Episode4 オネエと三下と訳を知りし姫君
巡「…という訳で、主催者『X』の意図を調べるのが、この旅の目的なんです」
カサンドラ「…期待はしてなかったけど、恐ろしく小さい理由ね」
早矢「でも、確かにこの宴会の目的は気になりますね。単なるお祭り騒ぎなら、ハロウィンの時と変わらないんでしょうが…」
神無月「万聖節前夜は『この世』と『異なる世界』が接続される特別な夜だ。しかし、聖誕祭には、古来からそうした逸話はない。正直、今のように俺達の世界と別の異なる世界が繋がる原因がある筈は…む?十乃は何処に行った?」
フリーデリーケ「十乃さんなら、さっきあちらですれ違った自由騎士さんと女性のハイエルフさんとのサインを貰いに行くって…」
神無月「…これだから、直撃世代は…」
ロウ「何にせよ、主催者に会えば全てカタがつくって訳だ。いいじゃねぇか、シンプルでよ」
???「そう上手くいくかしらね?」
神無月「むっ!何奴!?」
丸弧「フッ…人呼んで『禅釜尚』の丸弧、ここに推参よ!」
ヤス(虎隠良)「あ、アニキ~…」
ガスッ!!!!(頭突き)
ヤス「ぶおおおあおッ!?」
丸弧「第一声からおバカを晒すんじゃないわよ。あたしのことは『若頭』と呼べとあれほど…!」
ヤス「す、スンマセン、アニ…いや、若頭」
丸弧「…ったく。で、何よ!」
ヤス「あ、いや…ようやく再出演の話が来たと思ったら、またこんな役ですかい…?」
丸弧「みなまで言うんじゃないわよ、ヤス。再出演があるだけマシに思いなさい!ただでさえ、この話はノリで進行してて、作者は結末も考えてないんだから!」
ヤス「でも、だからって山賊なんて端役…」
丸弧「この…おバカーッ!!」
ゲスッ!!ゴスッ!!(ダブル頭突き)
神無月「おお!?何と鮮やかな連撃!」
ロウ「的確に決まったな、人体の急所に」
丸弧「見下げ果てたわね、ヤス」
ヤス「!?」
丸弧「確かに今のあたし達はしがない端役よ…でもね、それが何だって言うの?」
ヤス「わ、若頭…」
丸弧「例えどんな端役を当てがわれたとしても、日の目を見ないチョイ役になろうとも全力でこなす…それが“漢気”ってもんじゃないの!?」
ヤス「あ、ああ…アニキィ~!」
メゴスッ!!(とどめ)
丸弧「それはさておき、やっぱり底抜けのおバカね、あんたはッ!!」
巡「あ、あのぅ…」
丸弧「何よッ!?」
巡「すみません。そろそろ、こっちのゲージがMAXみたいなので…」
丸弧「へ?」
ロウ「さあ、いかせてもらうぜ?(←戦鎧で完全武装)」
ちゅどどどどどど…!
ロウ「ふぅ…久し振りに景気よくブッ放しちまったな」
フリーデリーケ「わぁ…ゲルちゃんにも劣らない火力です」
カサンドラ「あー、便利でいいわー。この調子でなぎ払い続ければ、割りと簡単かもね」
ロウ「ソイツは残弾次第だな…っと、どうやらボスのお出ましか?」
樹御前「やれ、何事じゃ?騒々しいのう」
巡「ご、御前様!?」
フリーデリーケ「いきなりラスボス級が登場ですよ!?」
樹御前「ほう?人の子か…ふむ、成る程な…よくぞ参ったのう、勇者よ」
カサンドラ「勇者?コイツが!?」
樹御前「本日限定じゃがな」
神無月(本日限定だと?どういうことだ?)
巡「御前様、何かご存じなんですか?この宴会のことを」
樹御前「勿論じゃ。妾は『常に真実に近い位置にいて、思わせ振りに語る』系ヒロイン故に」
早矢「凄い説得力です」
ロウ「おいおい…あの姫さん、一体何者だよ?俺の銃器が軒並み使用不能になりやがったぜ…!?」
神無月「さもありなん。奴は“ 彭候”という齢千年を経た古妖だ。周囲に樹木花草があれば、人機問わずに何らかの干渉事象くらいは起こせる」
フリーデリーケ「あ、会場にあるあの大きなクリスマスツリー!」
樹御前「よくぞ気付いた。しかして問おう、勇者よ」
巡「?」
樹御前「この宴の主に真意を問うて何とする?」
巡「…」
樹御前「見ての通り、宴は順調に進んでおる。それをただ見て待つのは、それ程苦痛かや?」
巡「違います」
樹御前「ほう?」
巡「ただ、僕はこの宴を通じて沸き上がる胸の中の何か…その正体を知りたいんです」
樹御前「えらく抽象的よな」
神無月「なれば何とする、彭候。このまま一戦交えるか?」
樹御前「いいや。別に何もせぬよ。行きたければ、行くがよい」
全員「!?」
樹御前「木は語らず、花は歌わず…妾もまた、な。それ、行くがよい」
巡「御前様…」
樹御前「勇者よ、そなたの疑問を晴らしたければ、この先にある『炎上山』を目指すがよい。そこで、そなたに啓示があろう」
巡「あ、ありがとうございます…!」
神無月「待て、彭候。一つ確かめたい事がある」
樹御前「何じゃ?」
神無月「貴様の配役はまさか…」
樹御前「うむ。見ての通り『山賊の女ボス』じゃ」
全員「「「分かるかっ!」」」
※次回更新は12月25日(水)・正午です