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TSヤクザの異世界生活  作者: 山本輔広
三章∶異世界商売録-元ヤクザだけどプリン屋始めました-
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打開策

 ボニーを黙らせた後に無理やりにではあるが話をまとまらせると、オオシマは海を荒らさないこと、リューシュが無事子を産み落とすまでは下手に動きを見せないことを約束させていた。

その後のことはトーマスに引き継ぐと、オオシマは当初の目的であった娘たちとの海遊びへと浜辺に出向いた。


 しおらしく赤面したまま浜辺に女の子座りするとオオシマは目の前に並べられた貝殻を見た。

プーフたちが波打ち際で拾った貝殻だ。話し合いを終えたと分かると娘たちは自分がとった貝殻やサンゴの欠片、鱗といったものを矢継ぎ早に見せつけた。


「これでねリリーがブレスレットつくってくれるの」


「作ったらママにプレゼントしてあげるね」


 小さな貝殻を何枚も掴んだプーフは、母の細く白い手首を掴むとその上に貝殻を乗せた。

ブレスレットのつもりで手首に乗せられた貝殻は赤や青、紫と色とりどりのカラーを白い手首に映えさせる。


「そういえばオオシマさん、クラーケンが襲ってきたときのシロちゃんを覚えていますか?」


 隣で腰を降ろしていたミーナが尋ねるが、その時ブチギレていたオオシマはシロよりもクラーケンに夢中で真黒な怒りに染まりあがっていたシロを目の中に捉えていなかった。


「シロがどうかしたか?」


「プーちゃんが捕まった時シロちゃんがオオシマさんみたいにブチギレたんですよ」


「へぇ」


 オオシマは目の前で貝殻を手にするシロを見るが、普段通りの可愛らしい姿である。

シロはオオシマと目が合うと穏やかに笑って見せている。


「能力は無力化できましたが、それでもシロちゃんは強大な力をまだ秘めているかもしれないです」


 触れたものを死に至らしめる能力は無力化できた。しかしクラーケンを目の前にしたシロからは尋常ではない殺気が漏れていた。

恐らくは本気でクラーケンを殺そうとしていた。

 ミーナの話にオオシマは以前の能力を思い返す。

触れただけで相手を死なせる力。その力はオオシマたちの手によって無力化したが、それを除いたとしてもシロにはまだ秘める力がある。


「そうか……でも触っても死ぬ能力はもうないんだろ?」


「はい。それは確かに無力化できています。ですが凄かったですよシロちゃん。オオシマさんがキレたときみたいに殺気で溢れて子供には思えませんでした」


 オオシマはシロに向かって手招きするとシロは笑顔で胸に飛びついてくる。


「シロ、お前プーフが捕まってキレたのか?」


「……うん」


 居心地悪そうにシロはざっくりと開かれた谷間に顔を埋めて目を合わせようとしなかった。

そこに何か思うものがあるのだろう。強大な力に対してシロは良い印象を持ってはいない。

なのにシロは再びその力を振るおうとした。助けるためではあるが自分の行いが良いものではないと感じるとシロはオオシマに怒られるのだろうかと思って顔をあげられなかった。


「泣いてばっかりのシロがプーを助けようだなんて度胸あるじゃねぇか。お前も成長してんだなぁ」


 怒られると思っていたのに反してオオシマは笑って谷間に埋まった頭を撫でた。


「別に前みたいな触ったら死ぬみたいな能力があるわけじゃないならいいじゃねぇか。それに何かあったらまた俺がなんとかしてやる」


 想像とは反対に褒めてくれたオオシマに、シロは顔をあげると嬉しそうに顔を綻ばせて頬にキスをした。


「シロちゃんもオオシマさんもアノマリーですからね。多分、部分的に能力を無効化してもまだうちに秘める力があるんですね……」


 じゃれあう二人を見るミーナはもしまた何かあってもオオシマならば何とかできそうだと根拠はないがそう思えた。

今までも試練やトラブルはあっても全て乗り越えてきた。

そのことを思えばこれから何かあってもきっと乗り越えられる気がする。


「ねぇママ見て。これ可愛い?」


 耳元に紫色の巻貝を飾ったリリアが顔を寄せた。

二人ばかりイチャついていないで自分も構えというようにリリアは顔を近づけて巻貝を見せつける。

黒いショートヘアの中に輝く紫の巻貝はリリアの魅力を引き出すように飾られている。


「似合ってるじゃねぇか。リリーは髪が黒いから紫がよく似合うな」


「へへー。でしょ。ママにも飾ってあげる」


 リリアは白い巻貝をオオシマの耳元の長い金髪の中に埋め込む。

耳元に巻貝を飾られた金髪の少女は童話の人魚姫のようだ。リリアは満足そうに微笑むと後ろに回ってオオシマの頭を抱きしめた。


「ママ人魚姫みたい」


「随分似合わねぇ姿だ……」


「オオシマさん似合ってますよ。リリアちゃんの言うように本当に人魚姫みたいですよ」


 人魚姫の姿にミーナがくすりと笑う。

脅威が迫った時には鬼姫と化すオオシマが今は娘たちにされるがままに遊ばれている姿は何とも微笑ましく思える。


「嬉しくねぇよ」


 嬉しくないとは言いつつも巻貝を外そうとはしない。

しかめっ面をしてはみるのの、娘たちを楽しませたいという気持ち故にそのままにさせている。


「たくさん貝殻持って帰ろ。そしたら私みんなに髪飾りとかブレスレット作ってあげる!」


「リリーは手先が器用だからな。楽しみにしてるぜ」


 オオシマとじゃれ合った娘三人はまた波打ち際でいくつかの貝殻を拾ってくると、その日の遊びは幕を閉じた。

持ってきていた麻袋にはいっぱいの貝殻や光るサンゴの欠片、鱗が詰まっている。

帰ったらそれらで何を作ろうかとリリアは想像が膨らんで早く作りたくて仕方なかった。


 オオシマは一度小屋に顔を出すと、トーマスと少しばかり話し合いの続きを耳にした。

トーマスの話では今後の漁は以前よりも控えるということと、定期的に海の清掃をするという話にまとまっていた。

ボニーもオオシマにヤキを入れられて以降は口を挟まずに話を飲み込んだそうだ。

しかし、金銭的に厳しくなっている現状もあり何か打開策はないかと悩みの内をオオシマに打ち明けると、すでにそこに対してもオオシマはある思いを考え付いておりニヤリと笑ってトーマスに口を開いた。


「漁ができなくて金がないのも分かった。そこでだ、一つ熊たちに頼みてぇことがある」


「……? 何をしようって言うんだい?」


「ボニーたちに任せたい仕事がある」

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