!」


 いつもは不器用な母から激励の言葉を受けた。

 これは絶対に頑張らなければ……!

 そうして俺は自宅を後にした。



――――――――――――――――――――――



 玄関から出てすぐ近くに置いてあった愛車“カラス号”にまたがり、荷物を詰めたバッグからスマホを取り出し時間を確認する。


 「七時五十分……まだ間に合うな」


 母が起こしてくれなかったら俺は時間に間に合わず遅刻していただろう。

 ありがとう母ちゃん。

 ちゃんと親孝行するからな。

 スマホの電源を落としもう一度バックに詰めてから、地面をけって自転車を走らせる。

 春先のポカポカした陽気と、時折吹く冷たい風にあおられながらも、愛車のペダルをこいで住宅街を抜けていく。

 

 「ゆうじ兄ちゃん!おはよー!」

 「おう、おはよう」

 「あら、優慈君かい?元気そうだねぇ」

 「清水さん、おはようございます」


 道中、近くの保育園に通ってる子供たちや、近所のおばちゃんたちから声を掛けられ返事をしていたら、いつの間にか住宅街と都市部を分けるように流れる川を、またぐ橋にまでたどり着いていた。

 そこを通り過ぎると朝日によって輝くビルが立ち並ぶ都市部に入っていく。

 朝の通勤ラッシュの時間帯に当たってしまったからか、そこら中から車の走る音やエンジン音がこだまする。

 それをちょっとした()()で防ぐ。


 「っと、赤信号か」


 順調に進んでいたと思ったら、前の車がランプをつけながら止まったので、俺もブレーキをかけて愛車を止める。

 赤信号に変わったのはすぐだったみたいで結構長い間止められてしまうだろう。

 よし、この時間を有効活用するとしよう。

 父は確か早朝から出勤だったはず。

 まぁ心配はいらないだろう。

 なんだかんだ父のことだ。

 事件に巻き込まれたとしても無傷で帰ってくるだろう。

 次は光か。


 『今年で中学生になるから、お兄ちゃんといっしょに行けるね!』


 ……ごめん光。

 お兄ちゃんは高校初日に寝坊をかます愚か者でした。

 叩かれるだけで済むといいな……。

 つ、次は“楓”や“お嬢”、それに“鉄郎”達だけど…、学校のほうでクラス割が張り出されているから今は確認できないか……。

 よし、こんなもんか。


 「おっ、ちょうどいいな」


 タイミングよく信号が青に変わって前の車が進み始めたから、俺もペダルをこいで自転車を前に進める。

 シャーッ、と車輪の回る音と風を切る音が合わさり、気分爽快だ。

 ちょっと時間短縮のためにわき道にそれ、奥へと進んでいく。

 急な進路変更でも道を迷ったりしない。

 なんとなくこっちだとわかるのだ。


 「ふんふふーん」

 「-------」

 「-------------」

 「-------」

 「ん?」


 鼻歌を歌いながら進んでいると、何やら人だかりができている場所があった。

 ちらっと見ただけだが警察らしき人が見えた。

 自転車を歩道に寄せてその様子を見る。


 「すいません。どうしたんですか?」

 「あぁ、昨夜事件が起こったらしく警察が来てるんだよ」

 「……そうですか、ありがとうございます」


 野次馬の一人から事情を聞けた。

 ついでに、公園の名前も見てみる。


 「……藤野公園」


 するとそこには、家で見ていたニュースが放送していた、焼死体事件の現場の名前が書かれていた。

 公園の中では、警察が調査を行っているのが見える。

 中には、茶色いコートを着た少し太った人に青色の作業服を着た人が話しかけていた。


 「……やるか」


 そういって俺は少しばかり集中して、あの二人の会話を()()()()()()()()()にした。

 目を閉じ、体の奥底にある()()()を起動するようにしてから、耳を澄ませる。


 『----調べてみたところ、燃料の類は検出されませんでした。やはり突然燃え出したとしか言えません』

 『そうか……、近くにいた人は?』

 『それが……目撃した人は皆、周囲のマンションに居たということしか……』

 『ふ~む、奇妙すぎるな』

 「……なるほどねぇ」


 集中していた状態から、いつもの状態に戻り、盗み聞いた内容を整理する。

 原因となりうるガソリンとかの可燃物は検出されず、突然燃え上がったとしか言えない死体。

 目撃した人は、全員マンションに居て、そういった道具は見つからなかった。

 こっからわかるのは、何もわからないってことだけ。

 だけど、あの人たちだけじゃわからないことだということは分かった。

 なぜなら、


――――あの場に、“()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

どうでしたか?

いいところで止めてしまいすいません!

次回ではちゃんと書くので次も見てください!

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