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それらは補完的関係にするべきものであって、対立させるべきではない

ゲーム理論で、どうすれば戦争をなくせるのか研究している人達がいるのですが、

「こんな感じだよ」

と、雰囲気だけでも掴めればと思って書いてみました。

 その地域には一つの大きな川があり、それが貴重な水源となっていた。ところがその川はたびたび氾濫し、その為に農業用水として活用し辛いという問題を抱えていた。治水工事を行えば、川の氾濫を抑えることができるのだが、それも難しかった。何故なら、その川は赤国にと白国という二つの国に大きく二分されており、困った事にその二つの国は互いにとても憎しみ合っていたからだ。

 二つの国は、歴史上、お互いがお互いの国を占領しようとし、何度も戦闘を行っていたのだ。

 だがしかし、その長く過酷な戦争の歴史の中で、次第に“戦争など馬鹿馬鹿しいのではないか? もっと協調していくべきだ”と思う人間も現れ始めていた。もっとも、その考えに反対する人間の存在も根強かったのだが。

 白国でも赤国でも、そんな二つの考えが対立し、激しい論争を繰り返すようになっていた。

 協調派は、「武装を全て解除し、相手の国と交流し、協力して川の氾濫を抑えよう」という極端な主張をしていた。

 もちろん、それができれば理想的だが、これが現実的ではないのは直ぐに分かる。

 戦争派は、「相手の国など信頼できない。協調など全く望めないから、相手を占領し、その上で治水工事を行おう」と主張していた。

 これも現実的でないのは直ぐに分かる。これまで戦争を何度行っても互いに互いを占領し切れなかったのだから、これから先、それが可能だと考えるのは無理がある。今までと同じ様に戦争を繰り返せば、互いに損害が出続けるだけなのは明白だ。

 ここで、ちょっと、互いの国の行動の組み合わせがどんな結果を生み出すかを整理してみよう。

 

 『赤国が(武装解除し)協調、白国が(武装解除し)協調』

 これは互いにメリットがある。ただ、利益を分け合うので、その分は、利益が減っている事になる。

 『赤国が戦争、白国が(武装解除し)協調』

 これは赤国が白国の占領に成功するだろう状態。赤国は占領によって利益を独占できるので、物質的な点のみを考えるのなら、赤国とってはこれが最も利益の出る組み合わせ。

 『赤国が(武装解除し)協調、白国が戦争』

 これは先ほどと逆のケース。白国が赤国を占領し、利益を独占した状態。白国にとっては最も良い状態

 『赤国が戦争、白国が戦争』

 戦争による損害を受け続け、川の氾濫も抑えられない状態。もちろん、二つの国を合わせた利益は最も低い状態。

 

 ――これを頭に入れておいてもらいたい。

 

 まず、動きがあったのは白国だった。協調派の声が強くなり、軍事力を抑えようとする。ところが、するとそれに反応するように、赤国は「白国を占領できそうだぞ」と考え、軍事力増強をし始めた。

 これはつまりは、先の行動の組み合わせの『赤国が戦争、白国が(武装解除し)協調』の状態だ。

 赤国にとっては最も利益が最大になるケースで、だからこそ赤国はそれを目指そうと考える。

 ここで、白国がそれを受けても軍事力を抑え、協調行動を執り続けようとするのなら、或いは力の差が歴然となった時点で、赤国は戦争を仕掛けて来るかもしれない。しかし、そうはならなかった。赤国の軍事力増強に不安を覚えた白国で協調派が減り、赤国に対抗するように軍事力増強をし始めたからだ。

 これを受けて、赤国は軍事力増強を抑え始めた。

 『赤国が戦争、白国が戦争』

 この組み合わせに至れば、赤国にとっても利益が最も低い状態になってしまうからだ。

 白国の協調派はそれを受けて考える。

 赤国に協調行動を執らせる為には、つまり『赤国が(武装解除し)協調、白国が(武装解除し)協調』の状態に向かわせる為には、『赤国が戦争、白国が(武装解除し)協調』の組み合わせは無理だと赤国に悟らせる必要がある。

 その為には、戦争派の力を借りなくてはならない。

 「何がなんでも戦争を」

 そのように戦争派の人間達が考えていると少しばかり困るけれど、それにだけは絶対に反対しなければならないけれど、

 “場合によっては、『赤国が戦争、白国が戦争』の組み合わせに至ることも辞さないぞ”

 という脅しをかけ、並びに川の氾濫を抑えられた時に得られる利益をちらつかせ、赤国を『赤国が(武装解除し)協調、白国が(武装解除し)協調』の状態に誘導する。

 これが現実的なのではないか?

 

 ……まぁ、当たり前なのだけど。

 

 中には異常に好戦的で、相手がどんな態度を執って来ようが、「戦争をしたい」と思っている人間もいるかもしれないが、相手が協調行動を見せていても、頑なに戦争をしたがる人間など実は少数なのではないだろうか?

 軍事力を強調するのは、相手の行動に反応しているからで、ならば相手の国を協調行動に誘導できれば、連鎖反応で自国の戦争派も協調派に誘導できるかもしれない。

 もっとも、その反対に戦争に向う連鎖反応が引き起こされる可能性もあるのだけれど。

 

 一見、相反するように思えるそれらは補完的関係にするべきものであって、対立させるべきではない。

因みに、ゲーム理論での戦争をなくす方法の結論は、意外に単純で、

しっぺ返し方略

だ、そうです。


相手が攻撃をして来たら攻撃で返し、

相手が協調行動を見せたら、協調で返す。


”完全な支配”が実現不可能である以上、協調行動がベストな選択肢って事なのかもしれません。

現実にこれがどこまで当て嵌まるかは分かりませんがね。


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