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TSヤクザの異世界生活  作者: 山本輔広
三章∶異世界商売録-元ヤクザだけどプリン屋始めました-
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セクシーな二択

「他にまともな服無ぇの?」

 

 小屋に戻ると目元をピクピクさせたオオシマは両手で胸が露わにならないように隠しながら目の前に出された二つの選択肢に悩んだ。

服がズタボロになってしまったため他の衣類はなかったかと荷物を漁ってはみたが、替えの衣類はない。

それならばとミーナは目を輝かせて何もない空間から二通りの衣類を召喚するとオオシマにどちらがいいかと迫った。

 右手には布地面積があるようなないようなビキニ。左手には屈めば下着が見えることは間違いないほどに短いミニスカートと胸元が開きすぎた長袖のTシャツのコーディネートが掲げられている。

ミーナはそのどちらかを着ろという。


「他に手持ちはありません! さぁお好きな方をどうぞ!」


 頬を赤くしたミーナは目元をひくつかせるオオシマに選択を迫る。まるで着せ替え人形で遊ぶように笑顔になって顔面に衣類を見せつけるが、オオシマはどちらを選んでも大変なことになると選択をできずにいた。

 自分がそれらを着る姿を想像する。

右のビキニなど大切な部分を隠す程度であとはほぼ素肌を見せるビキニだ。そんなものを着て歩くなどただの変態にしか思えない。

それならば左のミニスカートと長袖Tシャツがいいかと思うが、着れば下着が見えてしまいそうだし、胸元などこれでもかというほどに開かれている。屈めばそれこそ乳房が露わになってしまうのではないかと思えるほどだ。


「どっちがいいですか? 私的にはビキニがおすすめですよ。海ですし絶対似合いますよ! 白い砂浜、青い海、そしてぼんきゅっぼんの金髪美少女! うーん、想像しただけで抱きたい。抱かれたい」


 ミーナの目にハートが飛んでいるのを見ると益々顔の表情が崩れていく。

とてもそんなものは着ることができない。なんなら今着ているズタボロの服のほうが布地面積はありそうだ。


「……左の貸して」


「こっちがいいですか! 屈んだら一発でパンツは全開、谷間はポロリしちゃいますがそれはそれでいいですもんね!」


「お前あとで覚えとけよ」


「はい、しっかりセクシーな姿のオオシマさんを目に焼き付けておきます!」


 ミニスカートと長袖Tシャツを受け取るとオオシマはトイレに籠って袖を通した。

スカートはもう履きなれたが、ここまで短いスカートは履いた試しがない。曝け出された太もも、風が吹けば見えてしまいそうな下着にオオシマは自然とスカートを押さえてしまう。

 

「き、着替えたぞ……」


 トイレから出てきたオオシマは涙目になりながらミニスカートを押さえざっくり開かれた胸元を隠して顔を紅潮させている。

今にも泣きだしそうな顔を見て、ミーナはもうたまらないと黄色い絶叫をあげた。


「好きぃー!!! 似合います! オオシマさん超絶セクシーになってますよ!」


「……オメェまじでヤキいれてやるからな覚えとけよ」


 すっかり様変わりしたオオシマにプーフたちは真顔で、熊たちはどう表情を作っていいか分からなくてただ赤面する金髪美少女を見つめた。

 熊たちは先ほどボニーにブチギレるオオシマを見ていた。それはそれは恐ろしく少女らしさなど一切感じなかった。そしてリリアがオオシマを呼びに来るとさらに怒りは増して鬼姫と化すとクラーケンを始末していた。

そこに感じるのは恐怖と絶対的な力、邪悪な鬼のように感じた。

なのに、その姿とはかけ離れた仕草と表情をしている。鬼姫だったオオシマはセクシーな衣装に恥じらう乙女となっていて、熊たちはそのギャップにただ唖然とした。


「とりあえず話の続きだ……」


 オオシマは近くにいたリリアを抱き上げると近くの椅子に腰を降ろした。

リリアを膝の上に乗せて胸元が見えないように、スカートの中身が見えないようにガードする。

真っ赤になった顔はリリアの頭にくっつけられて涙目で熊たちを睨んでいる。

 熊たちも戸惑ったまま椅子に座ると先ほどの話し合いの続きをしようとオオシマの反応を待った。


「とりあえずサンゴ漁はなしだ……ボニー、テメェ次潜ったらぶっ殺すからな。もし金がねぇだとか何かあるなら俺んとこに相談しにこい。仕事を紹介してやる」


 弱弱しく泣き出しそうな声ではある。しかし、ブチギレたときの姿を知った熊たちは黙ってその意見に賛同した。

ヤキを入れられたボニーもすっかり身を小さくするとオオシマには目を合わせずに黙って頷いている。


「じゃぁトーマス、あとはオメェらでやれ。海のことは頼んだぞ……」


「あぁ、ありがとう鬼姫さん」


 これで話は終わりだとオオシマは膝に乗せたリリアを抱きしめたまま立ち上がると、スカートが揺れないように小股で歩き出す。

少しでもスカートが揺れれば下着が見えてしまう恥ずかしさに普段は大股であるくオオシマは自然と気遣った歩き方になっていた。

 歩き出したオオシマの後ろに続いたプーフとシロは目の前でわずかに揺れるスカートを覗き込むと中で青い下着が見えた。


「ママ、おぱんつみえてる」


 気遣っていたのに構わずプーフはスカートをめくりあげると青い下着を晒した。


「プー!!!!! やめろ!!!」


 慌てて後ろを振り返るものだから、かえってスカートは大きく揺れて青い下着を露わにしている。


「ママおぱんつ! あおいおぱんつ!」


「やめろ!」


 プーフは慌てふためくオオシマが面白くて執拗にミニスカートに手を伸ばす。

オオシマはプーフの手から逃れようと必死になるが、焦った身体はむしろ動きが大きくなって何度もミニスカートを翻し下着が何度も覗いている。


「プーお願い止めて!」


「なんでーママのおぱんつみたいの」


「やめろ! 怒るぞ!」


「やー!」


「いいぞプーちゃん、もっとママのスカート捲っちゃって!」


 二人の様子を見ていたミーナもシロを抱き上げるとオオシマの下半身ばかりに目を当てて鼻息を荒くしている。


「鬼姫とは思えない乙女らしさだね。まったく恐ろしいんだか可愛らしいんだか」


 5人の少女たちがはしゃぐ姿にトーマスただ一人だけが笑い声をあげた。

鬼姫という恐ろしい存在と乙女らしさの二つの顔を合わせもつオオシマがトーマスにはおかしくてしかたなかった。




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