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プロローグ 始まり

皆さん初めまして!

妄想力が高いだけの初心者クラウディです!

話がいろいろとっ散らかるかもしれませんが、できれば最後まで見ていってください!


 魔法なんて空想上のものだと思っていた。

 テレビで超能力者のことが取り上げられているのを見て、小さいときはその光景に目を輝かせていたものだ。

 それを信じなくなったのは、小学校4年生ぐらいのときだったっけ?

 理由は覚えていない。

 多分その時だっただろうということを朧気ながらに覚えている。

 市立の図書館でそれらしき物でも読んだのか、誰かに教えてもらったのか、まあ大体そんなところだろう。

 前世っていうのは、どこぞの誰かさんが持っていて、自分にはなかった。

 他よりちょっとばかり身体能力が高いだけの俺は、早々に現実を見据えた。

 それからはなんてことない人生を送ってきた。

 いつも通りにベッドから起き、いつも通りに朝食をとって、学校で勉強をし、そして家に帰る。

 なんてことをずっと続けていた。



―――――そんな生活が一変したのは、あの時だったっけ?



 中学一年と二年の間にある春休み。

 久しぶりに家族で旅行に行き、様々なスポットを巡り遊び疲れたからかすぐ眠りについた。


 おそらく深夜だろう時間にそれは起こった。

 まるで操り人形になってしまったかのように体が勝手に動かされ、ふらふらとした足取りで泊まっていた旅館を飛び出した。

 三月の夜風が吹く道を裸足のまま駆けていく。

 冷たいアスファルトが足に刺すような痛みを与えてくる。

 必死に抗おうとしても、体は言うことを聞いてくれない。

 砂利を踏んで痛みに蹲ろうとしても、強い力で無理やり走らされ続ける。

 「もう嫌だ」

 「走りたくない」

 そう叫んでも、誰かが助けてくれるわけではない。

 俺は走らされ続けた。


 どことも知らない山道を走らされ続ける。

 長く使われていなかったのか、伸び放題の草が肌を切り裂き、尖った石が足に食い込む。

 もう足は血だらけだ。

 息も絶え絶えになった時。

 そこにたどり着いた。

 コケに覆われた古い社。

 鳥居に掛けられたしめ縄は、片方がちぎれ落ちており、役目を果たさなくなっている。

 両脇にあったであろう狛犬は、跡形もなく壊されていて、無残な有様を晒している。

 石畳は所々割れていて、隙間から草が伸びてしまっている。

 周囲を巨木で覆われ、鳥居にあるしめ縄と同じものが巻かれていた。

 なぜこんなところに自分の体が動いてしまったのか、

 その答えはすぐわかった。



――――社の上に、家のように大きい蜘蛛が巣を張って俺を見下ろしていたからだ。



 月明かりによって照らし出された、この世のものとは思えない存在に、小さく悲鳴が漏れてしまう。

 この場にいては殺されてしまう。

 直感でそう分かっていても、恐怖によって体は小さい痙攣を起こすだけで一歩たりとも動かせない。

 そんな様子の俺を見て、大蜘蛛は金属を擦り合わせる耳障りな鳴き声を上げると、糸を巻き上げ始めた。

 すると、俺の体もその動きに合わせて、大蜘蛛に向かって引き寄せられ始める。

 月明かりに照らされて、全身に巻き付いた細い糸が見えた。

 さっきから体が勝手に動くのはこれの所為だと思い至る。

 抜け出そうとして糸を掴んで力を込めてみても、びくともしなかった。

 そして、抵抗空しく巣に引っ張りあげられてしまう。

 全身に糸が絡まりだしたことに焦ってもがくほど、余計に糸が絡まり脱出が不可能に近づいていく。


 視界に影が差しこんだと思えば、大蜘蛛がこちらを覗き込んでいた。

 大蜘蛛の口から唾液のような物が垂れて、俺の顔にかかり後頭部に流れていく。

 この瞬間に俺は覚ってしまう。

――あっ、喰われる。

 体は糸に絡めとられていて動けない。

 もし、運よく抜け出せたとしても地面から巣までの高さからして重症は免れない。

 詰んだ。

 どうしようもなく詰んでいる。

 このまま眼前に見える巨大な顎で頭をかみ砕かれて、そのあとは体を。

 数秒後に訪れる結末に俺は、

――ふざけんな!

 胸に灯る激情と共に大蜘蛛を睨みつけた。

 その様子を見て、大蜘蛛はまた耳障りな鳴き声をあげると、俺を喰おうと跳びかかってきた。

 嫌に遅く感じる世界の中で、耳障りな音が響く中で、じぶんに「死」が迫ってくる中で、抵抗もできない中。

 確かに聞こえた誰かの声。



――『ノウマク・サンマンダバザラダン・カン』



 その瞬間。

 大蜘蛛が巣に叩きつけられた。

 まるで突然何かにぶつかったかのような加速の仕方だった。

 叩きつけられたことにより巣が大きく揺さぶられる。

 体に絡まった糸と巣が直接つながってるせいで揺れを諸に受けてしまい吐き気が込み上げてくる。

 それでも糸は巣とつながったままで放り出されることもなく、抜け出すこともできなかった。

 しばらく酔いと戦っていると、大蜘蛛が月に向かって何やら叫んでいた。

 俺もそれにつられて空を見上げる。

 そこには、



――――女の子が月を背にして、空に浮かんでいた。



 逆光で良くは見えなかったが、少しだけわかったことがある。

 髪は長く、着ている服も裾や袖が長く、風に揺らめいていた。

 そして、その右手には細長い棒のようなものを握っている。

 その異常な光景を見て、俺は自分でも不思議に思うほど、その姿に見とれていた。

 しかし、それも長くは続かなかった。

 大蜘蛛が女の子に向かって糸を飛ばした。

――危ない!

 そう声を出そうとしても、全身に糸が巻き付いている所為でうまく声を出せなかった。

 もう少しで糸がたどり着く、その時。


 女の子が空中で身を翻して糸を回避した。


 それに驚く間もなく、状況は変わっていく。

 回避されたことに驚いた様子の大蜘蛛をよそに、女の子は落ちてくる。

 再度糸を飛ばしても、女の子はまた空中を跳ねるようにして回避する。

 時間にして、数秒とない時間で大蜘蛛の懐にたどり着いた女の子は、右手に握った細長い棒のようなものを振り上げる。

 すると、その先にあった大蜘蛛の足が切り飛ばされて巣から落ちていった。

 歴史の教科書で見た昔の建造物にありそうな石柱みたいに、大きく太い大蜘蛛の足が、比べ物にならないほどに細いもので切り飛ばされたことに、俺はまたも驚愕してしまう。

 その光景に驚いていると、女の子が近寄ってきて、俺を巣から切り離してくれた。

 そして、切り離されても巻き付いた糸の所為で動けない俺を担いで、巣から離れてくれた。

 地面についた後は優しくおろしてくれて、懐から何やら札のようなものを取り出し未だ動けない俺に張り付けた。


 『祓え給い、清め給え』


 呪文のようなものが聞こえたと思えば、巻き付いていた糸が突然燃え出し、だが俺は熱さを感じることはなく、全身に巻き付いていた糸から解放された。

 距離が近くなったことから女の子の姿がはっきりと見える。

 俺と同じくらいの身長に、透明感のある長髪。

 闇夜に紛れるような黒で統一された服。

 そして、一番目を引く右手に握られた細長い“刀”。

 だが、纏う神秘性は崩れず、むしろ幻想的とすら思えた。

 そんなことを思ってる間に、大蜘蛛が体勢を整え、糸を飛ばしてくる。


 『そこで待ってて』


 糸が迫っているのを知らせようとしたら、その一言と共に懐から取り出した札をかざすと、俺に巻き付いていた糸と同じように焼き払/祓った。

 力に自慢のある俺が引きちぎろうとしてもびくともしなかった糸を簡単に燃やしている姿に、あの現象は幻ではないと分かってしまった。

 さらに、常識から外れた光景は続いていく。

 彼女の着ている服の袖から、大量の札が飛び出して大蜘蛛の周りを囲いだした。

 まるで円陣のように並ぶと、透明な壁が球状に展開され、大蜘蛛を閉じ込めて、その場に縛り付けた。

 

 『ノウマク・サラバタタ・ギャティビャク』


 縛り付けた大蜘蛛を前にして、女の子は呪文を唱え始めた。

 また、服の袖から札が飛び出すが、今度は女の子の周りを飛び始め、地面に魔方陣を描き出した。


 『サラバボッケイビャク・サラバタタラタ・センダマカロシャダ』


 言葉が紡がれていくにつれて、女の子から凄まじい威圧感が放たれる。

 それを大蜘蛛も感じ取ったのか、透明な壁の中で暴れだす。


 『ケンギャキギャキ・サラバビギナン・ウンタラタ・カンマン』


 透明な壁は大蜘蛛によってあっさりと壊された。

 が、女の子が言葉を完成させるのが早かった。

 女の子の背後に、二階建ての家はありそうな身長を持った、半透明のヒトガタが現れ、周囲にその威圧感を放出する。

 それを近くで感じ取ってしまった俺は、強大すぎる威圧感に思わず息をのんでしまった。

 ヒトガタの顔は、怒りに染まり、だがその裏には、誰かを思ってその顔をしていると感じる。

 その右手には剣を、その左手には縄を持っており、その背には炎を背負っている。

 顕現したヒトガタを前にして、大蜘蛛は恐れているのか全身を震えさせていた。


 『シィィィィッ』


 鋭く吐き出されていく吐息とともに、刀を大きく振りかぶる女の子と、それと同じように背後のヒトガタも右手に持った剣を振りかぶる。

 慌てて逃げ出した大蜘蛛だが、何をするにも遅かった。


 『イィヤァッ‼』


 裂帛の気合とともに振り下ろされた刀と、ヒトガタの剣は大蜘蛛を両断し、その身を燃え上がらせた。

 その一部始終を見てしまった俺は、何とか言葉に出そうとしても、呼吸の音しか出ることはなかった。

 自分の理解が及ばぬ現象が起き続けたからだ。

 ヒトガタを消した女の子が近寄ってくる。

 

 『ねぇ』


 この時から俺の人生は一変した。

 そして知った、この世界のことを。

 怪物が存在することを。

 “異能と”呼ばれる力を使い戦う人がいることを。


 『大丈夫?』


 これから先、俺の人生は碌なことにならないと。

 でも、一ついいことを知れた。

 

 月夜に立つ女の子が美しいことを。

どうでしたか?

できれば感想をください!

至らぬところや、自分の感性の赴くまま書いているので、「ん?」と、思うところが多くあるかもしれません。

そこで皆さんの意見を聞いてみたいのです!

それではプロローグ読了ありがとうございました!


主人公…元何も知らない一般人。

現修羅場を潜り抜けた兵士


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