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胸騒ぎ

いま、夢を、見ている。


何回も見たからはっきり分かる。


場所はいつも決まって、暗い路地の細道。


いつも夕暮れ時で周りには建物も人もない。


そこからちょっと待つと細道の奥へぼんやりと人影が映る。


徐々に鮮明になっていったのは小さい女の子の姿。


でもこれも決まって後ろ姿だけ。


背丈から見て年齢は…そんなに、どうあっても10歳は越えないでだろう。


しかし、後ろ姿だけでも分かることはある。


僕はこの少女を知らない。


見たことはないが、おそらく正面から見てもハッキリと他人と言えることができるだろう。



夢の中の僕は細道の奥に佇む少女へと、ポツリポツリと歩み始める。


顔が気になる、前から少女を見てみたい。


僕の夢の行動はきまって少女を追いかける。


少女はずっと前を向いており、何かを見つめているようだ。


後ろを振り向いてくれれば嬉しいのだが。


ポツリポツリと、足を運ぶ。


ようやく少女の真後ろにまで、たどり着いた。


僕は後ろから少女の肩に手を伸ばし、こう言う。


記憶にないはずなんだ。


忘れてるわけでもない。


でもなぜだが懐かしい。


自然と一番聞きたいことが漏れる。


「ごめん、ねえ、君は、

僕と会ったこと―――













目を覚ました。


僕の右目は誰かが宿っている。


僕が目を覚ますと右目の『コイツ』も毎回しっかりと起きており、右、左と場所を周りを見渡すのが癖らしい。


どこにいるのかが気になる……とか?


けれど朝はコイツについてゆっくり考える時間の余裕はない。


早く学校へと向かわねば。


僕は登校の道で思考する。


あの夢を見ると、必ずあの場面で途切れ、目を覚ます。


たしか夢というのは浅い眠りの中で起こる、記憶の整理現象のようものだ。


しかし全く記憶にない少女と、あのなにもない、変な細道が出てくるのはおかしい気がする。



思えばこんな夢を見るようになったのも、この右目がおかしくなってからだ。


これは、この右目は、母から譲り受けた大事な右目だ。絶対に治してみせる。





後から説明するようで悪いが、僕のこの右目は幼い頃に、母から譲り受けたものだ。


まだ物心が着き始めた頃の出来事なので、正確には覚えていないが、簡潔に言うと


小さな頃、とある病気で僕は右目の視力が消えかかっていた。そのとき、僕は手術で母親から右目の移植を受けている。


手術は無事成功で、リハビリにかなりの時間を費やしたか視力も日常生活に支障が出ないほどに回復した。


母には本当に感謝してもし足りないくらいだ。


母の閉じた右目を見ると、今でも申し訳なく思う。


昔に、そんな状態の母に一度涙ぐんで謝ったことがあった。それに対し母は


「子供の為よ。親としてなにも惜しくないわ」


と言って微笑んでくれる。

僕の母はそんな優しい人なのだ。



だからこそその優しい母から貰ったこの右目に、『コイツ』がいるのが許せない。






と、色々物思いにふけってると校門の前まで着いてしまった。



ふと、強い視線を感じた。

誰かが僕を見てる。気の所為ではない。



僕はこんな奇妙な体質になってから視線というものには敏感で、特に他人が見ているものは分かりやすい。


ただ毎朝この高校の校門は、生徒数が多いため人だかりが凄まじく、誰に見られているかまでは特定できそうにない。


それに今日はなんだが、いつも以上に騒がしいような気もする。今日ってなにかあったか?


「んーなんだろう、寝癖とかやばいのだろうか……後で鏡を見に行こうかな」


僕は駆け足で自分が所属する1-Bと書かれた教室へと向かった。



ただ、朝から感じていた学校中のざわめきは僕がいま向かう教室へと集まっているようだった。


けれども僕はなんだか自分の教室に入る気がしなかった。



なぜだか分からないのだが。









不意に感じる僕の胸さわぎと焦燥感は、なぜだか、教室の扉の前で爆発しそうなくらいに肥大していた。












お読み下さりありがとうございます!

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